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現代自己変革論(2)---現代人の腐った脳

あなたの脳はSNSによって腐り始めている。
スマートフォンの通知に一喜一憂し、他人の成功に嫉妬し、夜更かししてまでタイムラインを追い続ける――そんな日常が続いてはいないだろうか?
現代人の脳は、SNSというデジタルドラッグに侵食されている。

本記事では、そのメカニズムと影響について探る。

SNSの脳への影響
SNSの「いいね」やコメントは脳の報酬システムをハイジャックする。
ポジティブなフィードバックは(いいねや高評価などを他人にしてもらう)脳の報酬回路を活性化し、ドーパミンを分泌させ、一時的な快感をもたらすが、これが繰り返されると依存症のような状態に陥る[1][2]。SNS依存症は前頭前皮質に悪影響を及ぼし、自己制御や意思決定能力を低下させる。これは薬物依存症と同様のメカニズムであり、長期的には脳の構造そのものに変化をもたらす​。
言ってしまえば、意志が弱くなるということである。
最近では退職代行業者などが流行った。現代人は仕事を続ける意志力も、それを辞めることをを自分自身で伝える意思力すらも欠如してるのである。

SNSと自己評価
他人の成功や幸せな投稿を見ることで自己評価が低下し、うつ病や不安のリスクが増加する。特に若年層において、SNS上での比較が精神的健康に大きな影響を与えている[3]
おそらく炎上はこの裏返しなのではないのだろうか。
他人の幸せな投稿などを見ることで、自己評価が低下し、不安を感じ、それをごまかすように他人の失敗や、些細なことで引きずり降ろそうという心理の影響によって引き起こされるのが炎上なのではないか。無論そんなことに時間を費やすことは無駄である。上には上がいて、下には下がいる。現代はそれが可視化されるようになったが、しかし、上を見て絶望しても、下を見て安心しても意味はないのである。

認知機能への影響
SNS利用は注意力や記憶力に悪影響を及ぼす。頻繁なSNSチェックはマルチタスクを強制し、これが注意散漫や記憶の低下を引き起こすことが研究で示されている[4][5]​ 。学習能力の低下ともいえるから、何かを学ぶ者にとっては致命的な影響である。

社会的つながりの質の低下
あなたには親友と呼べる人間がいるだろうか?
SNSは物理的な距離を超えて人々をつなげるが、実際の対面コミュニケーションが減少し、孤独感が増すことがある[3][6]。SNS上での表面的なつながりは、深い人間関係の代わりにはならない。深い人間関係を忘れた多くの人が求めるものは見える情報である(いいねなどの評価の数、使われた金額、フォロワーの数)。しかしそんな人間関係はたかが知れているのだ。

睡眠の質の低下
これは有名だと思うが、就寝前のSNS利用はブルーライトの影響や脳の興奮状態の持続により、睡眠の質を低下させる。これにより、睡眠不足や睡眠障害が引き起こされる可能性がある[2]



以上のように、現代人の生活におけるSNSの影響は深刻だ。これらの影響がなくなったらと考えてみてほしい。
SNSは意思決定能力、うつ病や不安のリスクの増加、注意散漫、記憶力の低下、孤独感の増加、睡眠の質の低下などを引き起こすことが科学的に示されている。私たちの脳はSNSによって腐り始めているが、適切な利用法を学び、健康的な生活習慣を心がけることで、脳の健康を守ることができる。
実は、SNS以外に、私たちの脳を腐らせるものはまだあるが、ここでは誰もが分かりやすいSNSで説明した。
ここから依存から解放され、真の自分を取り戻すための一歩を踏み出すにはどうしたらよいのか。それについて考察する。
まずは自分自身の生活で、依存している私自身に「気付く」必要がある。次回からは、失った自分を取り戻す。あるいは自己を変革する方法を科学的根拠付きで説明していく。


参考文献
[1]Meshi D, Tamir DI, Heekeren HR. The Emerging Neuroscience of Social Media. Trends Cogn Sci. 2015 Dec;19(12):771-782.

[2]Are You Addicted to Social Media?

https://www.leehealth.org/health-and-wellness/healthy-news-blog/mental-health/are-you-addicted-to-social-media

[3]Why young brains are especially vulnerable to social media

[4]The Brain’s Reward System in Health and Disease

[5]The roles of implicit approach motivation and explicit reward in excessive and problematic use of social networking sites



[6]Kunyu Zhang, Kyungmin Kim, Nina M Silverstein, Qian Song, Jeffrey A Burr, Social Media Communication and Loneliness Among Older Adults: The Mediating Roles of Social Support and Social Contact, The Gerontologist, Volume 61, Issue 6, September 2021, Pages 888–896,


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