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弁護士業務におけるデータ管理ノウハウ

弁護士業務におけるデータの膨大さ

法律や裁判に関する判例や研究といった意味での情報量は単純に考えれば年々増加していく。昔の受験生より今の受験生の方が歴史分野については勉強対象が増加するのと同じ理屈である。古くて使い物にならないデータもあるがそのデータを選り分けること自体がコストではある。自身が携わった案件のデータも管理する必要があるため「キャリアが長くなればなるほどデータの量が増える」わけである。このように膨大なデータを管理する必要がある中で、本記事では「ファイル毎へのタイトル付与に労力を割く従来の方法よりも検索ベースでのデータ管理を前提とした効率的な方法」について簡単に整理しておく。

時間の節約と初速の維持

タイトル付与に時間をかけることは、一見、データの整理に役立つように思える。しかし、実際にはその労力は過大であり、多くの場合、時間の無駄となることが多い。気の利いたタイトルを考えるとのコスト、そのようなことに労力を割くくらいなら事件記録を何度でも読み返す方がクライアントの利益の実現可能性が高まる。「タイトル付与に労力を割かない」と決めつけるのである。そうすることによってデータ管理・データ作成の初速を高いレベルで維持することが可能となる。

検索技術の進化

近年の検索技術の進化により、タイトルやラベルなどの情報なしでも、文章の内容を高精度に分析することが可能となっている。弁護士業務においても、このような先進的な検索技術を活用することで、労力をかけずに適切なデータを取得することができる。特にクラウド上での検索力は大手であればいずれもかなりの水準を保っている。手動で分類して名称を付して、とするまでもなく、データ内部のテキストとして必要な情報を打ち込んでおけば検索のみで辿り着ける。

柔軟性の確保

タイトルをつけることで、データに固定的なフレームを与えるリスクがある。これにより、変化する状況や新しい情報に迅速に対応することが難しくなる可能性がある。タイトル付与に労力を割かない方法を取り入れることで、データの柔軟性を確保し、変動的な環境にも柔軟に対応可能となる。データ管理の目的は、必要な情報を迅速かつ正確に取り出すことである。タイトルやラベルを付与することによって、一時的には情報の整理が進むように思えるかもしれないが、その背後には固定的な視点や前提が存在する。新しい事案や法律の変更、時代のニーズに迅速に対応するためには、データの柔軟性が不可欠である。タイトル付与に労力を割かないアプローチは、この柔軟性を確保するための有効な手段となるのである。

注意点

タイトル付与に労力を割くことを今すぐやめるべきだが、データを時系列順に把握したいとの需要は大きいわけで、それに対応すべく「タイトルには日付だけは入れておく」ことを推奨する。キーワード検索で複数のファイルがヒットした際に「どの順で内容を確認するか」の指標となり得るのが時系列である。それを一瞥できるようにしておくことには意義がある。タイトルには日付を入れる。これだけは機械的にやっておこう。

結論:検索ベースのデータ管理の導入を

弁護士業務には、常に新しい情報や変化が付きまとう。そのための効果的なデータ管理手法が求められる中、検索ベースのデータ管理は新しい風を吹き込むことができる。タイトル付与に労力を割くことの限界を理解し、時代の流れに合わせたデータ管理の方法を採用することで、より効率的な業務遂行が期待できるのである。

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