見出し画像

アジャイルなチームから、アジャイルな会社へ【SEVEN BANK NOW】

近頃は多くの銀行が口座保有者向けのアプリを提供していますが、読者のみなさまにとって銀行のアプリとはどんな存在でしょうか?
お給料の入金をチェックするもの、口座残高を知るためのものなど、色々な用途があると思いますが、セブン銀行の口座利用者様向けのスマホアプリであるMyセブン銀行アプリは、キャッシュカードを持っていないときにもアプリだけでATMのお取引きができるなど、お客さまにより身近な、日常的にご利用いただける機能を備えたアプリです。

今回は、Myセブン銀行アプリを内製している開発チームで、スクラムマスターを務める小林公洋さんと、開発チームが採用しているアジャイル開発や事業会社でプロダクトを内製することの意義について、お話ししました。

小林公洋 Kimihiro Kobayashi
新卒で独立系のシステムインテグレータ(SIer)に入社。その後、スタートアップ企業でのアプリ開発、フリーランスのエンジニア経験を経て2019年にセブン銀行へ入社。デジタルバンキング部所属。Myセブン銀行アプリの内製チームでスクラムマスターを努め、アジャイル開発を推進中。
2021年 Scrum Alliance認定スクラムマスター(CSM®)取得。


アジャイルはソフトウェアの開発手法に限った話ではない


―最近、アジャイル開発という言葉を耳にする機会が増えましたが、そもそもどんな意味なのでしょうか。

小林:「アジャイル(agile)」という言葉自体は「素早い」「俊敏な」といった意味です。くわしくは2001年に公開された「アジャイルソフトウェア開発宣言」や「アジャイル宣言の背後にある原則」などを見ていただくのが良いかと思いますが、アジャイル自体はソフトウェアの開発手法に限った「How」だけの話ではなく、本質的には組織運営やそれに係るマインドセットのあり方についてのものになります。

―なるほど。開発チームの運営や開発手法に限った話ではないんですね。

小林:そうです。顧客の声を聞くこと、変更を常に受け付けること、チームがいつも一緒に働きコミュニケーションをとること、意欲的であること…など様々な原則がありますが、これらはソフトウェアやシステムの開発に限らず、あらゆる組織で活用できる要素になっています。

―アジャイルを取り入れる利点を、一言でいうと何でしょうか?

小林:まずは、「関わるチームのメンバーが楽しい」ということじゃないでしょうか(笑)。
突拍子もないことのように聞こえるかもしれませんが、アジャイルを取り入れることで、ビジネスサイドのメンバーと開発をするエンジニアの間でコミュニケーションが絶えず発生し、お互いの考えを肯定しながら進めることができます。
エンジニアからすると、指示されたものを作るだけではなく、エンジニアサイドからの提案も受け入れてもらいやすいので、やりがいを持ってプロジェクトに関われると思います。
実際、アジャイル開発のひとつであるスクラムでは、「リファインメント」と呼ばれるビジネスサイドの担当とエンジニアが直接仕様を確認するイベントや、「デイリースクラム」と呼ばれる毎日15分程度のミーティング、「レトロスペクティブ」と呼ばれる定期的なふりかえりの場など、様々なコミュニケーションの機会が設定されています。

―メンバーのやりがいや、プロジェクトに関わる楽しさを保ちやすい環境になるということですね。アジャイルで開発されたサービスを利用するユーザ側からすると、どんな利点があるのでしょうか。

小林:ユーザ(お客さま)側の意見が、プロダクトに反映されやすいという点ではないでしょうか。
従来のウォーターフォール型の開発だと、最初に開発内容が決まってしまうので、開発中に実際のお客さまに使ってもらって挙がった声をリリース前に取り込んでいくのは調整が大変ということもあると思います。場合によっては、「恐らく誰にも使われないだろう」と思っているのに開発をしないといけない機能が出てきてしまったりもします。
一方、アジャイル開発では、お客さまの反応や意見を聞くこと、開発の後期であっても要求の変更を歓迎することが原則になっているのが特徴で、内製開発ではそうした取組み(開発の後期にお客さまの反応や意見を取り入れること)も実施しています。


事業会社でプロダクトを内製開発する喜び


―一般にアプリやシステムの開発というと、Myセブン銀行アプリのように事業会社内で内製するよりも、外部のシステム開発会社へ外注するケースのほうが多いと思いますが、小林さん自身は両方経験されていますか?

小林:そうですね。両方のケースに従事した経験があります。
新卒で入社した独立系のシステムインテグレータ(SIer)では、お客さまの企業のシステム開発を経験しました。その後バックパッカーで世界一周したあと、今度はスタートアップに入社して請負でのアプリ開発を担当しました。
新卒で事業会社に入らなかったのは、開発する対象の選択肢を狭めたくなかったからで、最初は色々な企業の業務システムやアプリケーションを見て、幅広く学んだほうがいいと考えてました。

―1~2社目のあいだに挟まったバックパッカー時代が気になるところですが…(笑)。その後セブン銀行に入社されたきっかけは何でしょう?

小林:スタートアップを離れたあと、フリーランスのエンジニアとしてしばらく働いていたんですが、最終的には事業会社に入社して、その中で自社のプロダクト開発に携わりたいという思いがありました。
当時常駐していた企業が金融系のサービスを展開していたことから、次のキャリアも金融事業で自社のプロダクトを開発している組織を探していた時に、セブン銀行を知ったんです。

2019年頃の内製開発ルームの様子(現在は在宅勤務がメイン)

―実際に入社されてから、2年ほど経過していますがどんな感想を持ちましたか?

小林:率直に、組織がフラットで働きやすいと感じました。裁量も大きく、やりたいことを実現しやすい環境だと思います。特に自分が属している開発チームはアジャイルを導入できたことで、よりフラットでオープンなカルチャーを目指せる状況になりました。
日本でも、アジャイルや内製という言葉がポジティブに語られる時代になったと思いますが、まず経営層の正しい理解がなければ導入することすら難しいのではないでしょうか。セブン銀行の場合、アジャイルをベースとした内製開発のPoCを2016年頃からスタートしているので、そういった土壌があったのが大きいと思います。
世界ではアジャイル開発がメジャーになっているものの、日本の大企業と呼ばれる組織では従来のウォーターフォール型の開発がメインのケースも多いと思います。


チームの垣根を超えて、アジャイルを会社全体へ広める

―小林さんはチーム内で「スクラムマスター」という役割を担っていますが、チームではどんなことをしているんですか?
小林:簡潔にいうと、プロダクトオーナーと開発チームのあいだのコミュニケーションをしやすくするのが、スクラムマスターの役目です。専門性や視点の異なるこの二者の関係性がうまくいくようにルールなどを整備し、開発チーム自体に権限委譲することにより自己管理されたチームとなることを目指しています。うまくいけば徐々に私の仕事がなくなるはず、という立ち位置ですね(笑)。
開発チームのチームビルディングはもちろんのこと、最近はアジャイルの考え方を、社内の他の部署やチームにも広げていく活動も進めようとしています。

―どうしてそういった活動が必要と感じたんでしょう?

小林:アジャイルというものが概念的で少し捉えにくいので、かみ砕いて伝えることが必要ということと、開発チームだけに導入できたとしても、会社全体の仕組みがアジャイルにフィットしていないと、うまく効果を発揮できない場面があるからです。
お話ししてきたとおり、アジャイルを導入してアプリを内製することのメリットは多々あります。自分たちの失敗から学べること、外注する際に起こりがちなミスコミュニケーションを抑えられ、完成したあとの「これじゃなかった感」を圧倒的に減らせること、ユーザの声を受けて素早く改善に繋げられることなどが実感できています。

アジャイルで内製開発したMyセブン銀行アプリはSupport DX Award2021を受賞

小林:でも、実際のサービス提供に関わっているのは、開発チームだけではないですよね。
カスタマーサポートやマーケティング、企画などの他のチームの社員も関わることで、サービスが形成されています。そして、この広い範囲の関係者全員が同じビジョンを持てているのか、ということが次に問われてくると思います。
たとえば、サービスの価値を上げる必要な取組みを始めようという話があがっても、それに必要な人員が不足していれば、価値を上げることよりも仕事の量を減らすことに舵を切る判断をすることもあり得ますよね。
それは、その判断自体が悪いということではなくて、「自分たちはなぜこのプロジェクトに取り組むのか」という認識が合っていないのではないかと思います。

―優先すべきことの認識が違った状態だと、いくら話しても判断は一致しないですね。

小林:そうです。私達のチームでは「インセプションデッキ」というものを使って整理していますが、

 ■自分たちはなぜこのプロジェクトに取り組むのか
 ■お客さまに提供する価値は何か
 ■そのためにチームでやること、やらないことは何か
 ■夜も眠れなくなるような問題は何か
 ■優先する要素は何か

といったことをプロジェクトの早いフェーズで決めて、プロジェクトのあらゆる判断を決める屋台骨を共通意識として持っておくと、納得感を持って決断できることが増えると思います。

―サービスに関わる人が多ければ多いほど、認識を合わせるのは大変かもしれませんが、丁寧なコミュニケーションが後々、効果を発揮するということですね。

小林:そうですね。アジャイルは、小さく始めて徐々に仲間を増やしていくことが重要と言われています。いまは大規模スクラムのLeSSという手法を使って開発体制の拡大に挑戦していますが、今後はアジャイルを推進するエバンジェリストとして、社内への普及にも注力していきたいと思います。

編集部より:最後まで読んでいただき、ありがとうございます!小林さんのキャリアが興味深く、「インタビュー時間が足りない!」と感じた回でした😊セブン銀行口座をお持ちの方はぜひMyセブン銀行アプリをご利用してみてください!よろしくお願いいたします。



▼セブン銀行は一緒に働いてくださる方を募集しています!

【新卒採用】

【中途採用】





みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

最後までご覧いただきありがとうございました! セブン銀行公式X(Twitter)でも日々情報を発信しています。 ぜひフォローしてください!