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チンパンジーの恩返し

長野県には小学校の給食で「空弁」
つまり空の弁当箱を持参する文化があります。

持参した空のお弁当箱にご飯を盛り、
おかずは給食センターの食器を使います。
食べ残したご飯は家に持ち帰ります。
近年は廃止になったかもしれませんが。

当時私の通っていた小学校には、
全校生徒でお昼にお花見をする行事がありました。

その際、高学年が低学年のお世話をするわけですが、
私の班の小さな男の子が「ワーン」と泣き出しました。

その子のお弁当箱は空っぽ。

おそらくお母さんに上手く伝わらず、
いつもの給食用の空のお弁当箱を
持ってきてしまったのでしょう。

私はとっさに自分のおかずを分けてあげました。
するとそれを見た下級生たちも真似をして、
空のお弁当箱にどんどん入れていくのです。

卵焼き、唐揚げ、エビフライ、海苔巻き、スイカ・・・。

最終的にその子のお弁当は、
誰よりも豪華になりました。


時は流れて私も大人になり、長野に帰省した時のこと。
家族でレッサーパンダを観に動物園に行きました。

その日は、日差しが強く帽子がなかったため、
私は頭にスカーフをのせて歩いていました。

するとチンパンジーが檻の隙間から手を伸ばし、
私にタオルを差し出してくれたのです。

「オマエ、コレヤル、コレ使え」
とでも言っている様でした。
さすがにもらいはしませんでしたが。(笑)

子供や動物が見せるこういう純粋さ・・・
いつまでも記憶に残るものです。

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