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「初めまして、PS5です」心を掴んで離さない、洗練された自己紹介【Astro's Playroom】

今回はPS5にプリインストールされている、「Astro's Playroom」を紹介!
開発元はSIEのスタジオなので、ほぼPlayStationの公式ゲームと言っていいだろう。PS4を持っていた人なら、このマスコット的な可愛らしいロボットを見たことがあるんじゃないでしょうか。

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え、知らない?

ですよね…PS4のPlayroomを遊ぶためには、PS4の周辺機器であるPlayStationカメラ(あるいはPSVRヘッドセット)が必要で、残念ながら購入を見送ったため、最後までPlayroomに触れることはなかった…という人も多いのではないだろうか。(私もそのうちの1人)

そんな経緯もあって、「やりたいゲームまだ発売されてないし、なんか入ってたのでとりあえず」という軽い気持ちで遊び始めたものの…

これが刺さりまくり。

声を大にして言いたい。新ハードの機能紹介をこれほどわかりやすく、そして何より「楽しく」やってのけたゲームは今までになかったと思う。
ハプティックス(*1)とアダプティブトリガー(*2)がもたらす没入感、SSDの高速処理能力による快適なプレイング、そしてさらに進化したグラフィックを完全に引き出した本作。手をつけてからあっという間に時間が過ぎて行き、エンディングを迎えた後は、今後のPS5ライナップを想像して思わず心が踊るような読了感(遊了感?)を得た。ゲーム自体が完璧な「自己紹介」として機能している。もちろん、1つのナラティブな体験としても完成度が高い。これまでのPlayStationの歩みを振り返る立て付けとなっていて、PlayStationを遊び尽くした人ほどグッと来る仕掛けがいくつも組み込まれている。

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オレンジのニット帽とマイクと言えば…?どこかでみたことのあるような小ネタが至るところに散りばめられている。

とまぁ、でっかい話は置いといて、少しゲームシステムに寄った話をすると、アクション自体は特段難しくない。ジャンプして、敵を殴って、コインを集めて…というオーソドックスな3Dアクションだが、その中でも遊びの幅が広がっていくようなレベルデザインがなされているので、飽きることはない。むしろ、この操作の簡単さが「Astro's Playroom」を良作足らしめるポイントだと言えよう。

きっと多くの人が気になっているハプティックスとアダプティブトリガーについて触れると、これだけのためにゲームを起動したくなるような、クセになっちゃう魔力がある。ジェットエンジンを吹かす時の「ぐぐっと」感や、レバーを握った時の「カチッと」感の中毒性はプチプチのソレに等しい。ボタンとかスイッチとかそういうガジェットを触ってるだけで脳が幸せになる人種はきっと大いに楽しめるはず。

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操作がわからなくなってもしばらくするとガイド(左上)が入るので安心

ただし、これはほんの序の口。このゲームの本当に恐ろしいところは「触っているだけで楽しい」を餌に、プレイヤーをやり込みの沼に引き込んでいくところ。

ゲームをクリアして、コインやアーティファクトをコンプリートして、隠しトロフィーを埋めて、スピードランで世界のプレイヤーとしのぎを削る…
大体のゲームは、ざっっっくり分けるとこういうやり込みの要素が用意されているのだが、「Astro's Playroom」ではこのやり込み体験が開始から4~5時間以内のゲームプレイに圧縮されている点が非常に優れている。

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みんな大好きガチャもあるよ。レア玉は割った時の感触が違うのが芸コマ。

少し話が逸れるが、最近はゲーム一本あたりの情報量が爆発的に増え、よりリッチな体験が次々と実現されている一方で、1つのゲームを「極める」感覚が奥まったような印象を受ける。クリアまでで30時間、やり込みを含めると100時間近く…そういう話を聞いて、「ちょっと自分はいいかな…」なんて気持ちになったことはないだろうか。

本作はPS5の機能を紹介する、という意図の元設計されたはずなので、プレイ時間が短いのは必然的なのかもしれない。ただし、今では「ガチ勢」と呼ばれるような層の、トロコンやスピードランへの情熱って、本来みんなが持ってるものだよね、という原点回帰の思想さえ感じられる。考えすぎかもしれないが、シンプルな遊びをコアとして、入門的なコンテンツからハイエンドなコンテンツへの動機付けのチェインが、途切れることなく続いていくのは明確な意思あってのことだろう。端的にいうと、「自己紹介」がハードウェア的な側面に止まらず、ソフトウェア面にも及んでいるのだ。

なので、前述したように、「Astro's Playroom」の操作は非常に簡単で、修得しやすいものとなっている。トロフィーも早々に解除されるように設計されているので、普段トロコンまでやりこまないユーザーの画面にも、トロフィー獲得!のメッセージがバンバン表示される。気づいたらトロフィーを70%ぐらい取得しているので、「他にはどんなのがあるんだろう?」という関心を引き立てられる。そこでトロフィーを見ようとホームに戻ると…

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世界中のプレイヤーが投稿した、スピードラン動画がホームのゲームページに表示されているのだ。一つの要素をやり尽くしたら、また新しい要素が出てくる。こういう風に、自然と「やり込み」に関心を持ってしまうような導線が仕込んであるのが、今の時代に適応したハードウェアだと感じさせられる。

正直、PS5のリリースが発表された当初は、「今より進化する余地ある?」と思ってた部分はあるし、同じような声も多かったように感じる。そういう思いに呼応してか、「PS5には何ができる?」という問いに対して本気で答えたい、そんなクリエイターの熱意を本作から感じることができた。今では、この先どんな作品が出てくるのかが楽しみで仕方ない。

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コンパクトながらに、隙がなく、簡単だけど、奥が深い。
PS5の未来は明るい。そう思わされるようなゲームでした。


*1 ハプティックス - 新コントローラーの目玉機能その1。振動の強弱やリズムが細かく変わるすごい機能。
*2 アダプティブトリガー - 新コントローラーの目玉機能その2。ボタン押下時の抵抗力が変わるすごい機能。

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