性科学を学ぶ-その2-性科学とは何か?(はじめに)
連載2回目となる今回からは、Silva Neves著「Sexology the basics」の、1章 ”性科学とは何か?” に入っていきます。
(第1回:イントロダクション の記事はこちら)
1章はこのような内容です。
学びたいことの本質的な部分は、もっと先の3章以降になりそうです。ただ、セクソロジーがどういう哲学や骨組みの上に建っているのか、をこの章で学ぶことができそうです。
本記事ではこの中から「はじめに」を題材にして、重要と思われる点を引用し、学んでいきたいと思います。
性科学は科学的か?
人間の性を「科学的」に研究、という点に着目します。科学とは、仮説を検証し再現可能な普遍性のある事実を抽出する営みと言えます。それには、客観的な根拠が必要とされるものです。
人の性の生理的な側面を科学的に、というのはイメージしやすいです。一方で、人の性的ふるまいの側面に普遍性を言えるのか、というといまいちピンときません。おそらくこの点は、心理学のように多数の人のふるまいを観察する等して、統計的な観点から普遍性をみつける、ということだと思います。
要は科学である以上、思いつきや、偶然うまくいった等ということは認めない。人の性について1つ1つ確実と言えるやり方で、積み上げ、そして体系化していこうとする学問、それを目指す学問と言えそうです。
性とリレーションシップ
性科学の対象は「人間の性」でした。それをうまく説明していくためには、「性」だけを見ているだけでは無理で、人同士の親密な関係性を見る必要があると。親密な関係性というとぼやっとして分かりづらいですが、性的な関係をもちうるパートナーとの、愛情、ケア、信頼関係、あるいは情熱等といった相互作用だと考えられます。これらの相互作用・関係性を共に扱わなければ、性について正確に説明できない、ということだと思います。
性科学者とは何をする人なのか?
分類するとこんな感じでしょうか。
・研究者・・・研究や理論
・臨床家・・・カウンセラーやセラピスト。さらに分けると、
- クライアントとの対話を実践。いわゆる一般的なカウンセリング。
-クライアントの身体・感覚に関わるタッチングを含むセラピーを実践。
最後の、身体?感覚?に関わるセラピーについては、あまりパっとイメージできません。そこでSomatic(=身体の、肉体の)について少し調べてみると、
という情報がありました。
ふと思い浮かんだのは、アダム徳永の「スローセックス」。確か肌に触れるか触れないかのフェザータッチ?で、性感を探ったり高めたりする手法だったかと。つまりこのようなタッチングを伴うセラピーを、性感に限定しないで性的トラウマ等の対処にも範囲を広げ、かつ、エビデンスベースでノウハウを積み上げたもの。ということになると思います。
sexは心だけでなく、身体(五感)同士の相互作用。なので、言葉
や対話だけではない、身体ベースの手法もあってしかるべきだと思います。
一方で、タッチングを含むセラピーには、ちょっとした「怪しさ」を感じてしまいます。先入観かもしれません。怪しさを感じる根っこは何だろうと考えると、それらは「密室」で行われ、どこか「秘儀」めいている。こういった雰囲気が、科学ということから距離を作っているのではないか。今の私の中ではこんな認識に留まります。
Somatic(身体性)については、後の4章「エロティシズム」で再度出てくるようなので、その際にもう少し考えてみたいと思います。
今回はここまで。
次回は、「セックスとセクシュアリティの小史」です。
まなびのまとめ
性科学とは、人の性について1つ1つ確実と言えるやり方で、積み上げ、そして体系化していこうとする学問、それを目指す学問と言えそう。
性科学は、人の「性」だけではなく、人同士の親密な関係性(relationship)も範疇としている。
性科学者には、研究者や対話ベースのカウンセラー・セラピストに加えて、タッチングを取り入れるセラピストもいる。(後者は別途4章で詳しく)
最後までお読みいただきありがとうございました。
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