見出し画像

音大生の物件選びって難しい? 意外と知られていない“5つのコト”を知って、音楽ライフを楽しもう!

大学・専門学校への入学や新社会人となるタイミングをきっかけにひとり暮らしを始める方は多いのではないでしょうか。

物件選び、できるだけこだわりたいですよね。私たち音大生は「大学生」だけど「音大生」なので、音大生向けマンションや楽器の練習が可能な物件などに住む人が多いです。(私自身も音大入学を機にひとり暮らしを始めて、気づけば約5年!)

現在私は防音物件に住んでいますが、今の物件に決まるまでさまざまな苦悩がありました。楽器を演奏できる物件だから万事OK……ではなく、実際に住んでみるとさまざまな気づきがあったのです。
そこで今回は、音大生の私が防音物件に住んでみて学んだ、“意外と知られていない5つのコト”をお伝えしたいと思います。

「楽器演奏可能物件」と「24時間楽器演奏可能物件」って?

さて、みなさん!「楽器演奏可能物件」と「24時間楽器演奏可能物件」をご存知でしょうか。

簡単にいうと……。

「楽器演奏可能物件」
「24時間楽器演奏可能物件」

こんな感じです。ここで注目してもらいたいのが、「指定時間内なら」「24時間いつでも」という言葉。

同じ楽器演奏可能物件でも、この言葉ふたつで大きな違いが生まれてきます。大まかな違いを以下にまとめてみました。

このような情報はネットで調べればある程度出てきますが、実際に住んでみて気づいた意外と知られていないコトに迫っていきます!

「楽器演奏可能物件」での出来事

初めてのひとり暮らしで住んだ、物件A。

ちなみにこの物件では契約をする前に、管理会社に自分の演奏している楽器が物件で演奏可能なのか、問い合わせないといけませんでした。
私は学部生の頃は、電子オルガンコースに在籍していたので、電子オルガン(エレクトーン)が練習できるのかを問い合わせてみました。

表の通り「最下階で、演奏時間内であれば可能」ということだったので、最下階に住むことになりましたが、こんなことが起きます。

◎意外と知られていないコト①

「苦情を言われること=音量が大きい」ではないことがある。
 
楽器演奏可能物件において、苦情を言われるほとんどの原因は、楽器演奏時の音量が大きいからだと思っていたので音量にはかなり気を付けていましたが、音量ではなく、電子オルガンのタッチが問題だったのです。
電子オルガンでは、指でも足でも、かなり強めなタッチを使うことが多くあります。
特にポピュラー系の楽曲を弾くときは、大地震のようになります。

「だから最下階に住んでいるのでは?」と思われた方も多いと思いますが、振動は、上下横に関係なく伝わるので、かなり大きな騒音を出していたのだと思います。
音楽以外の課題にも追われ、時には演奏可能時間外でも練習しないと間に合わず少し練習をしてしまい、苦情を言われ(当然です)……という負の連鎖になってしまいました。
電子オルガンをはじめ、振動が出てしまう楽器は注意が必要です。

◎意外と知られていないコト②

「楽器演奏可能物件」でも、壁が薄いことがある。(※物件によります)
 
物件によりますが、楽器の演奏時間が決められているということは、言い換えれば「外が静かになってくる夜に演奏してしまうと聞こえてしまう」ということですよね?
そのため、楽器の音を出さずにゲームをしたりテレビを見たりしても、その音が外に漏れてしまう可能性があるのです。
生活音や話し声がびっくりするほど聞こえてくるのに楽器演奏OKの物件もあるので、実際に内覧に行って防音性を確認するといいかもしれません。

「24時間楽器演奏可能物件」での出来事

以前の物件Aで学んだことを活かすべく、今度は「振動」に強い物件を探しました。
かなり探してようやく見つけた、物件B。

この物件は、なんと24時間演奏可能物件で、ピアノはもちろん、私の専攻していた電子オルガンも24時間演奏可能な物件(※)でした。
※楽器によって出していい音量が決められており(○db デシベルまで……など)それを守った上で24時間演奏可能ということです。

この物件では、「最下階ではなくても良い」とのことだったので、運良く空室だった中間階に住みました。
やはり防音がしっかりしていたので、話し声や生活音は一切聞こえず思いっきり演奏しても苦情ひとつ言われない快適な環境でした。
ですが、こんなことが起きはじめます。

◎意外と知られていないコト③

「防音の部屋」でも重低音は聞こえる。
 
「防音」と聞くと「何も聞こえてこない」「相手にも聞こえていない」と思われる方も多いと思いますが、「重低音」はしっかり聞こえてきます。
文字通り「重くて低い音」なので、防音がなかなか難しいのです。
現在も聞こえてきますが、以前の物件Aよりは遥かにいい環境なのである程度は許容して生活しています。

◎意外と知られていないコト④

重低音は音の指向性がないため、どこから聞こえているのか部屋の特定が難しい。
 
隣から聞こえているような感覚でも、実際には、全然違う階から聞こえていたというケースもあります。(2階に住んでいて、6階から聞こえていたなど)
先ほども書いたように、重くて低い音なので壁を突き抜けますし、驚くほど遠くまで響いていきます。
「うるさい」と思っても、どこから音が出ているのかわからないので、音を出している本人が「自分かも?」と思わない限りは解決が難しいのです。

◎意外と知られていないコト⑤

24時間演奏可能物件は、耐震・耐火性、保温効果が高い。
 
これは、24時間演奏可能物件のいいところなのですが、意外と知られていないことが多いです。防音性が高いマンションの多くは、鉄筋コンクリートで建てられており、防音材が壁や床にたくさん入れてあるため、かなり丈夫に建設されています。鉄筋コンクリートそのものが、耐火構造となっているので、火にも強いというわけです。
さらに、コンクリートを流し込んで壁が作られているので、密度の高い壁構造となっており、室内が適度に温かいのです。夏は、10分程度エアコンを使い、室内を涼しく調整したらその日はエアコンをつけずに過ごせますし、冬は、暖房やヒーターなど、あまり必要ないほど温かいので、電気代の節約になります!

まとめ

音大生は、専攻によってどうしても練習、音出しできる環境が必要になります。
演奏ができる物件に住まなくても、学校に残って練習もできるので、必ずしも演奏ができる物件に住まないといけないわけではありません。ちなみに、洗足では7時半頃から21時半頃まで練習ができて、多くの学生が利用しています。
これまで、音大生・音を出す方を中心にお話をしましたが、24時間演奏可能物件では、小さいお子さんのいる家族も多く住んでいます。小さい子どもたちは、走り回ったり大きな声を出したりすることもありますが、24時間演奏可能物件であれば、他の物件に比べて苦情等の心配は少なくて済みます。
 
「音」に関しては、本当に人それぞれ感覚が違うので難しいところなのですが、私の経験から自分に最適な物件選びの参考にしてもらえれば嬉しいです!

あわせて読みたい:

Text by 呼野阿美香

▶▶洗足学園音楽大学:https://www.senzoku.ac.jp/music/

▶▶洗足学園音楽大学(Twitter):https://twitter.com/senzokuondai