背筋も凍るホラー映画紹介シリーズ第3回「サイコ」「サイコ2」【驚愕の真実とあまりにも恐ろしすぎる後日談】
1.はじめに
こんにちは。特撮最前線です。
本日のホラー映画紹介コーナーは二本立てです。たぶん、今回紹介する記事が一番、表現に困りました。
1960年代に公開されたアルフレット・ヒッチコック監督演出作品のサスペンスホラー作品「サイコ」とその後日談である1980年代に公開された演出はヒッチコックではありませんが「サイコ2」です。
※この記事にはサイコとサイコ2に関するトリックの記述があります。ここから先、本題へと移ります。
2.1960年代版サイコの驚愕のトリック
まずは1の方から参りましょう。1960年代のアメリカを舞台に展開された不動産会社に勤務する事務経理担当のOLのマリオンは社長から高額預金を任され、外出します。しかし、大量の札束に目がくらんだ彼女はその資金を持って逃亡を図ります。
初見時、私はマリオンがこの資金を奪ったことで起きるトラブルを描いた映画なのではないかと思っていました。
そこにヒッチコック演出のミスリードの素晴らしさと巧みさがありました。
彼女は大量の資金を盗んだ後ろめたさがありつつも、それを振り払うように車を走らせ続けます。途中で彼女は数々の試練に襲われますが美貌や機転を駆使してその試練をうまく潜り抜けていきます。
しかし、彼女の機転と美貌が逆に仇になる事件が起きます。
大雨を避けるため、彼女は国道から外れたホテル「ベイツ」に宿泊することにしたわけですがそのホテルは母の介護に追われる気弱な青年ノーマンが経営しており、立地条件と彼の内気な性格上から全く宿泊客はいませんでした。
マリオンはそれを利用してうまく逃亡を図ろうとしますが何者かに彼女は命を奪われてしまいます。
ここから物語はマリオンの逃亡劇から彼女の命を奪ったのは一体、誰なのかという推理要素の強い物語へとシフトしていきます。
ここまでで関係者を、確認してみましょう。
・ホテルの経営者ノーマン
・彼に介護されるノーマンの母
・マリオンが逃亡中で職務質問をかけた警察官
・マリオンが逃亡中立ち寄った車屋の店主
・マリオンの会社の社長やその関係者
この中に真犯人がいるわけですが初見時、その犯人を知った時の恐ろしさと言ったら半端なかったです。概ね的中はしたのですがその事実は私の予想を大きく反するものだったです。
※ここから先はサイコ2及び、今シリーズの重大なトリックが記述してあります。
3.贖罪と復讐の救済の後日談~サイコ2~
サイコ2の舞台はサイコの第1弾から20年後の物語です。ノーマン・ベイツは保護観察となり、出所を果たすところから物語は始まります。
ヒッチコックが演出しているということもあり、1の方がファンが多い印象ですが私はヒッチコックが演出していない2もお気に入りです。
その理由をこれから説明していきたいと思います。
・ノーマンの贖罪と社会復帰への物語
・ノーマンの前に現れる救済者メアリーのドラマ
・フラグ建ての巧みさ
まず最初のノーマンの社会復帰のドラマです。彼は保護観察の一環から町のレストランで働き始めますがそこでアルバイトを務める美少女メアリーと出逢います。彼女との出逢いがノーマンの社会復帰のドラマに大きく作用しつつも、彼の人生の新たな崩壊への序曲をも意味しています。
メアリーは恋人と別れたばかりで傷心の状態にいました。そんな時、優しく接してくれる年上の男性のノーマンは魅力的に見えたのではないかなぁ…と思うようなシーンもありましたがその彼女の素振り自体が終盤戦の恐ろしいドラマのフラグになっていくのです。
メアリーの言動の一つ一つがフラグの塊とも言えます。
ノーマンはメアリーと心を通わせていくうちに過去の自分の醜く弱い部分と対峙しなければならないこと、更に彼女が自分にとって母親以上の存在になっていること、運命の女性であることに気付き始めます。
しかし、それこそがこのサイコ2の恐ろしく血や暴力よりも恐ろしいドラマであると感じる所以です。
メアリーは20年前にノーマンによって命を奪われたマリオンの姪だったのです。最初は復讐目的で近づきました。しかし、彼本来の弱さや優しさを接するうちに彼女はノーマンに惹かれていったのです。彼の心を救い、罪をしっかりと償ってほしい。その思いから彼に近づいたメアリーでしたがミイラ取りがミイラになってしまいました。
ノーマンに近づきすぎ、更に彼を救おうとした彼女もまた不慮のアクシデントによってこの世を去ります。
最大の心のよりどころを失ったノーマンは修羅の道へと更に足を踏み入れていくことになるのです。ここでサイコ2の物語は幕を閉じます。