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家にあった大量の文房具を寄付した話

10万円の給付金から9万円の寄付をした話 を書いたけれど、そういえばもっと昔に大量の寄付をしたことがあったので、合わせて書いておこうと思う。というか、#THE_NEW_COOL_NOTERSのタグを10万円の方につけてしまったのですけど、普通に文字数規定を見ておりませんでした、申し訳ありません。

こんまりの「ときめき」を得るために

元々のきっかけは、こんまりの「人生がときめく片づけの魔法」である。大学生の時にこんまりの「片づけ祭」を行った。ときめかないものを相当数手放したが、やはり「使えるのに捨てる」のが忍びないものもたくさんあった。
本は古本屋に専用段ボールを送ってもらうプランで回収してもらった。びっくりするほど安い値段になり、最低価格を下回っていたので今後は無料回収を受け付けてもらえなくなった。しかし、本棚が空いて新しく今読みたい本を買えるようになったし、処分した本も価格分は読み倒したものが大半なので気分は晴れ晴れとしている。部屋着として着るにときめかない服も処分した。特に、学校の制服などは記念に取っておこうなどという気持ちは微塵もなかった。有名女子校なのでメルカリに一式セットで出すと元値より高く売れたと聞いたが……。

さて、処分に難儀したのが、大量の文房具である。特に色鉛筆がえげつなかった。24色入り×3つ、9色入り×4つ?
小学校に上がる前に両親が買ってくれた色鉛筆、母方の祖父母の家で使っていた色鉛筆、父方の祖父母が買ってくれた水採色鉛筆、学校で指定された色鉛筆、親戚がくれた色鉛筆、百貨店の福引でもらった色鉛筆、旅行先で可愛いからと買った色鉛筆、なぜかお洒落美容室がくれた色鉛筆……色鉛筆だけでこんな調子だった。同様にクレヨンと、明らかに使わない色もセットになった蛍光マーカー、ミルキーペンにマーブルペン、縁取りペン、メタリックペン、香りつきペンに消しゴム……
うんざりするほどあった。友達のお誕生日会や、ピアノのクリスマス会でもらった中途半端なサイズのノートなども殆ど使わないまま、縁が黄ばんでいるものもあった。
これらの一番厄介なところは、「まだ使える」「なんなら新品」「99%もう私は使わない」である。キラキラしていて可愛いし、大量のミルキーペン等々は女子にとっては学生時代の思い出の集大成でもある。
色鉛筆だって、少なくとも両親と祖父母と親戚、母の友人などなど……私の幸せ、情操の発達を願って買ってくれたのである。お絵かきも色塗りもド下手くそのままで本当に申し訳ない。どのセットも茶色だけが極端にチビている。学校でやらされるプリントの色塗りがとても嫌いだった。木製の机は茶色でしか塗れない面白みのない子だったのだ。ピンク色が短くなっている子のことがわからなかった。身の回りに、特に学校に、ピンク色の物なんかそんなにないのに。
家じゅうひっくり返すまでもなく、私の学習机周りだけで相当の文具が現れた。インクの出ないペンや汚れてしまっているノート類を除いても、かなりの量があった。小学生向けの可愛らしい鉛筆も相当ストックが残っていたが、鉛筆を使う機会はもうそんなに多くない。名前入りでなかったことは救いだ。
これらが私に与えてくれたときめきは、その時々に充分味わった。今はもうときめきを感じないので、やはり誰かに譲るべきだろう。
ネットを駆使して、物品を限定せずに引き取ってくれる団体を探した。新品に限定されている団体、鉛筆等の使用頻度の高いものに限定されている団体などがあった。私はとにかくなるべくたくさんの文具を一度に手放したかったし、確実に誰かに使ってもらいたかった。そういう基準で選んだ団体が、一般財団法人 NGO時遊人 である。こちらでは、現在はランドセルの寄付も受け付けている。

物の寄付には送料がかかる

前回に書いた現金の寄付に比べて、文具のような現物寄付の難しいところは送料である。私が送るときではなく、支援団体が支援先に送るときの送料が馬鹿にならないのだ。なにしろ、送り先はいわゆる「水汲みの仕事があって学校にいけない子供たち」云々でイメージされるような土地もあるので、遠い。届けられるべき人が海外と直接つながっている都市に住んでいるわけではないから、確実に彼らの下に届けるために、団体によっては日本在住の職員が直接運び人もしている。観光旅行に行けるような、直行便が一日に何本も出ているような土地ではないから、飛行機代も高い。寄付品を送る際には「支援金として一口500円以上を合わせて」送らなければならなかった(私の寄付当時。現在は段ボールひと箱につき1000円以上)。送料に限らず、品物の確認等の事務作業にはコストがかかる。団体の運営費が必要なのだ。
ゴミとして捨てればタダである。でも私は、500円払ってこの団体に自分の文房具を引き取ってもらうことを選んだ。なぜか。

罪悪感を減らしたいという欲求

こちらの団体では、「支援品を受け取りました」と写真つきでウェブサイトで紹介してくれる。それを見ていると結構な数の人が利用しているとわかる。自宅で、使わない文具の処理に困っている人はやはりいるのだ。そして、ただ捨てるのはいやだと考える人である。
「使えるものを捨てる」ことに対して罪悪感を持つ人が少なくないのだろう。寄付することでその罪悪感は消え、なんならいいことをした気分になれる。
誰かの罪悪感を楽にすることは商売になりうるのだ。例えば、エコバッグなど……1500円するエコバッグなら、5円のレジ袋300枚分であるから、ものすごく単純に計算して一年の買い物分程度である。エコバッグだってボロくなってくれば処分することもあるだろう。果たしてどちらが安くつくだろうか。なお、1500円のエコバッグはスーパーでの2~3人家族分の食料の買い出しに使うサイズ感のものでは安い部類だったりする。

お金じゃなくてもwin-winの寄付ができる

その他、古本屋ではない団体に古本を送ることで、その団体が古本屋等に持ち込んで金銭に替えて、寄付としてくれる団体もある。衣類の寄付もある。特に、男性物の背広等はホームレスの就職支援に非常に役立つらしい。
まだ使えるけど、ほとんど新品だけど、自分はもう使わない。そんなものが家に眠っていたら捨ててすっきりとするのももちろんいい。だが、捨てることに罪悪感があって苦しいのなら、ぜひ寄付について調べてみて欲しい。あなたの罪悪感も救われ、どこかの誰かの不便や不足が救われる方法に出会えるかもしれない。
ただし、忘れないでほしいのは、あくまでも新品や美品に限るということである。使い古しの衣類などは諦めてゴミにするべきだ。途上国であれ、ホームレスであれ、私たちが出したゴミを使っておれ、などと侮られるべきではない。「まだ綺麗だから誰かに使ってほしい」という心を大切にしてほしい。

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