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真実の愛へと昇華するダイナミズムと映画へのリスペクトを込めた舞台表現を散りばめて、きらきらと光る宝物のようなミュージカルとして結実している…★劇評★【ミュージカル=ローマの休日(朝夏まなと・平方元基・藤森慎吾出演回)(2020)】

 ローマという街には魔法がかけられている、とイタリアの隣国生まれの友人から聞いたことがある。もともと開放的な国民性があふれる土地柄もあるのだろうが、この街に来ると誰もが自分を解放したくなり、誰もが自分のタガを外してみたくなるのだという。神々もついつい人間の運命にいたずらを仕掛けてみたくなるのだろうか。王室の人間でがんじがらめのスケジュールに縛られている人ならなおさら解放への欲求が強まることもあるだろう。オードリー・ヘプバーンの主演で不朽の名作となった映画『ローマの休日』の主人公、アン王女はその代表格だ。なにしろ、真夜中に医師や随行員らの目を盗んで祭りに浮き立つローマの街中に忍び出てしまったのだから。そんな王女が出会う一生忘れられない恋を描いたこの作品を22年も前に世界で初めてミュージカル化した東宝が、キャストを一新して日本の誇るこのミュージカル「ローマの休日」を2020年の今、上演している。土屋太鳳と朝夏まなと、加藤和樹と平方元基という斬新なキャスティングに応える若きミュージカルの担い手たちのさわやかな熱演によって、最初は互いの思惑が交錯する探り合いの恋が、やがては真実の思いに彩られた愛へと昇華していくダイナミズムをたっぷりと感じさせながら、随所に映画へのリスペクトを込めた舞台表現を散りばめて、きらきらと光る宝物のようなミュージカルとして結実している様は何ともわくわくするものだ。(写真はミュージカル「ローマの休日」とは関係ありません。イメージです)
 ミュージカル「ローマの休日」は10月4~28日に東京・丸の内の帝国劇場で、12月19~25日に名古屋市の御園座で、2021年1月1~21日に福岡市の博多座で上演される。

 なお、本作はアン王女、ブラッドレー、アーヴィングと主要な役柄がダブルキャストであるため、さまざまな組み合わせが組まれていますが、取材機会の関係で劇評を掲載するのは、「ローマの休日(朝夏まなと・平方元基・藤森慎吾出演回)」のみに限らせていただきます。ご了承ください。
 この組み合わせではカバーできない土屋太鳳さん(アン王女役)、加藤和樹さん(ブラッドレー役)と太田基裕さん(アーヴィング役)のファンの皆さま方には大変心苦しく感じております。超人気公演のため取材機会も限られます。なにとぞご容赦ください。

阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも読めます。舞台写真は「SEVEN HEARTS」でのみ公開しています。
★「SEVEN HEARTS」のミュージカル「ローマの休日」劇評ページ

★劇評の続きを含む劇評の全体像はこの「note」で有料公開しています。作品の魅力や前提となる設定の説明。朝夏まなとさん、平方元基さん、藤森慎吾さん、久野綾希子さん、今拓哉さんの演技に対する批評、山田和也さんの演出に対する評価などが満載されています。(ここまで966字、残りは3291字)

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無料でお読みいただけるサービスは2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

★ミュージカル「ローマの休日」公式サイト

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