見出し画像

人間の業の果てしない深みを感じさせて、悲劇なのにどうしようもなく惹きつけられる夢幻の魅惑に彩られている…★劇評★【ミュージカル=サンセット大通り(安蘭けい・松下優也バージョン)(2020)】

 思い出の中だけで生きる、なんてロマンチックなことを言っても、先立つものがないと、普通は思い出だけでは食べていけない。そしてたとえ、うなるほどの財産があっても、自分が一番やりたいことはなかなかできないものだ。しかし運命としか思えないタイミングで、それを可能にしてくれる人が飛び込んできたら? ミュージカル「サンセット大通り」は、どちらにとっても稀有なタイミングで出会ってしまったかつての無声映画の大スターと売れない脚本家を運命が翻弄していく物語。しかしそれは神が操る運命ではなく、双方のあまりにも人間的すぎるキャラクターや行動から生まれた運命。「オペラ座の怪人」「キャッツ」「エビータ」などで知られるアンドリュー・ロイド=ウェバーのどこまでも麗しい音楽に乗って展開する妖しくも美しい物語は、人間の業の果てしない深みを感じさせて、悲劇なのにどうしようもなく惹きつけられる夢幻の魅惑に彩られている。演出は鈴木裕美。(写真はミュージカル「サンセット大通り」とは関係ありません。イメージです)
 ミュージカル「サンセット大通り」は、2020年3月20~27日に東京・有楽町の東京国際フォーラム・ホールCで上演された。3月14~19日と28~29日の公演は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止された。

舞台写真はこのサイトではなく、阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でのみ掲載しています。舞台写真をご覧になりたい方は下記のリンクでブログに飛んでください。
★「SEVEN HEARTS」のミュージカル「サンセット大通り」劇評ページ

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無料でお読みいただけるサービスは2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

 なお、本作はノーマ・デズモンド役とジョー・ギリス役がそれぞれダブルキャストであるため、2通りの組み合わせが組まれていますが、取材機会の関係で劇評を掲載するのは、安蘭けいさんと松下優也さんの組み合わせに限らせていただきます。ご了承ください。
 この組み合わせではカバーできない濱田めぐみさんと平方元基さんのファンの皆さま方には大変心苦しく感じております。人気公演のため取材機会も限られます。なにとぞご容赦ください。
 ただし舞台写真については、濱田めぐみさん、平方元基さんの写っている写真も掲載いたしますので、お楽しみください。

★ミュージカル「サンセット大通り」公演情報

ここから先は

3,226字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?