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演出の上村聡史が生き物のように構築する舞台の上で展開する家族の慟哭。眞島秀和や倉科カナら出演者全員の鬼気迫る演技が際立つ仕上がりに…★劇評★【舞台=My Boy Jack(2023)】


 国と国との戦いである戦争がなぜ広範な人々に残酷な記憶を残してしまうのか。それはそれぞれの家族の中に大きな傷跡を残してしまうからである。出征する者、送り出す者、傷つく者、受け止めきれない者…、さまざまな立場で戦争がもたらす家族への影響と立ち向かいながら、それぞれの家族の中に刻み込まれていく記憶を、「ジャングル・ブック」などの作品で知られる英国の小説家・詩人、ラドヤード・キプリング一家と息子ジョン(愛称ジャック)の出征譚に絡めて構築した舞台「My Boy Jack」が上演されている。どの家族にも起こりうる普遍性のある悲劇であり、一方でラドヤード家や時代の特殊性をまとった悲劇のようでもあるこの衝撃作を演出の上村聡史は冷徹な外皮と生々しい臓器を持った生き物のように成立させ、忘れがたい印象の残る作品に仕上げてきた。自己矛盾を持つインテリゲンチャの夫を眞島秀和が、抑圧してきた不安と不満が炸裂する妻を倉科カナが描き出し、すべての役に至るまで出演者全員の鬼気迫る演技が際立っていた。(写真は舞台「My Boy Jack」とは関係ありません。単なるイメージです)
 
 舞台「My Boy Jack」は、10月7~29日に東京・新宿の紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで、10月28~29日に福岡市のキャナルシティ劇場で、11月3~5日に兵庫県西宮市の兵庫県立芸術文化センター阪急 中ホールで、11月11~12日に愛知県東海市の東海市芸術劇場大ホールで上演される。
 
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★舞台「My Boy Jack」公式サイト

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