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視点を切り替えて物事を見ることができる本7冊

ユーザー視点・顧客視点で観察し、考え、デザインするということが当たり前のように言われ、そのための手法やアプローチが次々と紹介されている。けれど、普段自分が見ている世界と異なる視点で物事を見ることができる「視点を切り変える力」を本質的に育まないと、どのような手法やアプローチもうわべだけになってしまうことに危機感を感じていました。

そんな中で、これまで私たちに多くの気付きを与えてくれたり、考え方のヒントになった本や写真集をnoteでも紹介していきたいと思います。

1. 正体不明 / 赤瀬川原平

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日常の風景の中に潜んでいる「微かに異質なもの」に焦点を当てた写真集。視点を変えることで、普段見ている世界とは異質の世界がありありと浮かんでくる。写真に添えられた文章もユーモア満載な視点を変えたものの見方を教えてくれる教科書のような一冊。

2. Driftwood Dinosaurs / 古賀充

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海岸に漂流した流木を集めて、恐竜の全身骨格を作るインスタレーション作品の写真集。作家の想像力によって「価値の転換」が成された風景は、人と自然との関係性を問いかけてくる。悠久の時間の流れと、壮大な自然の力に触れることが出来るスケール感の大きな一冊。

3. 土のコレクション / 栗田宏一

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「土は何色か?」と聞かれれば、条件反射のように茶色や黒と答えると思う。この本にはピンク、オレンジ、黄色、青…。目の覚めるような美しい色をした土が並んでいる。そのどれもが自分たちの足もとにある普通の土から採集されたもの。バイアスがかかることで世界の捉え方がどれだけ狭くなっているかを気づかせてくれる一冊

4. 指を置く / 佐藤雅彦、齋藤達也

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グラフィックに指を置くことで、色々な感覚が立ち上がってくる。身体を関与させることで、目の前に見えているものの意味が変わり、自分の感覚すらも変わってくる。指を置くというシンプルな体験から、通り一遍ではない「体験の深み」を味わせてくれる一冊。

5. 石はきれい、石は不思議―津軽・石の旅 / 堀秀道、中沢新一

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津軽地方の海岸で拾われた石の写真と、石に魅せられた人達のコラム。人は古来から石の中に宇宙創造の凝縮を見出し、仏陀の遺骨と見立て、その模様や形状に想いを託してきた。些細な物事の周りにも「物語が潜んでいる」ことがよく分かる一冊。

6. ANDY GOLDSWORTHY / アンディ・ゴールズワーシー

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ランドアーティスト、アンディ・ゴールズワーシーによる作品集。特別な機材や技術を一切使うことなく、自らの身体と自然物だけで、彫刻のような作品を生み出す様は「アイデアが世界を変える」ことを実例として教えてくれる一冊。

7. ABSTRACT REALITY / デニス・ホッパー

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映画監督・俳優であるデニス・ホッパーが撮影した写真集。映し出されているのはグラフィティとも言えないような街角の落書き、雨ざらしのポスター、シミや傷跡だらけの壁。「通りすぎさえしなければ、アートはどこにでも存在する。」という作家の言葉が、お前の視点はどこにあるかと問いかけてくる一冊。

●まとめ

「顧客の立場で考える」「自分ゴトにする」「ユーザーの声に耳を傾ける」といった、よく消費される言葉にした瞬間に通り抜けてしまう、もっと感覚的で繊細なものは必ずあるように思います。これからも良い本や写真集に出会い、そういう言語化が難しいようなものをちゃんと掴み取れる力を伸ばしていきたい。

この記事は2016年にロフトワークのブログで書いた記事を加筆・修正したものとなります。


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