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英語と鹿児島弁が飛び交う中で字幕さえも重要な役割を果たす斬新な舞台。新たな傑作の誕生を予感させながら、ひとつひとつのせりふが不思議な熱を帯びていく様は圧巻だ…★劇評★【舞台=オデッサ(2024)】

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 活動初期には劇団を主宰してきたこともあって「12人の優しい日本人」など群像劇を得意としてきた三谷幸喜だが、中期以降は、戦前の警視庁検閲係官と劇作家の弾圧という名の取調室での暗闘を「笑の大学」という二人芝居にまとめ上げたり、ミヤコ蝶々をモチーフに戸田恵子の一人芝居「なにわバタフライ」を書き上げたり、少年への輸血をめぐって父と外科医が対決する二人芝居「90ミニッツ」を発表したりするなど、少人数構成の傑作を生み出すようになった。そして今、これまで三谷作品に関わってきた柿澤勇人、宮澤エマ、迫田孝也という3人の魅力的な俳優を起用して新たな三人芝居として2024年の年明けすぐから世に問うているのが舞台「オデッサ」だ。劇作家として、放送作家として、シナリオライターとして映画監督としてさまざまなかたちで言葉とコミュニケーションというものに関わってきた三谷が、コミュニケーションのずれや、それが人間の心理に与えるさまざまな影響について極めて演劇的な手法でまとめ上げたこの作品は、英語と日本語(特に鹿児島弁)が飛び交う中で字幕さえも重要な役割を果たす斬新な舞台。新たな傑作の誕生を予感させながら、ひとつひとつのせりふが不思議な熱を帯びていく様は圧巻だ。(写真は舞台「オデッサ」とは関係ありません。単なるイメージです)
 
 舞台「オデッサ」は、2024年1月8~28日に東京・池袋駅西口前の東京芸術劇場プレイハウスで、2月1~12日に大阪市の森ノ宮ピロティホールで、2月16~18日に福岡市のキャナルシティ劇場で、2月24~25日に仙台市の東京エレクトロンホール宮城で、3月2~3日にNiterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホールで上演される。
 
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★無料のブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。柿澤勇人さん、宮澤エマさん、迫田孝也さんといった俳優陣の演技に関する批評や、三谷幸喜さんの戯曲や演出・舞台表現に対する評価などが掲載されています。場合によっては、スタッフワークについて言及することもあります。

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無条件に無料でお読みいただけるサービスは原則として2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

 
★舞台「オデッサ」公式サイト

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