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<SOCIAL GREEN TALK 1>「人がつくり・育てる グリーン・ネイバーフッド」ゲスト:泉山 塁威さん

皆さんは普段、公共空間のベンチに座った時に居心地の良さを感じますか?

緑に囲まれてゆったりできるベンチもありますが、周囲の交通量が多すぎて座りたくないと感じるベンチもあります。ただモノをつくって終わりにするのではなく、周囲の環境や利用する人々の行動を考えてつくると、より暮らしやすい街ができるかもしれません。

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先日、SOCIAL GREEN TALK(※)の第1回が開催されました。今回のゲストは泉山 塁威(いずみやま るい)さん。もともとは建築がご専門で、現在は都市戦術家やプレイスメイカーとして、公共空間のリサーチ、プレイスメイキングなどをされています。今回のテーマはこのような公共の場を人がつくり育てることについて。トークとディスカッションが行われた記録をお届けします。

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※SOCIAL GREEN TALKとは?
みどりに関する多分野のゲストをお招きし、みどりに対する考え方を学ぶとともに、アイデアをどう実践して社会を変えていくかを考える試みです。全6回の講座となっており、庭師やランドスケープデザイナー、環境活動家の方など様々な分野の方がゲストとして登場します。詳細は下記ホームページをご確認ください。

また、SOCIAL GREEN TALKは、SOCIAL GREEN DESIGNのオープニングイベントの1つです。SOCIAL GREEN DESIGNという取り組みが生まれた背景について知りたい方は、前回のnoteの記事もご覧ください。

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当日は、オンラインの会議システム「ZOOM」を活用して開催。「人がつくり・育てるグリーン・ネイバーフッド」と題して、トークとディスカッションが行われ、約60人の方が参加されました。当日のスケジュールは以下の通りです。

<SOCIAL GREEN TALK1 スケジュール>
19:00~19:20 イントロダクション
19:20~20:00 泉山塁威さんのトーク
20:00~21:00 質問・ディスカッション

泉山さんの活動について

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まずは、活動紹介から始まりました。泉山さんは、プレイスメイキングを全国各地で実践しながら、大学で研究もされています。

泉山さん:みどりの部分は専門ではありませんが、私の方でお話できることを発表します。今は都市戦術家・プレイスメイカーとして活動していて、日本大学で教鞭もとっています。いわゆる普通の大学教員とは異なり、研究と実践の両方を行い、都市に関わっています。

具体的な活動について

では具体的に、泉山さんがどのような活動をされているのか、その一部を見ていきましょう。まずは、「ソトノバ」という組織で「街の屋外空間を人々の居場所に変えていく」活動をされています。2015年から始まり、国内外の公共空間に関する記事をメディアで紹介しているとのこと。今では、約650の記事が上がっていて、学生の事例検索にも役立つ無料のデータベースにもなっているそうです。

また、より深く情報を知りたいという人向けには有料で「ソトノバコミュニティ」も運営されており、65人くらい(2020年11月現在)の会員で読書会などの集まりを開催されています。

その他にも、公園のコンテンツを考える「パークコンテンツ研究会」というコミュニティなども主催されています。

活動する上で大事にしていること

泉山さん:パブリックスペースを豊かにするには、「パブリックライフ」が重要。パブリックライフとは、リビングでくつろぐように都市でくつろぐ日常の豊かなライフスタイルという意味です。イベントやお祭りは、終わった次の日から空間に何もないということがありえます。普段から場所を整えていくことが都市を日常的に豊かに変えていくことに繋がります。

また、小さなアクションから都市を変えていくタクティカル・アーバニズムの事例もご紹介いただきました。

泉山さん:例えば、オーストラリアのメルボルンのポイントクックで夏の90日間、道路を人工芝で埋めた社会実験の事例があります。道路の交通を止めると、ヨガを始める人、音楽を流す人など、様々な人が現れました。この事例で注目すべきは、1人の主婦からプロジェクトが始まったということ。知らない人がどんどん住み始める戸建住宅街で、地域がつながる場所を作ろうという話が出たのです。

「わたし」から始まる市民アクションが重要とのこと。このようなタクティカル・アーバニズムの事例は世界各国で存在するようです。

▼ソトノバのHPに多数の事例が紹介されています。

タクティカル・アーバニズムとは何か?─バンクーバーのストリートが影響された「タクティカル・アーバニズム」の10の方法─ | ソトノバ | sotonoba.placeタクティカル・アーバニズムとは何か?─バンクーバーのストリートが影響された「タクティカル・アーバニズム」の10の方法─ - ソトノバ | sotonoba.placeタクティカル・アーバニズムとは何か?─バンクーバーのストリートが影響された「タクティカル・アーバニズム」の10の方法─タクティカル・アーバニズムとは何か?─バンクーバーのストリートが影響された「タクティカル・アーバニズム」の10の方法─ 日本のパブリックスペースの流れを捉えると共に、アメリカで注目される概念、タクティカル・アーバニズム(TACTICAL UR sotonoba.place

パブリックスペース作りの戦略

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最後にパブリックスペース作りの戦略を紹介してくださいました。

泉山さん:パブリックスペースを作っていくときには、まずビジョンが大事です。アイデアや妄想を他人と共有しながら将来像を作っていきます。それから、現状を把握して議論を行います。そのときに、現地をたくさん歩いたり、データをとったりして課題を整理します。現状と未来像を埋めていくために一歩ずつ階段を登っていくことが重要です。日本に、もっと良いパブリックライフが生まれる場所ができていったら嬉しいです。

▼今後予定しているSOCIAL GREEN TALK

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SOCIAL GREEN TALK1ゲストのプロフィール

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泉山塁威(いずみやま るい)

都市戦術家/Placemaker ・日本大学理工学部建築学科 助教 ・一般社団法人ソトノバ 共同代表理事・編集長 ・一般社団法人エリアマネジメントラボ 共同代表理事 1984年北海道札幌市生まれ。明治大学大学院理工学研究科建築学専攻博士後期課程修了/博士(工学)/認定准都市プランナー/アルキメディア設計研究所、明治大学理工学部建築学科助手、同助教、東京大学先端科学技術研究センター助教などを経て、2020年4月より現職。 専門は、都市経営、エリアマネジメント、パブリックスペース。タクティカル・アーバニズムやプレイスメイキングなど、パブリックスペース活用の制度、社会実験、アクティビティ調査、プロセス、仕組みを研究・実践・人材育成・情報発信に携わる。 主な著書に、「楽しい公共空間をつくるレシピ」「ストリートデザインマネジメント」

SOCIAL GREEN TALK1コーディネーター・聞き手のプロフィール

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小松正幸(こまつ まさゆき)

株式会社ユニマットリック 代表取締役社長 / (一社)犬と住まいる協会理事長 / NPO法人ガーデンを考える会理事 / NPO法人 渋谷・青山景観整備機構理事 / (公社)日本エクステリア建設業協会顧問 / 1級造園施工管理技士
E&Gアカデミー(エクステリアデザイナー育成の専門校)代表。RIKミッション『人にみどりを、まちに彩を』の実現と「豊かな生活空間の創出」のために、エクステリア・ガーデン業界における課題解決を目指している。

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三島由樹(みしま よしき)

株式会社フォルク 代表取締役 / ランドスケープ・デザイナー
1979年 東京生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。ハーバード大学大学院デザインスクール・ランドスケープアーキテクチャー学科修了(MLA)。マイケル・ヴァン・ヴァルケンバーグ・アソシエーツ(MVVA)ニューヨークオフィス、東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻助教の職を経て、2015年 株式会社フォルクを設立。 芝浦工業大学、千葉大学、東京大学、日本女子大学、早稲田大学非常勤講師。Tokyo Street Garden 共同代表。八王子市まちづくりアドバイザー。加賀市緑の基本計画策定委員。白山市SDGs未来都市推進アドバイザー。IFLA Japan委員メンバー。登録ランドスケープアーキテクト(RLA)



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