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片手袋を拾ったせいで

人には必ずターニングポイントがあると言う。
アタシの場合はどうか。もちろん。アタシにもある。

2か月前、朝の路上で片手袋を見つけたときであると確信している。

「やば、イタっ」
冬が本気を出してきた2月のことだった。
アタシは帰り道に凍りかけた片方の手袋を見つけた。
「あるある」の最たるものの一つに興味を示すほど暇ではないし、寒い。
凍てつくとかはこのことだ。

アタシは真っ赤な手袋をまたいで通り過ぎた。

周りは雪が解けて水たまりになっていたから手袋の上を通るしかなかっただけ。なんの悪気もなかった。

まさか消えた理子先輩の手袋だとは思わないじゃん。
行方不明の知らせを聞いてすぐに片手袋を取りに行ったけれど、そんなものはなかった。
いやそれは知ってたよ。理子先輩もこんなの付けてたなって。
でもさ、片手袋は拾わないじゃん、普通。

そして今日、理子さんの腐敗した死体が見つかった。
片足が切り取られていた。

片手袋は何だったのだろう。



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