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音大生の就職って実際どうなの?~ミュジキャリ白鳥さゆり氏インタビュー~

洗足学園音楽大学では、今年度から、キャリアセンターの外部アドバイザーとして、音大生の就職支援サービス「ミュジキャリ」を運営するRENEW株式会社 代表取締役の白鳥さゆりさんに洗足生の就活を強力にバックアップ頂いています。就任されてから、数か月が経った今、音大生の就活をテーマにお話しを伺いました。

白鳥さん①

―これまで、大きな就活イベントを2回やって頂きました。いずれも、告知後、即日に満席になるぐらい、好評です。洗足の学生と直接接して頂き、どんな印象をお持ちですか?

音大によって色があると思いますが、洗足の学生さんは、全体的にとても元気があり、ガッツ・やる気がある人が多いと感じています。いい意味で部活っぽい雰囲気もあって。本当に音楽がやりたくて懸命に打ち込んでいる印象があります。そのエネルギーは就職したら活かせる特徴的な強みだなと思います。


―やはり音大でも大学によって色があるんですね。

あると思います。洗足は、やはりコースの多さが魅力だと思っていて、色々なタイプの人がいるということも、明るい雰囲気の要因の一つかなと。

―イベントを企画する際、大切にされていることはありますか。

ミュジキャリをやってきて、就活対策をしっかりやりたい音大生は一定数いることが分かりました。漠然と「将来やキャリアについて考えよう」と伝えるではなく、出来るだけ「具体的に就活で何を取り組みべきかを伝える」ことを大切にしています。そうすることで、本当に困っている学生さんたちにとって課題がクリアになり、就職活動の後押しになると思います。


―実際、洗足での就活イベントはいかがでしたか。

洗足のイベントでは、就職活動をすると決めている学生さんはもちろん、まだ就職するか迷っているという段階の学生さんも参加してくださいます。その様な学生さんのアンケートのコメントをみると、就活に対して前向きな意識の変化が起こっていることが分かりました。ミュジキャリのイベントだと、既に就職をすることに本腰を入れている学生さんが多いので、なかなか届かない層の学生さんにも届けられることが大学でやる良さだと感じています。

キャリアイベント①

―その後、白鳥さんとの個別面談の機会もこれまで数回設けて頂いています。実際話をして、どのように感じますか。

話をしていて、とても優秀で会社で活躍できそうだなと思う学生さんが沢山いらっしゃいます。


―白鳥さんは、どのような学生が社会で活躍しそうだと思いますか?

3点あると思っています。一つ目は、努力の仕方。言われたことだけでなく、+αの努力を自分で出来ること、二つ目は、自分に高い目標を掲げ挑戦できること。三点目は、何かしらのリーダー経験もしくは組織貢献経験を通じて、その立場から努力や目標への挑戦が出来たかということです。


―音大だと、そういう経験をしようと思えば、挑戦できる環境が多くがあると感じますが、いかがでしょうか。

本当にそうだと思います。色んな機会があるので、ぜひ経験して欲しいと思います。音大生の中には、「自分より演奏がうまい人がいる」という様な周囲との比較によって挫折経験を味わった方が多くいます。高校までは自分が一番でも、大学に入ると「自分が一番じゃなかった」「努力しても意味がない」と高い目標を掲げるのを諦めてしまう人も中にはいるので、そこは非常に勿体ないと感じます。


―白鳥さんも挫折のご経験がありますか?

あります!大学2年生の時です。それまではずっと努力で全てが叶うと思ってひたすら努力をするタイプの人間でした。非常に優秀な先輩がいたのですが、その先輩が卒業してもアルバイトをしていると知り、愕然としました。努力してもあの先輩に追いつくか分からない、追いついたとしてもアルバイトって割に合うのかなと思ってしまった時期です。頑張る意味を見失ってしまった時期でした。


―どのように乗り越えたのですか?

結果はどうであれ、とりあえず目の前のことを一生懸命やるのが私らしさだと思い、自分のことに集中することを決めました。改めてピアノも一生懸命取り組もうと思ったと同時に、将来のこと見据え、就活も同じくらい頑張ろうと決めた時でした。

学生相談の様子

―音大生の就活について、学生のみなさんに伝えしたいことはありますか?

音大生は就活をあまりにも重く捉えすぎている傾向にあるので、やはり、他の一般大学に比べて就活に関するハードルが高いと思います。もっと気軽に動いて欲しいと思っています。これまでの音楽への向き合い方で、活躍できる場のタイプ分けをすることもできます。例えば、単独で結果を出したい志向の学生は営業、こつこつと練習を積み重ねるプロセス重視の学生には、SE、管理など、音楽以外の仕事でも音大生だからこその強みを活かせる仕事が多くあります。
また、日々、音大生は他の一般大学生よりも非常にハードなスケジュールをこなしているなと常々思っています。練習、レッスン、授業、アルバイト、公演準備など、本当によくこなしています。そういう意味では、仕事をする上でも大切な、マルチタスクをこなすことやスケジューリングをする力もあると思います。


―白鳥さんの今後の展望を教えて下さい。

ミュジキャリとしては2点あります。1点目は、音大生が感じる就活のしづらさを解消することです。ミュジキャリを就活したい音大生全員が頼れる場所にしていきたいです。2点目は、企業に音大生の良さを知ってもらい、実際に採用したいと思ってもらう流れを作ることです。世の中からの評価がよければ音大生も自信がつくと思うので、そこを実現していくのが私の長期的なビジョンです。


―洗足の外部アドバイザーとしての今後はいかがでしょうか。

今年度、洗足で一緒に取り組ませてもらってる取り組みを非常にポジティブに捉えています。大学もキャリアに力を入れることを良しとしていることが学生にも伝わるし、私自身も勇気づけられます。一緒に音大生の就活のしづらさを解消していきたいし、活躍できる人たちなんだということを世の中に気づいてもらう為の大事な取り組みだと思っています。これは、洗足だからこそ出来る取り組みだと感じています。最終的には大学から変えていかないと学生も先生も変わらないので、洗足がそこの覚悟をもって取り組まれていることが伝わってきます。だから私もやりがいがあるし、長期的にやりたいことへの方向性が同じだなと感じています。


―白鳥さんと一緒にキャリア支援を進めていけること、とても力強く感じています!

私の所には、連日、様々な方からメッセージを頂きます。その中には、「本当は音大まで行って音楽を続けたかったが、親から音大にいっても就職できないと言われ、進学することが出来なかった。ミュジキャリの存在を知っていたら、進学できたと思う」というメッセージもあります。洗足と一緒に、「音大=就職できない」という図式を壊して、本当に音楽を頑張りたい人が音楽を続けられる環境をどんどん作っていきたいと思います!

白鳥さん②


〇ミュジキャリHP:https://musicari.jp/

〇キャリアセンター公式twitter:https://twitter.com/senzoku_career

〇特設サイト
https://www.senzoku.ac.jp/music/about/senzoku_support/


白鳥さゆり (しらとりさゆり)さん: 1988年神戸生まれ。ピアニストを目指し兵庫県立西宮高校音楽科、大阪教育大学芸術専攻音楽コース卒業。2011年新卒でリクルートキャリアに入社。採用コンサルタントとして法人営業に従事。2013年社内最年少でリーダーとなる。会社員×ピアニストのパラレルでキャリアを積むことに挑戦し、リクルートで働く傍ら出場した第18回ペトロフピアノコンクール(現:東京国際ピアノコンクール)にて第1位受賞。2018年RENEW株式会社設立。2019年8月に音大生や音楽系学部生に特化した就活サービス「ミュジキャリ」をリリースし、リリース後1年で国内最大の音大生サービスとなる。