無理でも生きてていいですか

タイトルは「キャットヘッドハート」という自分の曲の一節です。

いい曲と言ってもらえることが多いです。いきなり自画自賛ですが。

音源のリリースは3年半ほど前(2020年3月)で、その頃ライナーノーツ的な記事を書いていたっぽいんですが、曲についてほぼ触れてないの意味わからないんで、今覚えている範囲で曲についてお話しできたらなと思います。

そもそもこの曲ができた経緯ですが。原初のアイデアみたいなのは2019年の春にはありました。ちょうど「夢見る地下室」のデモを一人で作った直後くらいだったかなと思います。28歳ですね。
その頃、仕事を変えたばっかりだったんですよ。スタジオのアルバイトを辞めて、また別のサービス業というか。一般のお客さんに対して仕事をしましょうっていう人になりました。これが全然向いてない。ってかそもそもサービス業?接客?1ミリも向いてないんですよね。表情が乏しい割に「は?」てなったらすぐ顔に出るので。それなのにバイトも含めて人と顔つき合わせる仕事しかしたことないのも意味わかんないですけどね。
そんな感じでまーーーた向いてない仕事就いちゃったなあ〜〜と思ってる頃に、休憩室で「猫の額ほどのハート」というフレーズが出てきました。猫の額ほど(狭い)ハート(心)って意味ですよ、いまさら言わなくてもいいと思いますけど。
たぶんそれが2019年のゴールデンウィークごろだったかなあ。なんか、元号が変わる瞬間を迎えようぜみたいな感じで遊んでる時にはあったと思うので。それから1〜2週間ほどして歌詞とメロディとコードとを一気に作り上げた感じですかね。

まず最初の「猫の額ほどのハート」っていうのに繋がるような言葉をiPhoneのメモ帳にぽちぽちと打っては消しを繰り返して、「優しくなれたらいいのにな」が仮決定します。
歌詞の書き方として自分に多いのは、原初のフレーズ、今回だったら「猫の額ほどのハート」が出てきてそこにまつわる言葉を探していくわけなんですが、そのとき結構七五調で当てていくことが多いですね。「優しくなれたらいいのにな」もそうですけど、やっぱ日本人の心ですから、七五調。結局メロディが完成したらあんまり関係なくなるというか、メロディに引っ張られて字余り字足らずになって言い回しを調整するんですけど。

決まった歌詞に対して、言葉のイントネーションやアクセントからメロディを紡ぎ出します。「優しくなれたらいいのにな」って、普通に読むと「さしくれたらいいのにな」っていう感じにアクセントがくるので、もうこれは拍のアタマをドンドンドンと打つ感じかなあ、とか。
でもこの時、どうしてもJUJUの「やさしさで溢れるように」という曲が頭の中にこびりついて離れなかったっていうことがありまして。サビメロの頭の部分はそれが完全に出てますよね。

たしか、作曲のバイトをしたときに「この曲っぽい明るいバラードを作ってほしい」というリクエストから聴きまくってた経緯があって、いきなり頭の中で流れ出したんだと思うんですけど。
「あなた」までのメロディ以降は全然違う言葉が頭の中で出てきていて「あなたと過ごす時以外は」というサビの頭のフレーズになります。これをとっかかりにして、次の言葉「いないのと同じさ 不機嫌な顔して」となります。

で、家帰ってJUJUのメロディに引っ張られながら、ギターでコードを弾きつつ作った歌詞を歌っていきます。サビのコード進行としては結構自分の中ではありふれてるというか、手クセの一つって感じです。でサビ完成。
同時にキーが決定したので、サビとは違うコードから始めてみようか?とか思いながらAメロに入り、コードを弾きながらフンフン歌ってみながら、前述の通りメロディと言葉ができるだけ自然に聞こえるようには意識しながら、歌詞とメロディとコード進行を同時に進めていきます。

完成した歌詞については、その時思ってたことがABサビABサビ大サビって書けるほど溜まってたのをザクザクと書き下していった感じですね。
たぶん、姉2の結婚式に行った時(スタジオのバイトしてるとき)に、親戚から遠回しに定職に就けと言われたことが1番の発端かもしれないです。まあその時は「だまれ」って思ったけど、結局バイトは金銭的体力的にしんどくなって辞めて。1日8時間週5日、向いてない仕事してるとは思うけどまあ生活リズムが整い出して、楽にはなった、やりやすくはなったんですよ。あんまり認めたくなかったけど、自分で自分を勝手に追い込んでたのかなーみたいな。でも環境が変わって不安やとかストレスの根源は取り除けてなくて、結局いちばんモノ言いやすいバンドメンバーにいちゃもんつける形になったりとかして。
「その時の自分何やってんねん」っていうメンタルに後からなって、それで書けた部分はあるのかなと思います。

細かいところまで全部は覚えてないんですけど、タイトルの「無理でも生きてていいですか」っていうパンチラインを書き出した時のことは覚えてます。その前に「あなたと過ごす時くらいは/優しくありたい 強くもありたい」という行を書いたからです。
優しさの中に強さがある〜みたいな表現って、文章表現としてはたまにあるじゃないですか。でもそれ全く意味分かってなくて。そういう、自分の中で落ち着いてないのに、フワッとした甘言みたいな表現を何となくで使うのはイヤなんですよ。ちゃんと思ってること、自分の中の真実を歌詞にしたい。
この時もあんまり分かってはなくて、なんとなくながら「優しく=何でも肯定してあげられるような器でありたい」っていうのと、「強く=自分の思ってることがあって、それに則ってなかったらNOって言えるような芯がほしい」ってことかなあと。でもそんな優しい&強い人にどうやってなるん?なれてる人もいるけど、自分はそうじゃない。なんか、人間として出来上がってる人に、見下されてるようにすら感じる。そっち側にお前らいつなったん?もしかして自分は無理かもな。ってか無理だな。でもなんか存在しちゃってるんだよなクソが。おれのようなクソが。
……ていう思考の迷路から抜け出すように、「あなたと過ごす時くらいは/優しくありたい、強くもありたい/無理でも生きてていいですか/猫の額ほどのハートで」という歌詞は書かれています。

歌詞を書き終わったところでコード・メロディ・歌詞が出揃って、弾き語りのボイスメモを録ります。

これをもとにバンドで演奏するアレンジをPCで組み立てるんですけど、当時PC持ってなくて。ナカノが仕事でなんか役立つかもと思って持ってた(所持してるだけだった)というPCを借りて、勝手にレコーディング用のアプリ入れて、勝手に録ってました。冒頭のギターリフはこの時作ったかな。
で「ハリネズミの恋」のデモとほぼ同時か、ハリネズミより早くメンバーに渡しました。2019年の7月くらいです。以降は練習して、ライブでやって、今に至るって感じです。


曲が完成するまでの経緯を書いて2800文字も使ってしまったので締めにかかります。この後音源にするとかMVにするとかいう段で何回かの悶着があるんですけど。

曲ができて4年半くらい経って、当時の自分からするとまあまあメンタルは成長してると思います。こうやって思い出しながら俯瞰でモノ言えるくらいには。

この2019年上半期ごろまでの自分には裏テーマというか、前のボーカルが作った「ピクチャーブック」という曲を超えるぞっていう意気込みがあったんですね。

それでいっぱい曲書いてたんですけど、ぶっちゃけあんまり評価されてないと思ってて。数書いた割にはメンバーにもそんなにヒットしてる気配ないし、「金環日食」は評判いいけど自分の中でピクチャーブック超えてないし。
ただ「キャットヘッドハート」ができたことによって気持ちが一つ変わったと思います。まあ「超えた!」とは思ってなくて、「超えるぞ!」みたいな気概が薄れていったという方が近いですかね。その頃すでに「#ファインドミー」で動き出してたからそんなこと思ってる暇もなくなったというか。

今にして思えば「ピクチャーブック」も何であんなに神格化してたんだ?くらいの気持ちっていうか、2019年以降の自分が作った曲、みんなに聞かせた曲もまだ聴かせてない曲もあるんですけど、自分の曲全部いいなって思ってますから。マジで。時間はかかるかもしれませんがレコーディングも進めていきます。

キャットヘッドハートもこの先の新曲もライブも楽しみにしててください。

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