制作・福祉・真顔──小さな集団とガバナンス(前編)

この記事は後編とあわせて、2012年に活動を開始したレトリカという小さな同人集団のガバナンス(統治)について考えるものである。こんなことを考えているのは、レトリカが活動開始から8年目を迎え、やっていることが多岐にわたるようになり、最低限の管理運営の仕組みをつくるタイミングになってきたからである。

制作・福祉・真顔

小さな同人集団のガバナンスというメインテーマに入る前に、まずレトリカの現在の活動を振り返りたい。やっていることを分類すると、およそ制作と福祉、真顔の3つの側面があるように思う。ヘンな言葉が混じっているが、これから説明する。

制作

1つ目の制作については、雑誌や料理、イベント、展示、謎の資料(まさにこの資料のような)をつくるということである。レトリカはもともと批評同人として出発しており、批評誌『Rhetorica』の制作や、その刊行に伴うイベントの実施などが制作に分類される。こうした制作物を発表するときに一番露出が多いので、対外的にも制作をやっている集団だと思われているのではないかと感じる。

ただし、制作過程で用いられる内輪向けの企画書やポンチ絵をつくる作業も制作に当てはまると考えている。制作=公開とは考えていない。公開してなにかしらのリアクションをもらったり、評価を得たりすることも大切だが、制作そのものの楽しさや充実感といった価値をなにより大切に思っている。

福祉

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