#あの会話をきっかけに
【ショートストーリー】43「賽の目」
六角の鉛筆の上の方を削って1から6まで数字を書いた。小学生ではソレは双六に使われたり、単純に出目の大小を争ったりした。そのうち7から12までの目ができたり、極端なヤツは100万っていう途方もない数を鉛筆の側面に書き込んでいたっけ。
中学生になって、ソレはテストの時に運を試す道具だった。選択肢を睨みながら自分の法則のなかにソレを投げ入れた。運がいいとか悪いとかではなくて、そんな小さな所作で運命に抗
【ショートストーリー】42 あの日君の髪がなくなった時、話したことを君は覚えているか
「嘘みたいな本当の話なんだけどね。髪の毛全部無くなっちゃった」
息子に電話でそう言われ、虚を突かれた。
「なんでそうなった?なんの病気だ?病院には行ったのか?」
予想をはるかに違えたその内容に、私は耳と自分の頭を疑った。
「行ったよ」
息子の声は小さく、少し震えているような声だった。
「それで、なんて?」
「原因は、分からないって。ただ、ストレスが関係あるかもしれない、と」
整理がで