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<戦時下の一品> 携帯国旗

 こちら、旗の横幅28センチ、プラスチックらしい持ち手の長さ33センチの日本国旗です。長野市でつかっていた方のもので、戦時下ではいつ何時必要になるか、分からないので折りたたみ傘並みの必需品、だったようです。

 そこで! 国旗も折りたたんで携帯式にすればと発案した方がいたのですね。袋には「新案携帯国旗」とあり、「旗行列に 歓送迎に 慰問袋に」と確かに使えそうなところを列記してあります。

袋の長さは18センチほど

 さて、取り出しますと、中身はさらに小さい13・5センチほどの長さ。

左が中身、つまり国旗です

 布を広げて、持ち手をひっぱると、おお、3段伸縮式でしっかりした持ち手が! 先端には金の玉もついています。一番下の3段目の上部に国旗の下端がくるようになっているので、自然に開き、形も崩れません。

布を広げると、日の丸が
3段式の持ち手を伸ばすと、自然に国旗も広がってきます
持ち手の3段目に国旗の下端が付いているのです
小さいながらも金の玉が彩を添えます
誰でもすぐきれいに広げられる優れものといえるでしょう。

           ◇
 こうした小型の旗は、確かに南京陥落の行列や、出征兵士の見送りやで盛んに使われています。通常の紙旗に竹棒という旗だと、すぐ破れたり雨だと剥がれてしまいますが、こちらならそんな心配もなかったでしょう。

 神宮外苑の出陣学徒壮行会に参加した女学生は、雨の中、一生懸命に日の丸の小旗を振って、雨で旗が取れても棒だけ握って降っていた、と証言されています。そんな熱狂を生み出す効果的な小道具として、この小旗も、あの時代を記録してくれているように思います。「御国の為に」と人々を死地に送り出す「国」とはなんでしょう。そんな歴史をそのまましょった旗を、すなおに使う気になれないのです。

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