玄関のドアをひらけば吹いてくる風のことです春というのは 『ちるとしふと』千原こはぎ 書肆侃侃房 新鋭短歌シリーズ39 本文を書き出す前に。 僕は「作中主体」と…
この世のすべてが愛しいなんて 『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』 穂村弘 『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』穂村弘(以下、『手紙魔まみ』)を最初に読んだの…
風月
2020年10月2日 13:08
玄関のドアをひらけば吹いてくる風のことです春というのは『ちるとしふと』千原こはぎ書肆侃侃房 新鋭短歌シリーズ39 本文を書き出す前に。 僕は「作中主体」という言葉が嫌いだ。しかし「作者」と呼ぶのも少し違う。この歌集は、一見、作者と作品との距離がゼロで、密接に繋がっているように見える。しかし、歌集というもの(もっと言えば歌というもの)は、意志と意図を持って「構築された創作物」である。 い
2020年8月2日 00:43
この世のすべてが愛しいなんて『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』穂村弘『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』穂村弘(以下、『手紙魔まみ』)を最初に読んだのは、二〇〇一年のことだったと思う。当時、僕は短歌を始めてまだ二年足らずの初心者で、何も知らないくせに何でもわかっているような、根拠のない自信だけを抱えて短歌と向き合っていた。それでも、長く自由律詩の方ばかり向いていた目を閉じ、定型詩と