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③ひとつめの新しい扉。

「肛門科ですね、大丈夫ですよ」

と優しい声で返されて
なかなかの恥ずかしさを感じながらも
安堵して家を出た。

車で10分ほどの病院は
数年前に新しくなって入口からかなり綺麗だった。
病院は朝から混んでいるイメージだが
その日は幸いにもまだそんなに混んでおらず
スムーズに受付に行くことができた。
そしてまた、あの言葉を発する。
今朝は電話越しだったからまだ少し余裕があったけど、今度は面と向かって
「肛門科なんですけど…」
うむ、これはきっといつまでも慣れない。

保険証を渡し、簡単な書類を書いて、
診察券を作ってもらい受け取る。
診療室1の前でお待ちください。ということで、綺麗な廊下を歩いて部屋の前で待つ。

名前が呼ばれて、診察室の扉を開ける。
優しそうな先生とベテランな感じの看護師さん。
「どうされましたか?」
「昨日の夜座ってたら出血して…」
と軽く状況話してから
「じゃあ一旦見ましょうか」

おっと、予想だにしない早さ。
この部屋に入ってまだ2分くらいよ?
と思いながらズボンを下げる。
「じゃあここに寝転がってくださいね」と
言われて壁沿いの診察台に寝転がる。
そして、
「パンツ下げますね」と
これまたあっという間にパンツが下げられる。
看護師さんもまだいるよな、
まあ若い子じゃないしいいかという
失礼なことを思っていたのも束の間、
「じゃあちょっとお尻見ますね、力抜いてねー。」
これがひとつめの新しい扉のノックだった。

先生の指がお尻に入る。
こっちの予想はできていたがやはり来たか。
どうな…痛えええ。笑
痛え。人生初。痛え。
ほじくられる俺のお尻。
これが向こう側の世界か(職場にゲイの先輩がいるからその先輩の顔が浮かんでいた)と思いながら、
どうしても力が入ってしまうため
先生も看護師も分かるのか
「痛いよねーごめんね、もう少し待ってね」と。
トータル2分ないくらい。
ほじくられた俺のお尻。

そしてパンツとズボンを上げて結果を聞く。
「内痔核ですね。4段階あるうちの3段階目ですね。座薬で様子も見れますし、手術もできますが、どうしますか」

4あるうちの3!?
手術!?
これまた今度は予想だにしない展開で
一瞬テンパったけど
「手術って入院になるんですか?」と
すぐに訪ねる悪い自分が現れた。
「手術=入院=仕事休める」
これである。
これに尽きる。

「そうですね、手術日含め最低3日〜5日入院していただくことになります。もし手術するなら今日採血や心電図、レントゲン撮ります」
勝った、と悪い自分が微笑んだ。
「不安なんで手術でお願いします」ニヤリ

上司に連絡を入れる。
「手術することになり、今から心電図など色々しないとダメで…すいません午後も休み頂きたいです。申し訳ありません」
こうして無事に休みを掴み取り、
採血、心電図、レントゲンも問題なく
手術の日程を決めた。

7月の休みはもうズラせなかったため
8月頭に手術することに決まった。
それまでは座薬で大丈夫ですよ、と。
座薬、これもまた新しい経験だった。

そして8月の手術・入院による休みを目標に7月の仕事はなんとか乗り切り…

続く

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