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チャレンジし続ける大人になってほしい。教職センター長・吉田真理子先生に訊く、教員への道しるべ

洗足学園音楽大学同窓会コラムより転載:

洗足学園音楽大学を卒業した後に幅広い領域で活躍する同窓生や、現在洗足学園にて教鞭を執る先生方にお話を伺う、洗足学園音楽大学同窓会コラム。

今回お話を伺ったのは、教職センター長を務める吉田真理子(よしだまりこ)先生
洗足学園音楽大学の「教職センター」は、教職課程を履修したことがない方にはなじみのない場所かもしれません。かく言う筆者も教職課程は履修していなかったため、教職センターがどんな取り組みを行っているのか、詳しくは知りませんでした。

教員を目指す学生を、どのように導いていくのか。教職センターの取り組みや、吉田先生の想いを紐解いていきます。

「教職センター」とは

──教職センターについて、その役割や取り組みについてお話を伺いたいです。

教職センターは、教職課程全体に関わる実務を行っており、教職課程が円滑に進むよう、教員・学生の皆さんをさまざまな形でサポートしています。

教職課程はただ学校で授業を受けるだけではなく、社会福祉施設や特別支援学校等の施設にて7日間の実習を行う「介護等体験」があったり、実際の教育現場で指導を行う「教育実習」があったりするんですよね。
そのため、実習を行うためのさまざまな手続きや、実習校への巡回指導。教員免許状の申請なども、教職センターで行っています。

──どのくらいの学生が入学時に教職課程の履修を希望するのでしょうか。

毎年200名ほど、履修希望があります。しかし、教職課程を履修していても、やはり演奏家を目指す学生も多いため、実際4年生になって教育職員免許状(教員免許)を手にする学生は100名ちょっとくらいです。

また、教職課程を履修し、決められた単位を修めた学生は教員免許を取得できるのですが、免許を取得したあとは公立ですと地域ごと、私立ですと学校ごとに教員採用試験を受ける必要があるため、免許を取得したからといってすぐ学校の先生になれるわけでもありません。

──教員採用試験は狭き門だ……と、教員を目指していた友人から耳にしたことがあります。

確かに、その年によって教員の求人数も異なりますし、やはり音楽の先生はひとつの学校にひとりふたりしかいないので……。
教員採用試験に合格することは簡単ではありませんが、教員を志す学生にはできることをしてあげたいという気持ちで日々学生と接しています。

教員採用試験に合格する学生が増えている

──教員採用試験の合格率につきましても、気になります。

合格率が高い年と、そうでない年。学生数や求人数によっても波はありますが、これまでと比べて徐々に上がってきていることは確かです。

──そうなのですね。教職センターの取り組みにも秘密があるのでしょうか。

教員採用試験って、受験勉強なんですよね。一次試験を突破しないことには二次試験にたどり着けないので、何よりも地道に勉強を重ねなければならなくて。楽器の練習と合わせて試験対策を進めるのは、本当に大変なことだと思います。

教職センターで実施している教員採用試験対策講座をはじめ、少しでも必要なことをフォローできるようにはしていましたが、何よりも本人の「先生になりたい!」と思う気持ちによって生まれた結果だと感じています。こちらがどれだけフォローしても、本人の努力なしには難しい部分もありますし。

たとえば、面接の練習も繰り返しやっていくと、あるときカラッと変わる瞬間があるんですよね。本人が「何か感じ取ったのかな」とこちらが感じられるとき……と言いますか。
すると、そういった学生はちゃんと試験に通るんですよ。これは本当に肌感の話ですけれども(笑)。

また、教員採用試験は一度通らなくても再び受験可能なので、実は卒業生も教員採用試験対策講座を受講できます。講座は春休み(1~3月)や夏休み(8月)に実施しているため、仕事を休んで来てくださった卒業生もいましたね。

──在学生のみならず、卒業生も講座を受けられるとは知りませんでした。

そうなんですよ。ちなみに在学生・卒業生の他に、高校生向けの講座もあります。
教職課程を履修するにあたって、「教職ピアノ実習」で苦戦してしまう学生が多いので、受験ステーション“クロスアーツ”と連携して、入学前からピアノ実習を支援できるような講座も作っていただきました。

入学が決まってからの数カ月間ではありますが、大学に入る前から教員になる準備を進められる体制も整い始めています。

チャレンジし続ける大人へ

──吉田先生は、これまで多くの学生と出会われたかと思います。現在洗足に通っている学生には、今後どのような大人になってほしいと感じますか。

前職でさまざまな音楽の先生と出会ってきたのですが、特に素敵だなと思う先生がふたりいました。本当に偶然なんですけど、そのふたりは洗足の出身で!

いくら大学で勉強しても、現場に出ると知らないことばかりじゃないですか。そのときに、周りの先生からいろんなアドバイスや情報をもらえるわけですけれども、それを素直に受け止めて「なんでもトライしてみよう!」というポジティブな姿勢が先生方にはあったんですね。

何かを目指して山に登ったら、普段とは違う景色が見える。でも、それは自分で足を進めないと見えてこないわけで。辛いときもあるけれど、山を登る度に新しい景色が見えて、次なる目標に気づく。その繰り返しで、人はどんどん大きくなっていくんだって。

当時私は洗足で働くことになるとは思っていなかったのですが、洗足を卒業したふたりの先生を見て、そこが“違い”なんだなと感じさせられました。なので、いま洗足に通う皆さんも、ずっとチャレンジし続けてほしい。そんな人になってほしいなと、感じています。

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Text and Photographed by 門岡 明弥

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