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舞台中のすべての要素が走り続けている。野田秀樹が何度も追い掛け続けるのは答えが出ないからではなく、いつまでも考え続なくてはならないテーマだから。エンタメを極めてきた猛者たちと演劇界の深部で表現を磨いてきた巧者たちの融合度合いも心地良い…★劇評★【舞台=正三角関係(2024)】

 野田秀樹の戯曲はすべてのせりふや身体表現が互いに共鳴し合って、全体でひとつのメロディーを鳴らしている。俳優たちが物語のたどり着く場所へと向かって疾走するように、舞台中のすべての要素が走り続けている。だからだろうか、野田の表現する世界の終わりには交響曲のような高揚した音楽が鳴っている。野田が今年世に問うている新作舞台「逆三角関係」はよりその様相が強い。しかも、表面上で進行している物語がもたらすものとは違う次元で底流を流れる物語が表面に現れて一体化することで私たちの心に降りてくるものは安易な忘却を許さず、いつまでも余韻となって残っていく。野田が何度も追い掛け続けるのは答えが出ないからではなく、いつまでも考え続なくてはならないテーマだから。松本潤、長澤まさみ、永山瑛太、竹中直人と各分野でエンターテインメントを極めてきた猛者たちと、野田秀樹自身をはじめとする村岡希美、池谷のぶえ、小松和重と演劇界の深部でより表現を磨いてきた巧者たちの融合度合いも心地よく、またひとつ上のレベルにまで昇華した野田演劇の結晶が、日本国内だけでなくツアーの最後に待つロンドン公演でどのような反応を得るかも楽しみになって来た。(写真は舞台「正三角関係」とは一切関係ありません。単なるイメージです)
 
 舞台「逆三角関係」は日本時間2024年7月11日~8月25日に東京・池袋の東京芸術劇場プレイハウスで、9月5~11日に福岡県北九州市のJ:COM北九州芸術劇場 大ホールで、9月19日~10月10日に大阪市のSkyシアターMBSで、英国時間10月31日~11月2日にロンドンのSadler’s Wells Theatreで上演される。
 
★序文はエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも無料でお読みいただけます。舞台写真はブログにのみ掲載します。

★無料のブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含めた劇評の全体像は通常はクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。松本潤さん、長澤まさみさん、永山瑛太さん、村岡希美さん、池谷のぶえさん、小松和重さん、野田秀樹さん、竹中直人さんら俳優陣の演技あるいは身体表現についての批評、野田秀樹さんの戯曲や演出・舞台表現に対する評価などが掲載されています。場合によっては、特定のスタッフワークについて言及することもあります。

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★舞台「正三角関係」公式サイト

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