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君たちはどう生きるか

私は,本日(8月5日),公開されてまだ1ヶ月経たない宮﨑駿(原作・脚本・監督)スタジオジブリ制作の表題の映画を見てきました.後で述べますように,私は,吉野源三郎著の「君たちはどう生きるか」には大変な思い入れがあります.また,宮崎駿の作品で,特に好きなものは「千と千尋の神隠し」です.噂によると,このアニメ作品は「千と千尋の神隠しに」に似ているというのです.吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」の日常の世界が,「千と千尋の神隠し」の世界を借りてどのように表現されるのか,これは見ないわけには行きません.私自身「君たちはどう生きるか」の現在版を,宮沢賢治の「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」のように化け物世界のなかで書いてみたいと思い続けて数十年経っています.

映画の評価

期待が大きかった映画でしたが,非常に残念な出来でした.「千と千尋」のような,夢幻の世界と現実世界を行き来する幻想小説は私は大好きです.剣と魔法の幻想小説も好きなジャンルです.しかし,このアニメ版「君たちはどう生きるか」は,人間が社会で生きている感じがしない.あらゆるものが影絵のように流れていくだけで全く感動を呼ばない.
冒頭の山火事のようなシーンはお母さんが空襲で死ぬらしいが,空襲らしくない.出征兵士を送るシーンも1カットあるが,淡々と流れ全く感動を呼ばない.最後は戦争が終わって疎開先から町に戻るらしいが,戦争があったことも全然実感できないし,影絵のような生活実感のない退屈なアニメであった.地下の世界に入り込んで大変な冒険活劇が展開されるのだが,すべて中途半端で実生活でも夢幻の世界でも真剣なメッセージを感じない.すべてが眠くなるような夢の世界の出来事で,観客に何の感動も呼び起こさない.仲間と力を合わせて平和な社会を作るなどという概念的なセリフは絵空事でとってつけたようだ.アニメの題名が「君たちはどう生きるか」でなかったら,このアニメと吉野源三郎の原著との間に通じ合うものを探そうとは誰も思いはしないだろう.

私と吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」

以下の文章は,もう消滅してしまったyahooブログに載せたのかもしれないし,どこかの文集に載せたのかもしれない.今,記憶がないのだが,どこかで見つけたら掲載します.今日は,記憶を頼りに要点だけの再現とします.

小学校5年の時の国語の教科書に,コペル君の日記というのが載っていました.デーパートの屋上から地上の蟻のように小さい人々を見て,コペル君が多くに人たちが協力し生活しているのだなと感心するシーンです.私はなぜかこのコペル君の日記が気に入り記憶に残っていました.その理由は,私も小さいとき母と新宿のデパートに行きコペル君のように屋上から地上を見た経験があったことと,私も小学校5年生のころコペル君のように日記を書いており,担任の先生が毎日私の日記帳に赤いインクで感想を書き込んでくださったことです.大体,先生の書く文章の方が私が書いたものの数倍は長いものでした.そんなことがあって,私はコペル君の日記が好きでしたが,これは何の本に出ている文章であるのかわかりませんでした.今ならコペル君の日記で検索すれば簡単にわかるのですが,その当時はインターネットもありませんでした.大学生のある日,NHKの朗読の時間を聞いたときに,忘れもしませんコペル君のあのデーパートの屋上からの眺めのシーンが放送されているではありませんか.そのとき私は,コペル君の日記の出典が,吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」であることを知ったのです.すぐに,この本を買い全編読み,大変感動しました.
私が勉強を教えたりした子供に本をプレゼントする機会がある時には,私はこの本をプレゼントすることにしていました.

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