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ゴジラの皮を被ったヒューマンドラマ(「ゴジラ-1.0」感想)



別にゴジラじゃなくてもよかったんだと思う。

原爆でも、B29でも、ソ連兵でも同じ話は作れるはず。

たまたま客寄せパンダにゴジラが丁度良かったから出しました、そんな感じ。


「ゴジラ-1.0」を見てきた。

監督:山崎貴 から嫌な予感はしていたが、久々のゴジラ映画ということで絶対見ようと思い、事前情報はなしで劇場に入った。が、これがよくなかった。

嫌な予感は見事に当たった。

元々「STAND BY ME ドラえもん」「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」など、原作〇イプの悪評が多い監督である。「ゴジラ-1.0」でも大なり小なり邦画の嫌な部分を見せられるのだろうなとは思っていたのだが、想像以上に酷かった。


まず、ゴジラ。彼は本作ではメインキャラクターではない。(タイトルを冠しているにも関わらず)ゴジラは死の象徴でしかなく、元特攻兵である主人公、敷島浩一のトラウマという役割でちょこちょこ出てくるだけの、謎の巨大生物である。
電車を咥えたりアナウンサーの実況だったりbgmのゴジラ・メドレーだったり、所々に過去作のオマージュが見て取れるが、どのシーンも唐突に挿入されるのみで浅いリスペクトしか感じられない。


次に、ドラマ。物語は敷島浩一の視点で時系列順に進んでいくが、これがまた退屈でキツい。端的にあらすじを述べると、かつて特攻から逃げた主人公が、今度は家族のために自分の意志で戦う、という話である。これだけの話でしかないのだからチャッチャとまとめればいいのに、ヒロインとの出会いだったり、仲間たちとの友情を長々と見せられるのでゲンナリする。ラストのどんでん返し(?)も途中で展開が読めるので特に感動はない。

日本軍↔民間軍という対比だったり、劇中何度も出てくる「この国は〜」という台詞には山崎氏の政治観が見て取れるが、私はそんなことに興味はないし、他の人も同じだと思う。観客の9割が見に来ているのは「永遠の0」ではなく「ゴジラ」だろう。

主演の神木隆之介、浜辺美波の演技は言うまでもないが、吉岡秀隆、佐々木蔵之介、山田裕貴の演技がわざとらしすぎてキツい。(個人の好みだが)
安易なキャラ付けだとかボケとツッコミだとか急に怒鳴って胸ぐらを掴むだとか、邦画特有のノリを延々と見せられるのは辛い。


まとめ

退屈なドラマパートがあまりにも長かったせいで、ゴジラ映画を見た気がしなかった。

体感だとゴジラは30分くらいしか出ていなかったような気がする。残りは神木隆之介のドラマ。

そんな具合なので、タイトルは「ゴジラ」ではなく「生きる 〜とある特攻兵の生涯〜」とかにしたほうがいいんじゃないかな。

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