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何でもネットに転がっているわけじゃない。本に詰まった情報をなめていたら、何かを調べることなんかできっこない

 Xで、関東大震災関連で質問していた人とやりとりをした。明らかに朝鮮人虐殺を懐疑的にみる姿勢だが、受け流して説明した。相手は、警察署に保護された朝鮮人が群集の襲撃を受け虐殺された事件も、その裁判も「知らなかった」。なのに、いきなり裁判記録のリンクを要求してきた。

 関東大震災の朝鮮人らの虐殺事件は山本内閣が徹底的に隠蔽を図っているから、政府の公文書、警察の記録、司法の記録、どれもその意図の下に作られている。公的資料でも突き合わせて虚実を拾い出す作業が欠かせず、研究者が生涯かけてやっていることだ。おまけにその方は証言より警察の記録、公文書、それより裁判記録、と信ぴょう性に順位をつけていた。それで一次資料を見ても、当時の隠蔽工作に乗っかるだけだろう。

 そこで、中の人は良書の紹介や中央防災会議報告書へのリンクをまとめた自分のnote記事を置いて、それを読んでからにと。すると「事件の名前も分からないから検索できない」と言う。裁判記録も虐殺の一部分の記録にすぎない。本で基礎を学ばねば検索もできないことにやっと気づいたかどうか。中の人は関東大震災の勉強は余技で行ったが、それでも10万円ほど資料本を買い集めた。一次資料の翻刻本もある。本だからまとまっていて読みやすい。ネットで何でも済むと思ったら大間違いだ。

 さて、本当に中の人が力を入れているのは、長野県の戦時下の様子、長野県に関係した軍人らの記録です。それで集めた本だけでも200冊を超えます。国会図書館にもない個人出版物やリーフレットのようなものまで。そんな中にしか記録されていないことも集めて、初めて歴史に厚みが出てくる。

長野県関連の戦争本「だけ」
満州関連
郷土部隊や当時の「時報」なども
松代関連でもこんなだ
有名無名の郷土出身の軍人
勤労動員の記録も

 先人の記録を積み重ね、今がある。よくぞ記録してくださったという敬意がある。本も貴重な歴史の証人だ。証言も公文書も、紙きれの走り書きも、突き合わせていく作業の上で役立つものばかり。どれも欠かせない。
 もちろん自分もネットのお世話になり、学び、発信もしている。しかし、それもこうした学びがあればこそ。その信念の下、発信を続けていきたい。それが、将来世代が誤りを犯す可能性を少しでも減らす道だと思うから。

追記・ネットでやりとりした方は、この後図書館で資料本を借りてきました。行動力に敬意を表したい。


 

ここまで記事を読んでいただき、感謝します。責任を持って、正しい情報の提供を続けていきます。あなた様からサポートをしていただけますと、さらにこの発信を充実し、出版なども継続できます。よろしくお願いいたします。