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セプテーニグループが目指す「なめらかな未来」とは? ~ 20年ぶりのアップデートの背景と、新ビジョンに込めた思い

こんにちは。セプテーニグループnote編集部の宮崎です。

セプテーニグループは先日、グループの理念体系を刷新しました。そこで今回は、コーポレートデザイン室の室長で、グループのサステナビリティ委員会 理念浸透プロジェクトの責任者をつとめる加来さんから、グループ代表の佐藤さんとセプテーニ・ホールディングス社外取締役の石川さんにインタビューを実施しました。ぜひご覧ください。

佐藤さん (写真:中央)
セプテーニ・ホールディングス新卒入社3年目にネット広告事業を立ち上げ、 同社を国内トップクラスのデジタルマーケティング企業に育てる。2009年に代表取締役(現任)社長に就任。

石川さん (写真:右)
東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。公益財団法人Wellbeing for Planet Earth代表理事。「人がよく生きる(Good Life)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、概念進化論など。2019年12月よりセプテーニ・ホールディングス社外取締役に就任。

インタビュアー:加来さん (写真:左)
2006年セプテーニ新卒入社。クリエイティブ部門などを経験した後、新規事業コンテストを通じて2018年にグループ会社としてサインコサインを設立。グループのコーポレートブランディングを推進するコーポレートデザイン室、グループの新規事業創出を支援するセプテーニ・インキュベート取締役も兼務。

変化にともなって、より事業解像度の高いビジョンが必要になった

加来さん:
今期よりセプテーニグループの理念体系を改定し、ビジョンとバリューをリニューアルしました。今日はお二人から理念の刷新の背景、言葉に込めた思い、そしてこの理念を掲げてこれからどのような未来を思い描いているのかお伺いしたいと思います。最初に、理念リニューアルの動機や背景について、佐藤さんいかがでしょうか。

セプテーニグループ新理念体系

佐藤さん:
今回の理念刷新では、ビジョンと、従来の行動規範「Septeni Way」に代わるバリューの2項目を変えました。そのほか2項目は従来と変えていません。変えるものと変えないものに分けることにしました。

セプテーニグループ旧理念体系

リニューアルの背景ですが、取締役会でもみなさんから当社の理念について様々なご意見をいただいていました。大まかに整理すると、我々の理念体系のうち、ミッション「ひとりひとりのアントレプレナーシップで世界を元気に」はすごくフィットしているという声が多かった。浸透している、そしてセプテーニグループらしいと。

一方、ビジョンについては課題を指摘されていました。というのも前ビジョン「強く偉大な企業をつくる」を掲げてから20年近く(※)経過しており、20年前と今、ないしはここから先の未来を考えたときに、私たちを取り巻く環境の変化は大きい。それら様々な変化がある中で、前ビジョンが示していることと、我々の事業、お客様に提供しているサービスとの距離が開いてきたと感じました。
(※)「強く偉大な会社をつくる」は2004年に発表された7ヵ年中期経営計画の中ではじめて掲げられました。

デジタルマーケティング事業の創業から20年近く経った今、我々が事業を通じてどのような社会的インパクトを与えたいのか、お客様に対してどのような価値を提供するのか、また我々が未来にどのような企業でありたいのかを示すには、もう少し事業の解像度を上げたビジョンに作り直した方が良いのではないか。このような議論が交わされていました。

石川さん:
社外取締役という立場だと、専門で取り組んでいる従業員のみなさんと比べると、事業のことはそこまで解像度高くないところがある。そうすると、どこに拠って立って意思決定や判断をすれば良いのか。ミッション「ひとりひとりのアントレプレナーシップで世界を元気に」は社外取締役もみんなが共感して、そしてセプテーニらしいと思っているんですよね。一方で、世界を元気にしようと思ったら、やることが多すぎる(笑)。そもそも「世界を元気に」から逆算して今日何をしようかと考えるのは無理なんですよ。そんな中で、中間地点になるものがあれば良いねという話が取締役会で出ていました。

加来さん:
なるほど。はじめて新ビジョンをご覧になった感想はいかがでしたか。

石川さん:
とてもセプテーニグループらしいと思いました。特に新ビジョンの1文節目「新しい時代をつくる人が育つ場となる」。人ってこうやって膝を打つんだ、というように、すっときました。

自律分散的なグループ経営だからこそ、包括的なグループの理念はシンプルに


佐藤さん:
セプテーニグループは、グループ企業 数十社で構成される企業集団です。そして、各グループ企業が自律して成長しています。

セプテーニグループという企業集団の中で、各企業が自律分散的にそれぞれの事業を伸ばすために最適な行動を取る。事業ごとに顧客は異なり、法人のお客様もいれば個人のお客様もいらっしゃいますので、それぞれのお客様に対してベストを尽くそうとすると、各事業に適した理念が必要になります。結果としてグループ会社ごとに独自の理念体系が構成されてきました。

そうなると自分が所属する企業の理念に加えて、グループの理念も存在し、数が多く複雑になっていました。そんな背景からグループ全体を統治する横断の理念はもう少しシンプルにしたいと考えたことも、理念刷新の理由の一つです。

加来さん:
新ビジョンの3文節目のように、複雑なものをシンプルにということですね。ここからはビジョンの内容についてお伺いします。1文節目「新しい時代をつくる⼈が育つ場となる」はあえて「場」という表現を選ばれたのですか。

「新しい時代をつくる⼈が育つ場となる」

佐藤さん:
1文節目は、我々の軸のようなものです。創業以来、人と組織がセプテーニグループのコアバリューであり、事業における競争力だと言い続けてきました。そんなこともあって、最初に「人」軸を置くと決めていました。

会社には箱のような目に見える形はありません。でも会社は人が集って価値を生むので、「場」には価値があるのではないかと。世の中にこれだけ多くの人と会社が存在する中で、セプテーニグループという「場」に集まってくる人には何かしらの共通点がある。それが今回のフレーズ「新しい時代をつくる」という言葉に表されていると思います。そして背景にはミッションの「ひとりひとりのアントレプレナーシップ」がある。アントレプレナーシップを持った人たちが、新しい時代をつくるのではないかと。

統合報告書の価値創造プロセスにおいても、「当事者意識が高く起業家精神あふれる人材」をコアバリューとして表現しています

加来さん:
会社1社だけでは実現できないことも、セプテーニグループという場に集えばできるかもしれない。これもグループとして集うことで新しい価値を生むという意志のあらわれですね。

「クリエイティビティとテクノロジーによって、なめらかな未来へつながるドアを広げる」

加来さん:
1文節目は「人」軸。2文節目は何軸ですか?

佐藤さん:
2文節目は「コト」軸。事業に関する内容で、お客様に向けた自分たちのありたい姿の言語化です。クリエイティビティとテクノロジーは、セプテーニグループの事業の価値の源泉。自分たちに対してある種の縛りを持つことで、力を増幅させイノベーションの創発を促したいという意図があります。

我々はデジタルの産業に軸足を置いて事業を展開しています。いわゆるピュアインターネットから徐々にフィジカルな世界にデジタルの力が働く、そしてそれが加速する今後においては、デジタルのサービスがより広く世の中で役立つようになります。そういった世の中で、クリエイティビティとテクノロジーを磨き上げた集団は、お客様にとって非常に価値があると考えます。

それから「ドアを広げる」という表現には、ドア自体を大きくすることで通りが良くなり、行き来しやすくなって未来に向かう速度が上がるという意味と、お客様と一緒にドアを通り、共存共栄してともに成長するという思いを込めています。

自分たちがいることで、いない場合に比べてより良い未来をつくることが事業の果たす役割だと思います。そういう意味で、顧客体験やステークホルダーとの共存共栄を通じてどんな未来を作るのかという、未来のありたい姿をつなげて2つ目の文節ができました。

「なめらかな未来」とは?

加来さん:
ドアを開けて一人でさっさと行くだけではないということですね。ありがとうございます。ちなみに「なめらかな未来」もとても印象的なフレーズだと思います。石川さんの考える「なめらかな未来」はどのようなものでしょうか。

石川さん:
解釈は人それぞれで良いと思うのですが、僕はなめらかというのは、革命で血を流さないことだと思います。ウィキペディアの「革命」の項目に「日本では、有史以来革命が起こったことがないとされている」と書いてあるんです。明治維新のときも「無血開城」、なるべく血を流さずになめらかな未来につなげました。

ちょっと余談っぽくなるんですが、そもそもアントレプレナーシップって日本においては坂本竜馬だと思うんですよ。彼は日本で最初の株式会社とも言われる亀山社中を作ったときに、条件を2つ課したと伝えられています。1つ目は脱藩していること。2つ目が世界に目を向けていること。今までの時代の価値観から脱藩し、新しい時代、世界を元気にする。この意思がある方に亀山社中に来てくれということなんですね。

竜馬たちは、うまくつなげていくことで、まさになめらかな未来をつくっていった。なめらかな未来をつくるときには倫理観がすごく大事で、僕はこれが3文節目に入っている「明るくシンプルに」ということだと思います。お客様だけではなく、社会全体がこの仕事によって「明るくシンプルに」なっているか。この倫理観を持つことが、なめらかな未来につながるのではないかと思います。

「複雑化した世の中を、デジタルの⼒で明るくシンプルに」

加来さん:
ありがとうございます。1文節目が「人」軸、2文節目が「コト」や事業の軸、3文節目はその先にある広い世界や社会全体の軸でしょうか。

佐藤さん:
この文節は広く世の中や社会、幅広いステークホルダーの方に対して伝えていきたいことや実現したいことを表しています。石川さんがおっしゃったように、最後の「明るくシンプルに」というのがセプテーニグループらしさを表す言葉ではないかと。

企業活動はステークホルダーを増やして、その人たちと深いエンゲージメントを交わして、企業価値を高めていくこと。結果として売上や利益が持続的に上がる。シンプルで伝わりやすい方が仲間を増やしやすく、成長が早い。せっかくなら、自分たちの志に共感いただける仲間をより広く社会に増やし、たくさんの仲間とおもしろいことをした方が喜びや幸せは大きいと思います。

加来さん:
3文節目の世界や社会に対しての価値貢献はセプテーニグループらしさもあり、それをより多くの人たちと共有していこうと描かれているのが良いなと思います。そしてその姿勢を手に取れるアイテムとして具体化したのがまさに先日リリースしたブランド「 YOUR QUEST, OUR LIGHT. 」だと思いました。

おわりに

加来さん:
ここまで理念体系刷新の背景や、特にビジョンに込められた思いについてお話をお伺いしました。最後にお二人からセプテーニグループのメンバーにメッセージをお願いします。

石川さん:
デジタルを使えば何でもシンプルになるわけではないので、目的意識が大事だと思います。戦時中、軍事用レーダー開発の過程で見つかった技術が、平和な利用で電子レンジになったり、物は何でも使い方次第というか、こちら側の意識次第というところがありますから。

それから特にビジョンはぜひ印刷して、自分の身の回りの見えるところに貼っておいてほしいですね。「自分は時代をつくるんだ」「なめらかな未来をつくるんだ」いう自覚をひとりひとりに持ってほしいです。このビジョンを解釈しながら、33期を過ごしてもらえればと思います。

佐藤さん:
まずは新理念について発信する機会を増やしたいですね。言葉だけ聞いてわかるものではなく、伝え続けて初めて伝わるものだと思いますので。

その上で、これから先、企業としての意思決定をしていく中で、我々の指針として理念を活かしていくことが大切だと考えています。たとえば会議の場でAにするかBにするか議論になった際に、どっちがミッション、ビジョン、バリュー、社是に適しているだろうかと、何かを意思決定をするときの自分たちの指針になるように役立てていきたい。

そしてグループ理念を、日々顧客への貢献に全力を尽くしてくれているセプテーニグループのみなさんの仕事に役立つ、迷ったときに霧が晴れるようなものにしたい。そのためにも伝える機会を増やしていきたいですね。

加来さん:
理念浸透プロジェクトでも、今後社内向けに様々な対話の機会を作ります。少しずつ新ビジョンを咀嚼しひとりひとりとのつながりを育んで、文字通りグループの指針となる状態を一日でも早く作っていきたいです。本日はありがとうございました。

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