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キャスト一新で描き出す新たな正義と狂気のシンフォニー、新星らに確かな成長の予感…★劇評★【ミュージカル=デスノート THE MUSICAL(甲斐翔真出演回)(2020)】

 漫画「DEATH NOTE」とそれを映像化した映画『デスノート』が世界を熱狂させたのは、死神と人間の契約という西洋的な下敷きがこの物語に施されていたということだけが理由ではないだろう。「正義のためなら、人を亡き者にして良いか」というすべての時代に問われて来た人類の命題が全編を貫いていることと、幾重にも張りめぐらされた「ルール」を登場人物や読者に突き付け「選択」を迫り続けるという稀有な物語の構造が、人間という生きものの原初的な衝動をいたく刺激したからだ。原作漫画が連載を終え(読み切りは発表されているが…)、ドラマやアニメが放送を終え、映画が正統続編の映画『デスノートLight up the NEW world』まででシリーズが止まっている今、この物語の魂は2015年に舞台化されたミュージカル「デスノート THE MUSICAL」に受け継がれていると言っていい。2015年と2017年に2度にわたって上演された日本人キャスト版と韓国人キャスト版は、舞台、特にミュージカルこそが、この神の摂理に触れ、人類を揺るがしかねない壮大な物語のテーゼに最もふさわしい表現方法であることを証明してみせたが、今回すべてのキャストを一新して新たなミュージカル「デスノート THE MUSICAL」として生まれ変わっても物語の力強さが揺るがないのは、こうした人間存在の深淵に迫る哲学的な問い掛けがあるからだ。夜神月役をダブルキャストの村井良大とともに務める甲斐翔真は、クールさと狂気のバランスをあえてアンコントロールにする高等テクニックも見せながら新しい夜神像も描き出し、この舞台で俳優としての確かな成長を手に入れる予感を抱かせた。演出は栗山民也。(写真はミュージカル「デスノート THE MUSICAL」とは関係ありません。イメージです)
 ミュージカル「デスノート THE MUSICAL」は、2020年1月20日~2月9日に東京・池袋の東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)で、2月22~23日に静岡市清水区の静岡市清水文化会館マリナートで、2月29日~3月1日に大阪市の梅田芸術劇場メインホールで、3月6~8日に福岡市の博多座で上演される。

舞台写真はこのサイトではなく、阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でのみ掲載しています。舞台写真をご覧になりたい方は下記のリンクでブログに飛んでください。
★「SEVEN HEARTS」のミュージカル「デスノート THE MUSICAL」劇評ページ

 なお、本作は主役の夜神月役がダブルキャストですが、取材機会の関係で劇評を掲載するのは、「デスノート THE MUSICAL(甲斐翔真出演回)」のみとなります。ご了承ください。
 この劇評だけではカバーできない村井良大さんのファンの皆さま方には大変心苦しく感じております。超人気公演のため取材機会も限られます。なにとぞご容赦ください。
 ただし写真に関しては、村井良大さん出演回の舞台写真をこのブログで公開していますので、ご覧になってください。

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無料でお読みいただけるサービスは2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

★ミュージカル「デスノート THE MUSICAL」公演情報

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