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あと一球みたいな夜

あと一球コールが響く神宮球場。
抑えのサウスポーが特大の逆転2ランを浴びて膝から崩れ落ちた。

小雨が降る球場は、重苦しい空気が包み込み、ナインがベンチに去ると同時に、雨は一気に大粒の雫へと変わった。

アタシはその日、車で誰かを跳ねてしまった。
190センチ近くある長身の彼は、プロ野球選手だという。
私は、球界の宝として君臨する彼の骨を粉砕してしまったのだ。
前日、抱かれた彼を――。

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