2018年「第4回展示会ー戦時下の信州教育展」開催。当時の学生を写真を中心に紹介し、AIの色付け写真にも挑戦
信州戦争資料センターは、第4回展示会「戦時下の信州教育展」を2018年8月1日―8月19日に長野市の長野駅からほど近い、ギャラリー82で開きました。
前年のギャラリー82での展示「信州と戦争の時代展」の評判が良かったということで再び声をかけていただきました。これ以後、八十二文化財団と信州戦争資料センターが主催し、夏ごろギャラリー82で展示会を開くスタイルが続くことになります。
ちなみに、展示内容に関しては信州戦争資料センターに全面的にまかせる、開催時期や時間はギャラリー側の空き状況に合わせる、といった運営を基本として、当方としては会場探しの手間が省けるし、展示準備に集中できるようになったのがありがたかったです。
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この下の文は、当時の子どもや学生の気持ちを思い、チラシに書いた詩のようなものです。素直に従った子どもたちに対し、大人がどう責任を取ったか。過去を掘り起こし伝えるのは、自分なりの過去の学びであり、将来を間違えない為の判断材料にしてほしいとの思いを込めています。これが、過去の誤った道で犠牲を強いられた多くの人に報いることになると考え、発信を続けている基本の部分だと考えています。
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日本は世界で一番の神の国
日本は戦争に負けない強い国
先生から教わったよ
銃を担いで走る教練
寒中でなぎなたを振る鍛錬
農家や工場への動員
先生がやれと言ったよ
「御国のために」
「ボウレイシナノヨウチョウ」
「キチクベイエイゲキメツ」
先生から何度も聞いたよ
先生、言われた通りにやったよね
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満州事変から日中戦争、太平洋戦争にかけて、戦争状態が連続した時代。長野県内の学校における精神面や軍事面の教育、動員の様子を、主に現在の中高生に当たる中等学校を中心に、信州戦争資料センター所蔵の写真や資料で伝えました。特に、これまで収集してきた卒業アルバムや軍隊で過ごした記念のアルバムの大部分を死蔵させていたので、これらを生かすよう、写真を中心とした展示にしました。
この展示では、戦時下の学生のモノクロ写真の一部をAIの技術でカラー化し、さらに修正を加えて、より当時の雰囲気を感じられるようにしました。過去の記憶をカラーで解凍して現代へ橋渡しする、という渡邊英徳氏の活動にならった、長野県内初の試みでした。会場では「確かにこんな感じで防空演習をやった」と記憶を引き出された方、「今もこれ(奉安殿)があるのかね」と過去を実感する言葉などが聞かれました。
学生らが戦時下、どのように教育され、どんな思いを残したか、一端を紹介できたと思います。また、この時は会場で証言を聞けたほか、貴重な品をご寄贈下さる方もおられました。今でも大変感謝しています。
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一方、会期の前と最中に、映画館での協力展示を行いました。ドキュメンタリー映画「原田要 平和への祈り 元ゼロ戦パイロットの100年」への協力展示で、7月28日―8月17日、長野市権堂の長野相生座ロキシー で上映期間中、戦争の雰囲気を盛り上げた当時の広告やポスター、映画に登場する資料などをロビーに展示し、7月28,29日は信州戦争資料センター提供の戦時紙芝居上映もありました。
この時も、変わらず高校に案内を送り、展示会を紹介いただくよう、お願いしました。さまざまな人とかかわり、展示にも工夫が出せるようになってきたのが、このころだったかと思います。実物資料を生かすも殺すも、展示や整理の仕方だと一歩一歩学んでいきました。
ここまで記事を読んでいただき、感謝します。責任を持って、正しい情報の提供を続けていきます。あなた様からサポートをしていただけますと、さらにこの発信を充実し、出版なども継続できます。よろしくお願いいたします。