「ガキ」という言葉

今の大人が割と平気で使っていることが自分には信じられない言葉に「ガキ」というものがあります。もちろん子どもを指す言葉で、決して上品ではありませんが普通に「うちのガキがさあ」みたいな感じで使われます。それを諫めるような人は特に今の世の中にはいないでしょう。

しかし、よく考えてみれば「ガキ」という言葉は「餓鬼」から来ています。元々仏教の教義に出てくる言葉で、生きている間の行いにより六界(仏教における世界の分類。解脱しない限り輪廻転生によって永遠に六界のどこかで生まれて死ぬことになる)の一つである餓鬼道に生まれた者を指します。「餓えた鬼」という漢字のイメージからも分かるとおり、生前にあさましい行いをした者が餓鬼になるのであり、きわめて醜い姿・行動で描かれます。
(参考:https://true-buddhism.com/teachings/gaki/

そのような経緯があるのにもかかわらず、子どものことをそんな「餓鬼」と呼ぶというのが自分には信じられないのです。
「餓鬼のようにメシをむさぼり食うから子どもをガキと呼ぼう」という理由があるようですが、この時点で子どもに対してあまりにも失礼というか粗暴すぎます。「餓えた鬼」ですよ。子どもは成長する上で多くの栄養を必要とするからこそたくさん食べるのであって、それを「あさましい」と判断するのは大人の傲慢でしかないでしょう。
特に、自分の子どものことを「ガキ」呼ばわりする親が一番信じられません。自分の責任で作った子どもを「餓えた鬼」呼ばわりすることが人の親である大人のすることとは到底思えないのです。

そのため、自分は絶対に子どもを「ガキ」とは呼びたくありません。普段何気なく使っている言葉の中にも現代の社会通念では到底許されないであろう意味を含んでいるものが数多くあると思います。そのことをしっかり意識しその使用を戒めるのが、「子ども」の手本となるべき大人の正しいあり方ではないかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?