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【全曲紹介と回想文】CD aiko「aikoの詩。」Disc.4

1.未来を拾いに
33rdシングル「夢見る隙間」のカップリング。NHK-FMで放送されたaikoの歌詞にまつわるエピソードを募集する特番「aikoうたことば」では投稿数で一位に輝きました。僕は「投稿数で順位をつけたら有名な曲が上位になるんじゃないかな」とぼんやり思いながら番組を聴いていたので、aikoが築き上げてきたファンとの関係の深さに改めて驚かされたのです。前向きなメッセージを「死ぬほど」という言葉で飾るところが、さすがaiko。生きる力と意味をくれるようなエネルギッシュな詩で、Disc.4が華々しくスタート。

2.陽と陰
9thシングル「おやすみなさい」のカップリング。感傷的なイントロで始まり、シリアスな歌声で迷いや不安を吐き、それを「全てオーケー」と乗り越えていくドラマチックな曲。メジャー以降のアルバムに収録されたカップリング曲では唯一の「aikoの詩。」採用となった幸せ者。今回は「ココア」も入っているので「おやすみなさい」の3曲は「aikoの詩。」で全部聴くことができる。でも「おやすみなさい」のインストを聴きたい時もあるよね? ね? だからシングル盤も買いません? 秋色のジャケットも良いよ。ね?
収録アルバム:「秋 そばにいるよ」

3.こんぺいとう
19thシングル「スター」のカップリング。大好きな曲。アコギのジャカジャカしたリズムで静かに始まって、aikoの声に引き寄せられて少しずつ楽器が集まってくるようなイメージです。間奏から最後のサビにかけてだんだん盛り上がっていく感じと、最後の「こーんぺいとー」の「こー」の絞り出すような声がたまらない。一人でカラオケに行ったら必ず歌います。可愛いタイトルですが、意味するものを考えると痛い。ライブではバンドメンバーがハンドクラップを促してくれるので初めて来た人も安心。

4.Do you think about me?
29thシングル「戻れない明日」のカップリング。この曲と「二人」のカップリングの「ひまわりになったら」は、インディーズ時代の曲を十年前後の時を経て改めてレコーディングしたもの。LLP21では二曲とも歌われました。インディーズのテイクは大切な気持ちを裏切られた哀しみと「あなた」に抱く愛憎入り混じった複雑な心を濃く感じますが、こちらはそんな過去の自分を思いながら、愛しく包み込むような歌声にも聞こえるのです。
収録アルバム:「astral box」

5.キスでおこして
8thシングル「ロージー」のカップリング。aikoの漢字は「愛」の「子」で「愛子」ですが、名は体を表すとばかりにここまで「Love」を繰り返し叫ぶハッピーな楽曲は珍しい。音域が広く最後のサビでは転調してさらに高くなるので、この曲を上手に歌えたらめちゃくちゃ気持ちいいでしょう。耳元で囁いてほしいaikoの曲タイトルランキングがあるならきっと1位。
収録アルバム:「astral box」

6.そんな話
30thシングル「Loveletter/4月の雨」のカップリング。ファンクラブ会報誌のコーナータイトルとしてもお馴染み。僕は人の風上に置いたら風で飛ぶような人間で、恋愛については特にそうですから、aikoの歌詞で素直に共感できることは多くなく想像するしかありません。共感できると言ったら嘘になってしまう。でも「そんな話」に委ねられている気持ちは、きっとaikoが伝えたい形で僕にも感じられているのではないかと思います。冒頭の鍵盤のフレーズが最後の「ああ、そーのままー」という声に沿って再び聞こえてくると、歌詞の内容と重なって切なさがあふれます。

7.前ならえ。
6thシングル「ボーイフレンド」のカップリング。「具体的に言うとおお」という歌い出しにガシッと胸をつかまれます。まだ抽象的にも言ってないのに、いきなり具体的に言うんです、願望を。「抱きしめてほしくて」という詞は、A面であるボーイフレンドの「早く逢って抱きたい」と対称的ですね。「前ならえ」というと両手を前に出すポーズを想像しがちですが、aikoは体格的にきっと腰に手を当てる方の「前ならえ」をしていたことでしょう。忘れないようにーぃぇっ。

8.どろぼう
13thシングル「アンドロメダ」のカップリング。当時はaikoの曲をMDに録音してポータブルMDプレーヤーで聴いていました。昼休みには大学の構内にあったベンチに座って「どろぼう」や、同じ「アンドロメダ」のカップリングの「最後の夏休み」を聴きながら、好きな人が近くを通らないかなあと歌詞のとおりに待ったりしていました。あと、ベンチでコンビニのパン食ってましたね。もちろん泥棒じゃなく買ったパンです。

9.テレビゲーム
15thシングル「かばん」のカップリング。「テレビゲーム」と聞いたらピコピコした電子音を想像するのが世の習い。しかし、アンプラグドな音色と、そばで語りかけるような歌声が優しく裏切ってくれます。間奏ではaikoの口笛も聴ける穏やかな秋口の曲。それにしても「テレビゲーム」って言葉はそれ自体がもうレトロになったなー。ちなみにピコピコした「ファミコンちっく」な音は上述の「最後の夏休み」で聴けます。

10.ぬけがら
29thシングル「ずっと」のカップリング。終わってしまった関係の余韻を引きずりながら、それでもなんとか顔を上げて進もうとする曲。吹き抜ける風のようなイントロに乗って聞こえてくるボーカルが夏に涼しい。aikoの曲のタイトルや歌詞に出てくる物の写真を上げるInstagramを勝手にやっているのですが(この紹介文も超勝手に書いてますけど)、去年の夏は蝉の抜け殻の写真を撮れなかったので、今年はなんとか見つけて「ぬけがら」を上げたいと思っています。うぉううぉお。

11.I'm feeling blue
デビューシングル「あした」のカップリング。「あした」とは違い、こちらはaiko自身が作曲をしています。おそらく「天下一品」という四字熟語をこんな素敵な使い方で唇から発した人は他にいないんじゃないでしょうか。詞もメロディも歌い方も、ちょっと照れてしまうくらいに可愛いのですが、サビのバックではベースがバイクのエンジンのごとくうねりまくっています。

12.ココア
9thシングル「おやすみなさい」のカップリング。とーまーらーな(とーまーらーなーいーでぇー)いーでいーて、つーかーまーえーていーてー、ずーぅとおー(ずーぅとおー)ずーぅとーおー(お〜)、ゆーびー(ウォゥウォ〜)をーかーらーませーてー、こーこーろ(〜ォオ〜〜)つーなーげーてー、"ふーかーくーぅー"、"ふーかーくーぅー"、うーうぅーぅー(ウォネェィ〜)ううう〜(〜ィェッ)、なーいしょでキ、ス、しーよお、わかーってーる、ねえ? 好きです。

13.舌打ち
31stシングル「君の隣」のカップリング。オーディエンスを会場ごと揺らすようなROCK中のROCKチューン。ライブでは照明や映像の演出も凝っていて圧倒されます。"いえーなーぁーぁーい"。aikoは先に作った詞をもとに一人でピアノに向かって曲を作っているはずなんですが、どんな魔法を使ったらこんな縦ノリ全開ぶち上がりナンバーが生まれるんでしょうか。バンド編成にアレンジされる前はどういう感じだったのか気になりますね。「チッ」を聴き逃すな。

14.甘い絨毯
27thシングル「向かいあわせ」のカップリング。最も演奏時間が長い曲。最後の最後にゆっくり一緒の時間を作ってくれるaikoです。「近づいてもいい?」って、いいに決まってんだろ。