私たちがハマることになる「深み」は底なし沼のように危うく魅惑的…★劇評★【舞台=チョコチップクッキー(2018)】
それでなくても、なんのために働いているのかが分からなくなりがちな世の中なのに、劇作家・演出家の宇吹萌は最新作となるRising Tiptoeの第25回公演「チョコチップクッキー」で、その「労働の意味」を粉々にするような一撃を私たちに突き込んできた。それは何も、近未来の超管理型社会の中で画一的な労働にあえぐ労働者の姿を見せつけるものでもなく、働き方改革時代の理想的な処方箋を求めておたおたおろおろする現代人の姿を戯画化したものでもなく、AI(人工知能)によって職を奪われた人たちの座敷牢の饗宴でもない。徹底的に働くことを無意味化した不可思議な社会のかたちをとって、私たちに迫って来るのだ。しかも、そうした社会の在り様と、そこにうごめく人々の心の成り立ちを読み解いていくのが、チョコチップクッキーという現代人の私たちにもなじみの深いお菓子から導き出されるひとつの「哲学」だ。宇吹の作品を特徴づけてきたシュールな味付けが最大限に発揮された作品と言えるが、いつも以上に、私たちがハマることになる「深み」は底なし沼のように危うく魅惑的だ。作・演出・デザインは宇吹萌。
舞台「チョコチップクッキー」は10月31日~11月4日に東京・下北沢のザ・スズナリで上演された。
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★舞台「チョコチップクッキー」公演情報=公演はすべて終了しています。これは「Rising Tiptoe」の最新情報を表示するページですので、日にちが経つと次の公演やお知らせに更新されます。
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