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小便入りのペットボトルがそこら中に転がる怖い町、実話怪談

 新宿区大久保では、ある種の住人をよく目撃します。自販機の釣り銭を漁っているおっちゃんとか、地べたに座って物乞いをしているジイさんなどなど。名付けるなら"卑しき住人"ということになるでしょうか。

 わたしの知り合いの一人に、そんな大久保の卑しき住人がいます。

 大久保在住の40代男性、Aさん。夜な夜な、町内のゴミ集積所を回り、まだ使えそうな雑貨などを拾い、ネットの売買サイトに出品するのがライフワークの方です。

 今回は、3月上旬、そんなAさんに会った際にうかがった、不気味すぎるご近所話、町のあちこちに仕掛けられた"ションベン地雷"について紹介します。

「何すかそれ?」
「小便を詰めたモノっす」

 その日、わたしがAさんに会いに行ったのは、何か用事があったわけではなく、軽いご機嫌うかがいでした。

 新大久保駅前で待ち合わせをしたのは、夜10時です。合流すると、時短要請で飲食店が閉まっていることもあり、そのまま何となく散歩する流れとなりました。

 大通りから脇道に折れます。住宅街のほうへ進んだところで、Aさんが足を止めました。

 町内のゴミの集積所の前です。翌日が収集日なんでしょう、ビニール袋にまとめられたゴミがいくつも出されています。その中の一つに、洋服が入っている袋がありました。

 Aさんがぼそっと言いました。

「ちょっと待っててもらっていいですか?」

 ん? もしかして?

「漁るんです?」

「いや、違くて」

 Aさんはそそくさと横道に入っていきます。どこへ行くのかな?

 ひとまず待っていると、1分ほどでAさんは戻ってきました。手には何やらペットボトルを持っています。

「すみませんすみません」

「いや、いいんですけど、どうしたんです?」

「あっ、これをね」

 ペットボトルを突き出してきます。ラベルはミネラルウォーターですが、中身は黄色く澱んだ液体です。

「何すかこれ?」

「小便を詰めたモノっす」

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