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【全曲紹介と回想文】aiko「暁のラブレター」

5thアルバム「暁のラブレター」
「桜の木の下」「夏服」「秋 そばにいるよ」に続いて「冬」がタイトルに来るかと思いきや来ない! と思いきや「暁」が実は冬の季語だったという見事な伏線回収。でも「aiko bon」などによれはそのことは後から知ったらしい。発売は2003年11月。aiko28歳。僕は大学一年生で、家から電車で1時間くらいの駅から、さらにバスで15分くらいのところにある所沢のキャンパスに通っていました。ちょっと強めの風で運行が止まる武蔵野線のホームや車内で最も聴いたアルバムです。

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1.熱
「暁のラブレター」全体の導入部のような短めの曲ですが、飾りのない純粋でまっすぐな歌詞と力強い歌声でいきなり壮大に盛り上がります。あなたが好き、あなたとキスしたい。まさしくラブレター。いや、むしろラブレターにも書けないくらいのあふれんばかりの熱量を感じます。

2.彼の落書き
「熱」がまだ続いているのかと思ったら、いつのまにか「彼の落書き」になっています。「暁のラブレター」の中ではスピーディで最もロックな印象の曲。打ち消しの助動詞「ぬ」をこんなに軽やかに歌える女子はいない。「とうていクリアできないゲーム」ってなんだろう。僕がクリアを断念したゲームは「魂斗羅」(むずいから)とか「サイレントヒル」(怖いから)とか。PV(だかMVだか)では、普通に生活していてもおそらく見られない角度からaikoを見られます。スカートじゃなくて良かったですね。

3.アンドロメダ
13thシングル。「何億光年」と歌っていますが、アンドロメダ銀河は地球からおよそ250万光年。意外と近い。ちなみに我々の住む地球がある銀河の名は「天の川」銀河である。
収録ベストアルバム:「まとめⅡ」「aikoの詩。(Disc.3)」

4.ふれていたい
あーあーあーああああー、ふれてーいーたーいー。のびやかな声で幸せな瞬間を歌う5分34秒。楽しくて仕方のない弾けるような幸せではなくて、互いに触れ合える距離にいられる関係そのものを幸せとして、それをそっと包んで大切にしたくなるような歌です。包む準備だけはしておきたい。「あーなーたーのそばー」と「に いーたいー」の間で息を吸うところが好きです。

5.夢のダンス
あなたはーあーたしのー、いちばーんーぼしよー。失ってしまっても、好きだった人の影が夢の中にだけいつまでも淡く残るようなイメージが、明るい印象なのに儚げな曲調とぴったりと合っています。「夢のダンス」という言葉は、のちに「彼女」に収録された「深海冷蔵庫」の歌詞にも登場します。おそらくTikTokでするようなダンスではないのでしょう。
収録ベストアルバム:「まとめⅠ」

6.蝶々結び
ジンクスを生む12thシングル。「ヌルコム」が終了する頃は「蝶々結び」のリリース前だったので、番組で発売を告知していました。「分ピ図」の調査に参加したのを思いだします。
収録ベストアルバム:「まとめⅠ」「aikoの詩。(Disc.3)」

7.ライン
2003年の曲なので緑のアイコンのアプリとは関係がありません。サビがめちゃくちゃ格好良い。いますぐ再生してください。準備できましたか。はい、再生して。 ……♪デレレレレレレレレレレレレレレレ……まったくもってあなたのはなす すべてがえいごの♪…… サビまできましたか? はいっ、「きぃ↑こえないふりをしーたいまー」ね、格好良いでしょ。その後ろで鳴ってる「ベレレレ~ン、ベーン」っていうギターも格好良い。曲の最後に自分を責めながら終わっていくのが尾を引く。

8.帽子と水着と水平線
1、2、3、4! ライブでお馴染みなので、そちらを先に聴いているとかなり曲の印象が違うかもしれません。こちらはギターの音がなくゆったりしているので、可愛らしいアレンジに聞こえます。ライブ版を太陽の高い真昼の水平線としたら、少し日が落ちてから見るような水平線でしょうか。「ROCKS(LLR6)」などで確認するとわかりますが、ライブでのテンポは「まとめ」のテイクよりもさらに速くなっていってます。1、2、3…じゃん♪
収録シングル:「蝶々結び」
収録ベストアルバム:「まとめⅡ」(※別アレンジ新録)

9.すべての夜
夜は「輝く」ものだと教えてくれる曲。なんて優しい歌詞なんだろう。「だけどあたしは今のあなたといたい」なんて言ったり言われたりしてみたい。緊急事態宣言が出されていた頃に、FM802の樋口大喜さんから「うたつなぎ」のバトンを受けたaikoさんがツイッターにアップしたのが「すべての夜」の弾き語り動画でした。今も見られます。神妙な表情で歌われていますが、最後にめちゃくちゃ優しい顔してくれます。

10.えりあし
14thシングル。笑顔がヘタで良かったなと思えるのはこの曲を聴いた時くらい。バラード曲としては意外と演奏時間が短め。
収録ベストアルバム:「まとめⅠ」「aikoの詩。(Disc.2)」

11.白い服黒い服
「白い服」は結婚式、「黒い服」はお葬式で、それくらい色んな場面で一緒にいた相手に贈る曲とのこと。DVD「aiko LIVE TOUR LOVE LIKE POP add.」(LLP8)ではホーンのイントロが付いて「ハッ!」という掛け声で始まり、背を向けてお尻を振ったり、バンドメンバーを引き連れて移動したり、「花火」「ボーイフレンド」「カブトムシ」のフレーズを強引に歌い始めたり歌わせたりと、最初から最後まで大変楽しいステージになっています。

12.風招き
長らく「かぜまねき」だと思っていました。これは「かぜおき」と読むのです。aikoはこういう言葉をどこから知るのでしょう。「テレビのなかの向きあう人達 羨ましいと思った」という歌詞が好き。aiko自身もその人達に近い人であったりもするわけで、「テレビのなかの向きあう人達」もテレビのなかにいない時は、そんなにうまく向きあえているわけでもないのかもしれないと思ったりしています。

13.天の川
「首をすくめ恥じらえばそれは好きの印」なのか。たしかに見たことねえや。アウトロはそのまま1曲目の「熱」に戻って再生したくなる余韻を残して、フェイドアウトしていきます。アルバム発売時の「WHAT’s IN!」のインタビューによればこのピアノは、1920年製のドレスデンのローゼンクランツというメーカーのアップライトピアノだそう。知らない単語がいっぱいですが、何やら高級なピアノなのです。しっかり聴こう。

12thシングル「蝶々結び」
髪型の方は「二つ結び」です。

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PVも二つ結びですが、歌詞カードの中身や通常盤の裏ジャケではオカッパのお手本みたいな綺麗なオカッパです。

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1.蝶々結び
収録アルバム:「暁のラブレター」
収録ベストアルバム:「まとめⅠ」「aikoの詩。(Disc.3)」

2.雨の日
aikoの楽曲の中でも際立って暗い、重々しい調子のイントロで始まる哀しい別れの曲。幸せな「蝶々結び」とはかなりギャップがあります。後半では「さよなら」の声が少し吐息まじりに途切れるところが切ない。気持ちと裏腹に勝手に空が晴れていく情景は「青空」に通じるところがありますね。「1cm程の距離さえも大事に思ってた」とありますが、「1cm」「58cm」そして「何億光年」まで、幅広い距離をカバーできるaikoです。

3.帽子と水着と水平線
収録アルバム:「暁のラブレター」
収録ベストアルバム:「まとめⅡ」(※別アレンジ新録)

4.蝶々結び(instrumental)
aiko本人は曲の最後の「♪ホワァ~ッ」ってなるところで、「笑点」が頭をよぎるらしい。

13thシングル「アンドロメダ」
学校の頭髪検査にひっかかって先生に注意された後なのかな、というくらいの、aiko黒髪期が到来。

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初回盤と通常盤の違いは表が一緒で裏が違うパターン。こちらは初回盤の裏です。

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1.アンドロメダ
収録アルバム:「暁のラブレター」
収録ベストアルバム:「まとめⅡ」「aikoの詩。(Disc.3)」

2.どろぼう
表題の行為を行った場合、刑法第235条により罪に問われ10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。
収録ベストアルバム:「aikoの詩。(Disc.4)」

3.最後の夏休み
最初なんか音がちっちゃいなと思ってボリュームを上げてしまうと急にaikoの声がでっかくなるので注意。大好きな曲です。秘めていた気持ちが人づてに本人に伝わってしまって、明日から学校でどんな顔をすればいいのだろう、という歌。端から見れば些細な、なんでもないつながりを「大切な全て」と感じているところ、私は大変な共感を覚えます。レトロゲームを思わせるピロピロした音とリコーダーが可愛い。リコーダーはaikoが吹いています。

4.アンドロメダ(instrumental)
インストを流しながらaikoばりに色んなメロディで歌ってみましょう。全然うまくいかないぜ。

14thシングル「えりあし」

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さてはaiko、あご乗せるの好きですね。

そして、このCDからしばらく「コピーコントロールCD」という、今から考えると謎の時代に突入します。

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1.えりあし
収録アルバム:「暁のラブレター」
収録ベストアルバム:「まとめⅠ」「aikoの詩。(Disc.2)」

2.バスタブ

終始、ぽわーんとした雰囲気。けんかしたあと、浴室で冷静になって仲直りしようと思うまでの曲です。「夢と火曜日の境目」とあるので、月曜の夜なんだろうか。「えりあし」は「ぶったりしてごめんね」と謝るところから始まりますが、こちらでは「すぐ逢って謝ろう」という歌詞が終盤に出てきます。初回盤ブックレットでこの詞が載っている隣のページでは、aikoが窓ガラスに息をハァーってやって白くするやつをしています。たぶんそのあと落書きしたでしょうね。

3.ふたつの頬花
軽快なオルガンとピアノが跳ねるライブ向きの楽しい曲。ライブで歌う様子は「DECADE(LLR ANOTHER SIDE)」などで見られます。赤坂BLITZです。「あなたとあたしは大人にも子供にも宇宙にもなるのだろう」とあり、最後には「なれるだろう」と言っている。大人子供はともかく「宇宙」にもなれてしまうのがaikoのすごいところ。あるいは、この歌で歌われているような関係を築ける相手がいる時、人はそれくらいの気持ちにさえなるものなのかもしれません。

4.えりあし(instrumental)

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※シングルコレクション「aikoの詩。」収録曲についてはリンク先にも記事があります。