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児童・教職員の「挑戦」と「人生」に寄り添う、立命館小学校。チーム立命館小の一員として、AでもBでもない、Cを一緒に作りませんか?

京都府京都市に校舎を構える立命館小学校。同校は、「挑戦をもっと自由に」を2030ビジョンに掲げる立命館学園に属する私立小学校だ。2006年の同校には現在、約720名の児童が在籍している。

現在、一緒に働く仲間を募集しているという立命館小学校。どんな小学校なのか、どんな人と一緒に働きたいのか、校長の堀江未来さん、副校長の小笹大道さん、入職18年目の三ツ木由佳さん、入職6年目の山田航大さんに話を聞いた。

開かれた校長室

JR京都駅から地下鉄に揺られること約13分。北大路駅から徒歩3分ほど行くと立命館学園の象徴である「R」の文字が見えてきた。

立命館小学校は、立命館学園に属する小学校として2006年に開校し、現在約720名の児童が同校で学びを深めている。

立命館小学校の外観

教職員・来客者向けの通用口に案内され校舎に入ると、すぐに校長室が見えた。訪問した12月初旬は冷え込みが厳しくなっていたが、校長室のドアは開かれ、中では堀江未来校長が仕事をされていた。

堀江校長が校長に着任された2021年度から意識的に校長室をドアを開く機会を多くし、風通しの良い職場づくりに努められているそうだ。

「もともと私は2009年に立命館大学の教員として入職しているので、『小学校の分掌って、何ですか?』という何も知らない状態から始まっているから、分かった気になっちゃいけないなと思っていて。まずは先生方が何を良いと感じ、何を嫌だと感じているかを、ちゃんと聴きとりたいと思ったんです。私の専門は教育学ですが、中でも多様性の尊重や他者をどう受け入れるかといった異文化教育学を専門にしているので、着任当時は傾聴を徹底的にやるべきだと思いました。今でも先生方との1対1の時間は、一番大事にしたいと思っています」

お話を聞いた堀江未来校長

入職6年目で、現在は小学2年生の学年主任を務める山田航大さんは当時をこう振り返る。

「今でも覚えているんですが、堀江先生が『どんどん校長室に来て、何かあったら言ってください』とおっしゃって下さって。教職員の通用口の手前に校長室があってドアが開きっぱなしなので、帰り際にふらっと校長室に寄って、立ち話をしていかれる先生が沢山います。固定の人ではなく、そのタイミングで相談したい、伝えたいことがある人が寄っていかれている印象です」

同校では、よくある大きな職員室で全員が過ごしているわけではなく、各学年ごとに教室に隣接した6つの教員ルームに分かれて働いていることもあり、全ての教員が顔を合わせる機会は限られているそうだ。それ故に、通用口近くに設けられた校長室が教職員の交流のハブにもなっている。

教員ルームの様子

立命館を、一言で表現するなら?

取材中から和気藹々としたフラットな関係性が垣間見える同校だが、取材に応じてくださった4人の先生に「立命館の特徴を、一言で表現するなら?」という質問を投げかけてみた。

最初に口火を切ってくださったのは、中・高・大学時代を同学園で過ごし、さらに同学園での勤務が20年目となる小笹大道副校長だ。

「僕はもう、立命館と言えば鉄板の『自主自律』です。生徒会の活動もボランティアも生徒発の自治活動が多くて、そういう土壌があると思います」

同じく、中・高・大学時代を同学園で過ごし、小笹副校長の教え子でもある山田さんもこう続ける。

「今も、学生時代も感じていることですが、本校の特徴を一言で表現するなら『学びに制限がない』です。例えば、スポーツがしたい、留学に行きたい、起業したいなど、『これをやりたい!』と思ったときに、学園の中に何かしらの窓口、選択肢が存在するというのは、大きな武器だとずっと思っていました。卒業生の繋がりも強いので、いろんな門戸が沢山あって、ドアを叩けばそこにちゃんと広がる世界があるというのは、強みだと思います」

お話を聞いた小笹大道副校長(左)と、入職6年目の山田航大さん(右)

小中高大院の一貫教育の創造に取り組む同学園ならではの特徴はまだまだありそうだ。堀江校長は、『ピア・サポート』が学園の伝統芸だと話す。

「学生同士が、お互いをサポートし合い、学び合う『ピア・サポート』は学園を語る上で欠かせない特徴です。小学校も中高と繋がっているので、高校生が小学校に来て教えてくれることもありますし、小学生同士でもリーダーシップを持ってサポートし合うことを大切にしています。特に大学はピア・サポートに全面的に取り組んでいて、学生自主団体も多いんですよね。それを大学もサポートして、奨学金や活動資金がつくこともあります。先輩が後輩に接するときって、ちょっといい顔するじゃないですか。『いい顔効果』ってあると思うんですよね。『ロールモデル効果』と言い換えることもできるかもしれない。後輩からすると憧れの先輩を見つけられるし、先輩にとっては成長効果がある。だから、教員の私が言うのと、先輩が言うのでは、同じことを言っていても絶対先輩が言った方が効果的に働くんですよ。授業の中での学びだけでなく、学園全体や社会との繋がりの中で子どもたちを育てていこうという思いが、学園に共通してある思いだと思います」

小学校の開校設置準備室が立ち上がった2005年から働く三ツ木由佳さんは、事務職員の方の凄さを熱弁してくれた。

「山田さんが先ほど、『ドアを叩けばそこにちゃんと広がる世界がある』って話をされましたが、それはやっぱり『こうしたら実現するんじゃない?』って考えてる人がいるからこそ、そこにそういった扉が用意されている気がしていて。大人たちも、そのチャレンジを楽しんでいるんですよね。中でも、事務職員さんたちがすごい。いい意味でアグレッシブな方が多くて、事務職員と教員がフラットに協働できるのは他にはない環境だと思います。それぞれがそれぞれの立場で必要だと思うことを出し合って、『AでもBでもなく、Cでいこう!』みたいな感じの空気感は、小学校の中でも感じます。お金もちゃんと動いて、物事が前に進むので、学校だけれど、すごくおもしろい企業・会社的な一面も感じさせてくれる職場です」

お話を聞いた入職18年目の三ツ木由佳さん

「それは、以前勤めていた他大学ではあり得なかったこと」と語る堀江校長も、事務職員の方の姿勢に感銘を受けた一人だ。

「こんなことをやってみたいと思って事務の方に相談すると、以前の大学だと『前例がないし、無理ですよ』と一刀両断されていたことも、立命館の事務職員さんに話すと、『先生、それはとってもおもしろい取り組みだと思うから、とりあえずできる方法を一緒に考えましょう!』みたいな(笑)。Yesから考える人たちが多くて、それは学校全体に良い影響を与えてくださっていると思います」

希望者全員、チームで教育視察へ

立命館が母校の小笹副校長と山田さんには、もう1つの共通点がある。それは、公立の学校で働いたことがあるという共通点だ。小笹副校長は公立中学校で6年間、山田さんは公立小学校で3年間勤務した後に、同学園に転職をしている。公立と私立の学校の違いについて、2人に率直に聞いてみた。小笹副校長は、子どもたちの姿について「根っこは一緒」だと語る。

「公立中学校時代は、大変なことも沢山ありました。でも、子どもたちの根っこは一緒だなって思うんですよ。ただ違いがあるとしたら、先輩にあたる高校生が近くにいるかどうか。やっぱり、数年先の自分たちの姿として高校生たちを見ながら育っているというのは、大きな違いかなと思います」

そんな小笹副校長の言葉に、山田さんが続ける。

「小笹先生がおっしゃったように、子どもたちの根っこは一緒だと僕も小学生を見ていて思います。個人的に一番違いを感じたのは、外との繋がりです。僕は中学から立命館にお世話になって、いろんな外の繋がりを経験させてもらっていたので、公立の教員として働いていたときも外との繋がりを持ちたいと思っていました。ただ、公立の学校にいたときは、なかなか外との繋がりが持てず難しさを感じていた部分もあったので、そこは違いを感じた部分です。本校には、外の世界に興味関心を持ってどんどん学びにいく風土があり、そういう意識を持った先生方が集まっているので、立命館小学校を次のキャリアに選択しました」

授業を充実させていくために必要だと思えば、外部リソースを積極的に活用しているという同校の先生たち。まさに学校に閉じることなく、「社会に開かれた教育課程」を実現している。

2022年には、希望した教員全員が他校を視察する機会も作ったという。立命館学園が教育活動の推進のために特別に措置する予算を活用しているとのことで、予算獲得には堀江校長の熱心な交渉もあったそうだ。

「学校づくりの当事者意識を高めたいという思いがあり、教育視察にチームで出かけてもらった上で、視察での学びをちゃんと学校に持ち帰ってもらうようにしました。行って見てくるだけでなく、そこでの教員間の対話が一番のミソだったように感じます。他校を見ることで、自分たちの学校や取り組みが相対化されるじゃないですか。自分たちがそれまで盲目的にいいと思ってやっていたことも、一回外の目から自分たちを見るような機会になりました。みんなで学校のことを考えるというプロセスを得られたのは大きかったと思います」

これまでは出張に行く機会も少なかったという同校。どのようにしてチームでの教育視察を実現したのだろうか。

「担任・副担任がこれまでペアだったんですけど、副担任を学年付にすることで、空いている人がサポートに入りましょうという体制に変えました。そうすることで、教育視察もしやすくなったと思います。ただ、この体制に変えたのは教育視察を実現するためではなく、働き方改革の一環として2020年から取り組んでいることになります。勤務時間も、7時40分〜17時10分、8時10分〜17時40分という2つのパターンで運用しています。働き方改革を通して、先生方の意識も変わって定時で帰る人が増えました。ただ、これまでの働き方から急に切り替わるものではないので、定時を超えて働いた時間については超勤手当をつけています」

働く環境の整備が進む同校は、現在、教員の出産・育児ラッシュだという。山田さんも昨年、1ヶ月間の育休を取得。現在も、男性教員が1年間の育休を取得中だそうだ。育休を通して、懇談で話す内容もガラリと変わったという山田さんは、今何を感じているのだろうか。

「育休を取得した1ヶ月は本当に自分の中では大きくて。当時、受け持っていた2年生の子どもたちも自分たちで頑張ろうという意識が芽生えて、子どもたちなりに集団づくりを考えてくれて、いい相乗効果が生まれました。僕が懇談のときに話す言葉や、子どもに話す言葉にも変化がありました」

長い人生の中で教員を続けていくためには、さまざまなライフイベントを乗り越えていく必要がある。そのような局面で、手を差し伸べ一緒に乗り越えてくれるのが同校の強みだと感じた。

個々の力からラーニング・コミュニティへ

最後に、課題に感じていることについても聞いてみた。小笹副校長は、コミュニケーションが足りないことで個々の持っているパフォーマンスを最大化できていないことを課題に感じているようだ。

「個々の持ってるパフォーマンスを最大限発揮できてるかというと、まだできてる人とできてない人がいるように思います。冒頭に話がありましたが、本校は学年ごとに6つの教員ルームに分かれているので、子どもたちにとっては先生が教室の近くにいてくれて良い効果があるのですが、教員同士の交流や情報共有には課題が残ります。他学年の取り組みを見に行ったり、日常的に話をする時間など、コミュニケーションが足りない。それを何とかしようと思い、現在、学校改革を中心的に推進している新しい学校づくりのメンバーを中心に会話が生まれるようなラウンジを作ってくれました。そういうコミュニケーションが生まれる場をどうやって作っていくかは、これからまだまだ必要になってくると思います」

ラウンジスペースの様子

山田さんも教員同士の対話の少なさに課題を感じているようだ。

「今、学校をもっとより良くしていくために、さまざまな学校改革に取り組んでいる最中なのですが、教員同士での対話がもっと増えれば、爆発的なものが生まれるような気がしています。僕を含め、学校改革に取り組んだ経験のない教員にとっては、改革を進める上での対話は欠かせないと思っています。時間はかかると思いますが、みんなで共通認識を持ってエンジンかけてギア上げてやっていくことが必要です。だからこそ、横の教員同士の繋がりが大切になってくるので、意見の違いが変な対立に変わらないように対話を重ねていきたいです」

三ツ木さんも、続ける。

「どうしても教員ルームが物理的に離れているっていうのは、大きいですね。もっと顔を合わせられていたら、いろんなことが生まれてくるだろうなと思うので、歯痒い部分もあります。私たちが次のフェーズに向かうにあたり、やはり対話の数や質を変えていく必要があると思います。今までは教員が個々に自分の挑戦を楽しんできたようなところがありました。でも次のフェーズのキーワードは『ラーニング・コミュニティ』です。これをみんなで進めていくにあたっては、先生方の多様な力を出し合う必要があります。そのときに対話と協働が試されるだろうと思います。『共に』が、一つのキーになりそうです」

AでもBでもない、Cを一緒に作りませんか?

現在一緒に働く仲間を募集している立命館小学校。どんな人と一緒に働きたいかを尋ねたところ、堀江校長から「まずはチームでやれる人」という回答が。

「自分の強みを生かしながら、他の人を助け、自分にできないところは他の人に助けてもらうみたいな、そういう関係をちゃんと築ける人だといいだろうなと。そしてその関係性の中で、ちゃんと成長していける人。完璧は求めていないので、今のベストの自分の姿で来てもらって、さらに高みにいく気持ちのある人だとうれしいです。私たちは、子どもたちの成長を見るのが大好きです。さらに本校は小中高大院に繋がっているので、長い目で成長を見守ることができるんですよ。これは本当に教員冥利に尽きる環境です」

三ツ木さんも「私もチームかな」と続けた。

「何年か前、チームとしてすごく学ばせてもらったことがあって。それは誰かがすごい引っ張ってるのではなくて、みんなでああしよう、こうしようという対話がある学年で。その先生たちの空気って子ども見てるし、感じてる。実際に、『先生たち、いつも楽しそうよな。』って子どもたちから言われるほどでした(笑)。そうやって大人が協働してる姿を子どもたちが見て『楽しそう』って感じたら、自分たちもそういう風になりたいと自然に思ってもらえるような気がするんです。特に私学だから、教員の異動も少ないじゃないですか。だからこそ、ここの中で成長がずっと止まらない環境であれるといいなと。それを一緒に作れる人がもっと増えたら、もっと楽しいかな。AでもBでもない、Cを一緒に作ろうとすることを楽しめる人、お待ちしてます!」

採用の仕事を一手に引き受ける小笹副校長は、ここ数年の教員不足に頭を悩ませているそうだ。そんな小笹副校長からは、「愛情深い」のキーワードが飛び出した。

「僕は、愛情深い人にやっぱり来てほしいですよね。子どもが好きで、子どもの成長を後押ししたり、困ったときに寄り添うことができる人。感情的になるときがあったとしても、子どもたちのせいにしない。そういう熱意を持った愛情のある人と働きたいです。教員不足は深刻で、やっぱり昔みたいには集まってこないです。でも、教育って人だと思っていて。本当にその人が持っているものをどれだけ出せるかが大事なので、そういうサポートをしていきたいと思っています」

最後に、山田さんも「愛情深い」は根底の思いとして持っていてほしいとした上で、山田さんならではの視点を話してくれた。

「本当の意味で頼ることができる人。周りを頼ってやっていこうって思う人がいいなと思います。僕もそうだったんですが、自分一人で全部をなんとかしなければならないという思い込みを持っている教員って少なくないと思うんです。うちの学校でもプロフェッショナルはいっぱいいますが、その道のプロフェッショナルであって、違う道には違う道のプロフェッショナルがいるので、そんなときに『これはあの人に任せよう』とか、『あの人に聞いてみよう』と、頼れる人と働きたい。子どものこと、普段の授業や生活指導のこと、いろんなことをあの人にちょっと頼ろうかなって、そういう意識が持てると自然と組織の中でもうまくやっていけるのではないかと思います。教員の仕事は、人の人生に大きな影響を与える職業です。だからこそプレッシャーもありますが、何にも代え難い楽しみややりがいが詰まっていると思います。一緒に立命館小学校を作りましょう!」

<取材・文章:三原 菜央/写真:西本 友>

求人情報

2025年度の採用募集は2024年5月中旬の予定です。

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