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酪農業の変動費、固定費

こんにちは!酪農家 坂本孝一郎です。
今日は酪農業の固定費と変動費に関してnoteしていきます。

以前の記事で、酪農のPLをnoteしましたが、その内容の展開です。普段、税理士に領収書など丸投げの方に 特に読んで頂きたい内容となります。

▪️酪農業の変動費

変動費とは、字の如く「飼養頭数が増えれば変動して増える費用」の事です。

・飼料費
・受精費
・診療衛生費
・家畜共済金
・生乳出荷にかかる販売手数料
・生乳販連への手数料、検査料
・集乳運賃

など牛が一頭増える毎に変わる費用が変動費です。弊社では、水道光熱費や のこくず などは、搾乳施設や、牛舎面積などに対して大きくかかる経費となるので、固定費として考えています。

▪️酪農業の固定費

固定費とは、牛が増えても減っても変わらずにかかる経費の事です。

・人件費
・鋸屑などの消耗品
・事務用品費
・水道光熱費
・修繕費
・燃料などの車両費
・通信費
・保険料
・減価償却費
・リース料

などが固定費です。
一般的に、酪農経営改善の時、飼料費をさげるや、人件費をさげるとすぐに考えがちです。
特に、経営をわかっていない 組合の職員や振興局の職員などはすぐに そう言ってきます。

でも、その改善は少しちがいます。

▪️酪農業の変動比率

一般的に酪農業の変動比率は65%から75%が理想です。 1億円売り上げがある時に、変動費が6,500万円〜7,500万円の範囲です。
変動比率が範囲内 または 範囲より下にある場合は、飼養頭数を増やせば増やすほど利益もあがります。

▪️経営改善に必要な項目

すぐに飼料費だ!人件費だ!ではなく、いま、牧場の変動比率は何%なのか?を計算し、範囲内なら、「増頭」が一つの改善になりますし、変動比率が高いなら、診療衛生費(治療費)を先に改善して、飼料費の優先順位は後ろで大丈夫です。

診療衛生費が大きくなる=病気、廃用になりやすい傾向 なので、ここを最初に改善します。

飼料費の改善は、現状の繁殖成績と生産乳量を加味して、少しずつの改善がbetterです。

▪️増頭改善の注意点

変動比率が範囲内で、飼養管理に問題ない場合、増頭すれば利益がでます。その時の注意点ですが、「固定費が最大限活かせる頭数まで」増頭するのがBestです。

固定費を最大限活かすとは、今いる人材で今ある牛舎や搾乳施設で、今ある機材を使用して、最大限増頭するという事です。

変動比率が範囲内だからといって、1頭2頭の増頭はほとんど数字に返ってきません。現在の飼養頭数の30%くらい、一気に増頭すると経営改善が一気に進みます。

▪️まとめ

・経費は変動費、固定費で考える。
・経営改善に飼料費、人件費から入らない。
・固定費の最大活用
・増頭出来る計算ならば一気に30%ほど。

酪農は固定費をどれだけ超える 売上があるか?によって、利益の幅が大きく変わってきます。飼料費削減や人件費削減は極端な言い方をすると愚の骨頂です。「へらす」より「活用する」に思考チェンジする方がよっぽど経営改善に繋がります。


現在、最大限の固定費の活用を行なっているけど、経営が上手くいかない方は ぜひご相談ください。 なにかしら改善提案出来るかと思います。

次回以降 作業マニュアルのnoteを増やしていこうと考えています。 ぜひフォローお願いします。

それでは、また!


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