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記憶の中で時空を超えるタイムリープ。青春の再生が紡ぐ家族の再生。鴻上尚史の最新名作戯曲が早くも再演…★劇評★【舞台=アカシアの雨が降る時(2023)】


 1960年代から1970年代とはどういう時代か。誰でも自分が青春時代を過ごした時代のことを最もよく覚えているものだが、この1960年代あるいはその周辺に青春を過ごした人にとっては他の時代よりもより強く記憶の中に刻まれている時代なのだ。時代の変革を求めた大学生ら若者たちが世界中で決起。日本では日米安保条約とその改定をめぐって学生運動が勃興した時代だ。若者たちは青春の血潮を燃やし、対米追従、富裕層優遇を強めていた岸首相に対する反発を強めていた時期だった。1970年代以降は徐々に縁遠くなるデモやストも国民にとっては身近で、若者が政治にモノ申すことは普通の時代だった。認知症の症状が出た桜庭香寿美の記憶によみがえったのもこの時代で、しかも彼女は息子と孫をそれぞれ全く違う人物に思い込んだままで、平和と仲間を愛する一人の純粋な女学生闘士としてもっとも切迫した瞬間へとフォーカスしていく。舞台は21世紀という現代でありながら、記憶の中で時空を超えながら展開する鴻上尚史一流のタイムリープ譚。2021年の初演で大きな反響を得た舞台「アカシアの雨が降る時」が今年2023年再演されている。作・演出は鴻上尚史。(写真は舞台「アカシアの雨が降る時」とは関係ありません。単なるイメージです)
 
 舞台「アカシアの雨が降る時」は、2023年10月14~22日に東京・初台の新国立劇場小劇場で、11月3日に神戸市の神戸朝日ホールで、11月11日に石川県金沢市の無法状態北國新聞赤羽ホールで、11月17日に岩手県盛岡市の盛岡劇場メインホールで、11月19日に岩手県久慈市のアンバーホール小ホールで、11月28~29日に愛媛県新居浜市のあかがねミュージアムで、12月3日に大阪市富田林市の大阪・富田林すばるホール2Fホールで上演される。
 
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★舞台「アカシアの雨が降る時」公式サイト

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