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藤岡康太を悼む

2009年の日本ダービー当日、私は東京競馬場にいました。昼過ぎまでは曇り空でしたが突如として豪雨が降り注ぎ、馬場状態は急激に悪化しました。ダービーの勝ちタイムは2分33秒7、上がり3ハロンは39秒7という凄まじい消耗戦でした。

制したのはロジユニヴァース。横山典弘騎手は悲願のダービー初制覇でした。そして、前半1000mを59秒9で逃げて最下位に沈んだのが、NHKマイルカップを制したばかりのジョーカプチーノと弱冠20歳の藤岡康太騎手でした。馬場状態を考慮すると暴走だったわけですが、思い切りの良い騎乗は印象に残りました。

その康太騎手が落馬事故によって35歳の若さで亡くなりました。昨年お子さんが生まれたばかりだそうで、11月のマイルチャンピオンシップでは先述のNHKマイルカップ以来14年ぶりのG1制覇も果たし、これから仕事も家庭もいっそう充実させていこうという時期だっただけに、残念でなりません。ご家族の悲しみも察するに余りあります。

パトロールビデオを確認したところ、馬が故障したわけでも多数の馬でごちゃついたわけでもありませんでした。JRAの裁決委員は康太騎手の御法に問題があったとして過怠金を課しましたが、判断ミスがあったとしても人命が失われる事故になる可能性は極めて低い状況でした。数十年に一度の不運と言って差し支えないでしょう。

今週も競馬が開催され、仲間を失った騎手たちはいつものように危険と隣り合わせのレースに臨みます。康太騎手の兄の藤岡佑介騎手も同様です。1ファンとしてすべての人馬が無事にゴールしてくれることを願いつつ、いつものように馬券を買って応援しようと思います。

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