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セプテーニグループのクリエイターたちが、美大で出張授業をしたお話。

こんにちは。セプテーニグループnote編集部の宮崎です。CSR委員会の事務局を担当しています。

セプテーニグループでは、CSR活動の重点テーマに、文化・スポーツ・エンターテインメント産業の支援を掲げています。先日その活動の一環で、美大生のキャリア支援に関するオンライン出張授業を横浜美術大学にて実施しました。

本日は、講師として参加してくれたセプテーニグループのクリエイター3名と、CSR委員会のメンバーでもあるビビビット代表の小宮さんに、出張授業を実施することになった背景や、授業内容に込めたメッセージなどをお伺いしてきました。どうぞご覧ください!


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小宮さん
2010年セプテーニ・ホールディングス新卒入社。人事部門で新卒採用を担当。グループ内事業プランコンテストでの優勝を経て、ポートフォリオを介したデザイナーと仕事のマッチングプラットフォーム「ViViViT」を開発・運営するビビビットの代表をつとめる。


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神蔵さん
2013年セプテーニ新卒入社。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業後、クリエイティブ部でデザイナーとしてキャリアをスタート。2014年社内アワードでクリエイター賞を受賞、その後アートディレクション、プランナーに活動の幅を広げる。現在はマーケティング戦略本部第二コミュニケーションプランニング部の部長をつとめ、デジタル認知、オンオフ統合の領域に向き合う日々。


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大高さん
2015年セプテーニ新卒入社。武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業後、クリエイティブディレクターとして従事し、国内海外業種を問わず幅広くクライアントワークに携わる。現在はマーケティング戦略本部にてコミュニケーションプランナーとしてコミュニケーション戦略立案〜企画設計〜納品までを担当。2017年には社内アワードでクリエイター賞を受賞。


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田中さん
2017年セプテーニ中途入社。大阪芸術大学出身。Webシステム系の制作会社のWebディレクターを経て、セプテーニにてディレクターとして従事し業種に特化したクライアントワークに携わる。社内アワードでベストクリエイター賞を2度受賞。現在はクリエイティブ本部にてシニアクリエイティブ・ディレクターをつとめる。


美大で出張授業をした理由


─ 最初に、なぜ美大への出張授業を実施することになったのか、お話しいただいてもいいですか?

小宮さん:
一昨年からCSR委員会の文化の支援担当として活動しています。活動を推進するにあたって、セプテーニグループの強みやグループの人の力を使って、どんな社会課題に貢献できるんだろう、社会にどんな価値を提供できるんだろう、というのをチームで議論したかったんですよね。

そんな経緯で、美大出身の神蔵さん、大高さん、田中さんに声をかけて、ブレストからスタートしました。

─ 小宮さんはCSR委員会へは立候補での加入でしたよね。自ら手を挙げてくれたのは小宮さんがグループ初なんですよ。

小宮さん:
そうなんですね。僕の担当しているビビビットの事業(※)とCSR活動の文化の支援って、掛け合わせることで、すごく大きなシナジーが生まれそうだなと思ってるんですよ。

CSR活動に取り組むことで文化の支援に貢献できて、結果としてビビビットの事業に還元できたら最高じゃないですか。
※ビビビットでは、ポートフォリオを介したデザイナーと仕事のマッチングプラットフォーム「ViViViT」を開発・運営しています。


─ たしかにそうですよね。セプテーニグループのCSRは事業を通じて社会に貢献することを目指しているので、すごくマッチする動きだなと思っています。今回一緒に活動をしたクリエイターのお三方が美大出身だというのは、もともと知っていたんですか?

小宮さん:
三人とも、入社前から知っているメンバーなんですよ。神蔵さんは僕が採用担当をしていた頃の内定者、大高さんは「ViViViT」のユーザ、田中さんはビビビットの転職支援サービスを使ってセプテーニに中途入社してくれて。

入社後も三者三様に、それぞれの分野ですごく活躍しているっていう話はよく聞いていたので、とても嬉しかったですね。

僕が担当する文化の支援についての取り組みはゼロからの立ち上げだったので、いいスタートを切れるように、ある程度気心の知れたメンバーと一緒にやりたいと思っていて。なのでこの三人に声をかけて、ブレストを繰り返しながら方向性を固めました。

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─ 「美大×キャリア支援」というキーワードはスムーズに出てきたんですか?

小宮さん:
そうですね。直接的に業績に貢献するわけではないけど、まわりまわって企業価値を上げることにつながるこういう活動こそ、地道に長く続けていきたいじゃないですか。そのためにも、僕たち4人がモチベーション高く取り組むことのできるテーマを選ぶことってすごく大事だなと思ったんですよ。

かつ、僕たちのもっているノウハウを活かすことが出来たら、世の中にとってもプラスだろうし、自分たちの本業にとっても価値が出るかもしれない。そう考えていくうちに、美大生に対するキャリア支援っていう方向性が見えてきました。

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▲出張授業で使用したスライドより


美大生時代に感じた課題


田中さん:
僕は大阪出身なんですけど、ブレストの中で「地方の情報格差」について話しました。僕自身もそうでしたが、美術系の学生が東京での就職を選ぶことってけっこう多いと思うんですよね。

そうなると、地方学生にとっては就活の時点で、距離によるハンディとか情報の格差とかが事前に想像していた以上に大きな壁になるんです。

実際に、関東に住んでいる他の美大生と比較して一歩動きが遅くなってしまったこともあって。それに気づいて歯がゆい思いをすることもあった、という体験談をみなさんに共有しましたね。

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小宮さん:
そうそう、それって課題だよねと。だったら美大生がクリエイティブを仕事にするために知っておいたほうがいいことをコンテンツ化して、どこからでもアクセスできるようにして情報格差をなくしていけるといいよねって話になりましたね。

実際にビビビットでつながりのある学校さんにそういった意図を打診したところ、横浜美術大学さんからぜひ、と回答いただいて、まずはトライアルで授業を実施することになりました。

神蔵さん:
新型コロナウイルスの影響でオンラインシフトがどんどん進んで、リモートでのやりとりが当たり前になったからこそ、この取り組みは価値を発揮できそうだね、という話にもなりましたね。出張前提だと現実的じゃないことも、オンラインなら可能になることってあるよねと。

─ なるほど。よくダイバーシティ推進の中で「マイノリティが働きやすい環境は、マジョリティにとっても働きやすい環境」という話が出るのですが、同様のことが言えそうですね。こういったコンテンツの提供は、首都圏の美大生にとってもメリットがあるんじゃないでしょうか?

神蔵さん:
そうかもしれませんね。私は首都圏の美大に通っていたんですけど、学生時代に「クリエイターとして働く」というイメージをあまり具体的に持てなかったんですよ。

もしかしたら、都内にいる情報感度の高い学生のみなさんは、どんどんインターンに挑戦したり、情報取得して行動したりというのが当たり前なのかもしれないんですけど、必ずしも全員がそうではないと思うんですよね。

個人的には、社会でクリエイターとして働くってどういうことなんだろう、みたいな情報、授業でもっとちゃんと聞けばよかったなと思います。

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思いを詰め込んだ授業内容


─ 今回オンラインで実施した授業には、クリエイターのみなさんの実体験からの思いが込められていたんですね。授業の骨子づくりや流れは小宮さんが担当されたんですよね?

小宮さん:
そうです。役割分担して資料を作成してもらったんですけど、想像を大きく超えるクオリティのものが出来上がってきて。僕のパートのデザインまで手入れしてもらってすいません、って感じでした(笑)

大高さん:
そういえば、資料作成にあたって、田中さんと2~3時間くらいテレカンで話し込みました。学生の頃はこんなことを考えていた、こんなことを課題に感じていた、というお互いの思いを共有しあって。

そんなに長く話すつもりはなかったんですけど(笑)。でもここで徹底的に話せたのは、コンテンツを作っていく上ですごくよかったと思います。

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─ そんなに!本業が忙しい中、そこまでコミットしていただけるなんて、事務局としては感無量です。そもそもこの取り組み自体がボランティアなんですが、なぜそこまで熱意を持って取り組んでくださったんでしょう?

大高さん:
私自身、学生時代にどう就活を進めていくべきか理解しきれないまま就活に突入してしまって、結構苦戦した思い出があるんです。

特に美大生の就活はポートフォリオ(※)制作があるので、本来であれば計画的に取り組まないといけないんですけど、焦って超大急ぎで仕上げたりして。もうちょっと早くから準備をしていれば、と後悔したこともありました。

(※)自分の作品をまとめた作品集。制作実績や経歴など、クリエイターにとっての履歴書のようなもの。

なので、これから就活に向かう美大生のみなさんには同じ過ちを繰り返して欲しくないな、という思いが一番強かったです。「就活しなきゃ、でも何から始めればいいの?」と不安になっている美大生にとって、今回の講義が一つの道しるべのようなものになるといいなと。

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─ なるほど。田中さんは、なぜ熱量高く取り組んでくださったんですか?

田中さん:
僕の場合、自分が関わった取り組みや人との関係が、将来、思いも寄らない形で自身にポジティブに返ってきた、という経験があって。たとえば小宮さんに出会ってセプテーニを紹介してもらって今に至る、というのもその一つなんですけど。

なので、こういう機会があったら全力でやってみる、というスタンスだったのが、熱意をもってこの取り組みに向き合えた理由の一つですね。

あとは学生時代に、いろいろな方にお話を聞く機会があったんですけど。自分ごと化できるように工夫して話してくださる方もいれば、そうではない方もいたんですよね。

そんな経験から、もし自分が大人になって、社会や後輩になにか還元できるきっかけがあったら、当時の自分が納得できたり、興奮できたり、そんな内容を届けたいって思っていました。今回の取り組みにはそんな思いも込めています。

神蔵さん:
私はこの業界の仕事がとても好きですし、学生の頃から志望していたんですけど。社会人になった今振り返ると、当時の私は、実際にどんな仕事なのか具体的なイメージを持てていなかったなと思ったんですよね。

この仕事って、すごく夢がある楽しいものだと思っているので、就活で悩んでいる人たちがより具体的に仕事内容を想像できて、選択肢が広がったらいいなと思ったのが積極的に関わった一つ目の理由です。

あとは、クリエイターとして授業をさせてもらう以上、中途半端なクオリティの資料は出せないし、出したくないという思いもあって、資料のクオリティにはこだわっちゃいました。

─ 授業後のアンケートでも、スライドが見やすかったという声がありましたね。

小宮さん:
そうですね。スライド以外についても総じてポジティブなコメントをいただけてよかったです。

大高さん:
面談やポートフォリオについての内容が参考になりました、という声が多くあって、それも嬉しかったですね。

田中さん:
そうですね。僕と大高さんは、面接やポートフォリオ制作の経験談について話したんですけど、アンケートを見ると「どう見せるか、という視点を持てた」等のポートフォリオに関するコメントが多くあって、伝えたかったことが伝わってよかったなと思いました。

大高さん:
いかに咀嚼して彼らの目線に立って伝えられるか、というのをすごく考えたからこそ、伝わったのが嬉しいですね。学生のみなさんに対して、社会人5~6年目の言葉で伝えても響かないなと、自分自身を振り返って思っていたので。

しくじり話を入れたり、田中さんとの掛け合いを入れてみたりして(笑)、自分ごと化してもらえるように色々仕込みました。

─ 大高さんと田中さんが体験談を中心としたお話、神蔵さんはもう少し概念的なお話をされたんでしたよね?

神蔵さん:
はい、広告代理店のお仕事の中でクリエイターがどんな役割を果たすのか、というパートを担当しました。自分の仕事を業界外の方に理解してもらうためには、噛み砕いてお伝えする必要があるので、そういう視点で自分たちの仕事と改めて向き合いました。通常の業務ではあまりないことなので、すごく面白かったですね。

─ 噛み砕きすぎても具体的な理解が得られないし、詳細すぎても全体感を捉えられないし、バランスと粒度が難しいですよね。でもそれぞれに手応えを感じていただいたようでよかったです。

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今後チャレンジしたいこと


─ みなさん今後はどのようなことにチャレンジしてみたいですか?

小宮さん:
次回の機会があれば、録画ではなく、ライブでやりたいですね。お互い反応を見ながら進めたいじゃないですか。仕込んだネタがウケたかどうかわからない、というもどかしさもありましたし(笑)

田中さん:
後日、学生のみなさんからのアンケートを見て、ネタが受けたのかどうかを確認しました(笑)。コロナが落ち着いたらいずれリアルでやりたいという思いもありますが、その前にまずはオンラインで、インタラクティブにできるとよりお互いに学びが深まりそうだなと思いますね。ディスカッションしてみたりとか。

小宮さん:
まずはいろいろな美大さんとこういった取り組みをさせてもらって、ニーズにあわせて領域や内容をどんどんアップデートしていきたいですね。

それから、一緒に活動してくれる仲間を増やしたい。こういった活動に共感・賛同してくれるメンバーが、セプテーニグループの中にきっといると思うので。そういう人に加わってもらって、少しずつ輪を広げていけるといいかなと思います。

美大出身者以外にも、四年制大学のデザイン学科出身の方、デザイン系の専門学校出身の方、いろいろな方が集まれば、その分コンテンツの幅も、できることも広がって、より社会に提供できる価値も大きくなると思うんですよね。

─ そうですね。いろいろなタイプのクリエイターがいるので、それぞれの経験や視点が活かせると良いですね。

小宮さん:
セプテーニグループには、意欲も能力も高いクリエイターやデザイナーがたくさんいます。文化の支援という切り口で、そういう方たちが、自分たちの強みを活かして事業以外の場所でも価値を発揮するきっかけみたいなものを提供する。そしてその活動を伝えていく。

今後、よりいっそうクリエイティブを通じてさまざまな価値を社会に提供できるグループになっていくためにも、今回のような活動はすごく意義があると思います。当事者意識高く、これからも活動を盛り上げていきたいですね。

─ みなさん、本日はありがとうございました!


** 編集後記 **
今回のインタビュー後、頭に浮かんだのは、セプテーニグループの行動規範の一つ「Passion」でした。

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美大出身クリエイターの先輩としての使命感、人や機会との縁を大切にする思い、クリエイターとしての矜持。それぞれが内に抱える情熱が、今回の出張授業のような機会を作り出し、社会への貢献につながっていく。

こんな良い循環を少しでも多く生み出し、より社会に貢献していけるように、グループのみなさんの力を借りながらCSR活動の幅を広げていきたいと感じました。

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(取材終了後、オフィスから見えた富士山。※インタビューは緊急事態宣言が発出されていない時期に実施しました)

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