第五回本公演 開場中の上演台本

この記事は、先日(23/07/15-17)終演した セツコの豪遊第五回本公演『授業』の、開場〜開演までの記録です。
なぜそんなものを残すのか。

開場中の居心地が良かったと褒められたからです。

自分用備忘録 兼 他の劇団さんのホスピタリティ向上に役立てれば幸いです。

ご来場が叶わなかった方でも楽しめるよう、脚本風(？)に書きます。

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急坂の上にあるスタジオ。
殺人的な炎天下。

予定している開場時刻の5分前。
すでにスタジオの入り口前には、観客が集まり始めている。
と、入り口が開く。

ジャージの女「予定より早いですが、暑いので開場させていただきます！暑い中ありがとうございます！」

スタジオの中は冷房が効いている。
開場前から待っていた人たちが全員客席に着き、一息ついたタイミングで、ジャージの女がゆるーく声をかける。

ジャージの女「余裕を持ってご来場くださり、ありがとうございます。今、冷房をガンガンに効かせているんですけど、もし寒くなってきたら、遠慮なくおっしゃってください。お飲み物飲んでいただいて大丈夫です。マスクも任意です。リラックスしてお過ごしくださいませ〜。」

ジャージの女は絶対に、かしこまって大きい声を出したりしない。暑苦しくなっちゃうからだ。ただでさえ暑いってのに。

時折、受付のスタッフにも話しかける。

ジャージの女「熱中症になるから、適当に涼みながらやってくださいね〜」

開場中のスタッフ同士の会話は、意外と観客に聴かれているので、決して気を抜いてはいけない。逆手にとって、好感度が上がりそうなことだけを言うのが肝要なのだ(自意識過剰)。

客席が三分の一ほど埋まったタイミングで、またジャージの女が声をかける。ただし、客席の後ろから。わざわざ前に出ると、無駄に注目させてしまい、うざくなるからだ。

ジャージの女「お手洗いは皆様の右手と、受付前にございます。よろしければご利用くださいませ〜。」

ジャージの女はしばし、空調を確認したり、ストレッチしたり、目薬を刺したり、外に出てみたりして時間を潰しつつ、客席が埋まるのを待つ。あんまり畏まると気まずいし、空気に緊張感がアレしてしまうからだ。

客席の三分のニが埋まったタイミングで、これまでのアナウンスを全部繰り返す。

ジャージの女「早くいらしてる方は、再三のご案内で恐縮ですが、(空調、飲み物、マスク、トイレ案内の繰り返し)」

また受付のスタッフにも声をかける。

ジャージの女「来てないのあと何人ですか？…あとちょっとですね。皆さん早く来てくださってありがたいですね。いやぁ、ありがたい(本当にありがたいので、心がこもる)。スタッフさん、涼んでくださいね、蚊にさされてないですか？(これは偽善)」

開演5分くらい前。

ジャージの女「あと、5分ほどで開演させていただきます。お手洗いは…(繰り返し)」

この後は、全体に向けてはトイレの案内をしない。
あんまりしつこく言われると、かえって行きたくなっちゃうからだ。
なお、開演ギリギリに入ってきた人には、個別に確認する。

遅れる観客は待たず、定刻で開演。

開演するっぽい音楽。
ジャージの女が前に出てくる。

ジャージの女「あらためまして、本日はセツコの豪遊第五回本公演『授業』へご来場くださいまして、誠にありがとうございます。開演に先立ちまして、何点かご案内させていただきます。まず、携帯電話、時計のアラームなど、音や光の出る電子機器は、あらかじめ電源からお切りくださいますよう、ご協力お願いいたします。…私まだしばらく喋りますので、今、取り出してご確認いただいて大丈夫です。(ひと呼吸) えー、確認しながら、片耳で聴いていただければと思います。本公演、上演中もお飲み物飲んでいただけます。今のうちにお手元に出していただければと思います。上演中にお飲み物を探されると、ガサガサいう音が気になる、という方もいらっしゃると思いますので…まあ、でも、あれです…(意味ありげに間を取る)…今回の演目は、一言一句一生懸命聴いたから、よくわかるかっていうと………べつに………まあ聴いてもよくわからないと思いますので、それよりは、細かいことに目鯨を立てずに、お隣の方と良い関係を保って、リラックスしてご観劇いただければ、幸いでございます。(ゴソゴソしてる人がいないか確認して、)…緊張して喉が渇いてきたので、私もひと口飲ませていただいてよろしいでしょうか、すみません…(観客に背を向けて水を飲む)…はい、整いました。ありがとうございます。それでは、最後までごゆっくりお楽しみくださいませ、失礼いたします。」

開演。

この記事はここでおしまいです。
ご精読ありがとうございました。

(舞台写真：古元道広)