見出し画像

【第1話】ご挨拶&SEN.RETREATの想い

初めまして、和歌山・熊野古道で2021年10月に開業した
一棟貸し宿「SEN.RETREAT」で事業責任者をしている
大﨑庸平(おおさきようへい)です。

これからnoteを使用して「SEN.RETREAT」が "やってきたこと""やっていること""やっていくこと"をお伝えし、同じ状況(例えば世界遺産で旅館を運営している/地域を巻き込んで事業を起こしたい)にいる方に少しでも「役立つ情報」と「踏み出す勇気」をもってもらえればと思います。

「SEN.RETREAT」 について

SEN.RETREATブランドの1つ目の宿「SEN.RETREAT TAKAHARA」が熊野古道中辺路ルート沿いにオープンしました。

【中辺路観光協会様掲載用】SEN.RETREAT.TAKAHARA

熊野古道は近年、トレッキング客を受け入れる宿泊施設が不足しているという課題を抱えていました。その課題が火種となり、僕たちは中辺路ルートを4日間かけて完歩できる宿泊施設「SEN.RETREAT」をつくることになりました。詳しくはこちらをご確認ください。



ただ、コロナになりインバウンドのトレッキング客が0となった現状、この「宿不足」から新たな課題が生まれたと思っています。それが「トレッキング客だけしか熊野古道への接地面がない」ということです。

入社して、SEN.RETREATと出会い、「インバウンドのトレッキング客が帰ってくるまでただ待つ」なんてことは性に合わず、コロナ禍で生まれた新たな課題を"熊野古道"と"SEN.RETREAT"を通して救いたいと考えています。

コロナで生まれた新たな課題


①熊野古道:トレッキング客以外のお客様が来ないので、トレッキングシーズン以外は熊野古道との接地面がない。(トレッキング客も激減)
②観光客:大人数で遊びや旅行が憚られ、コロナ前にはなかったストレスを感じる人が多い。
③地元住民・業者:観光客が減ったことによる副次的な収益の減少(例えば食事の卸業者や、ホテルのリネン業者など)がある。

コロナで生まれた3つの課題を「SEN.RETREAT」を通して解決できないか。
僕たち上記3つの課題を意識して、「SEN.RETREAT」のミッションを段階的に定義しました。

「SEN.RETREAT」及び「熊野古道」での事業を通して僕たちは下記を達成したいと思います。

画像4

「SEN.RETREAT」が達成したいこと


短期:1~2年
①SEN.RETREATを通して、トレッキングシーズンの宿不足を解消し熊野古道を歩く巡礼者のサポートを行う。
②トレッキングオフシーズンでも「SEN.RETREATに泊まりたいから、熊野古道に出かけよう」という流れを作り、熊野古道にサステナブルな経済的価値をもたらす。
③SEN.RETREATに泊まった人が日常をリセットし、自由で素直な自分と再会する「リトリート体験」をお客様に提供する。

中期:3~5年
熊野古道を、保全や景観保護を最上段にしたファン型(≠消費型)のサステナブルな世界遺産のモデルケースとする。そのためにSEN.RETREATの経済的価値を、熊野古道の社会的価値に還元しながら地元地域を巻き込んだエコシステムを構築する。

長期:5~10年
熊野古道で成功した地域活性化のエコシステムを、他の地域にも応用し、地域活性化を行うことで、日本の活性化を促す。

画像5

なぜSEN.RETREATが「無人運営」を選んだのか

実は、僕たちもはじめはフロントに人を置く形の「有人運営」を考えていました。しかし、過疎化や高齢化が進む熊野古道エリアにおいて、働き手を確保することは想像以上に困難でした。前提として、宿泊施設では基本的に24時間フロント対応が必要となります。日中の清掃業務などは近隣の方に
手伝っていただいたとしても、夜間の対応ができる人材を探し出すのは難しく開業できずに困っていました。

そこで思い切って「無人運営」をすることを決断し、ITの力と地元の方との連携によって、なんとか宿を開業にこぎつけることができました。このnoteでは、SEN.RETREATがどのように「無人運営」の仕組みを地方で作ったか、を伝えたいと思います。
 
ではここから、なぜSEN.RETREATが「無人運営」を選んだのかについてご説明します。大きな理由としては、「関係人口」という概念と、「ビジネスの始めやすさ(リスクを抑えながらとりあえず始める)」の2つが挙げられます。

「関係人口」とは

「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。地方圏は、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面していますが、地域によっては若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めており、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されています。

画像3

出典:総務省関係人口ポータルサイト

僕たちは、基本的に"大阪"(都市)にいます。
しかし和歌山でこの宿不足を解決しながら、僕たちが和歌山に移住することでも、現地の方を正規雇用するでもなく宿を運営しています。
図にするとこんな感じです。

iOS の画像 (3)

関係人口では「観光以上、移住未満」という言葉がありますが、まさに移住をしないで、宿不足を解決する。そのために、「人」が必要な部分と「IT」で解決できる部分を切り分けました。
「IT」で解決できる部分はITの力をフルパワーで利用し、「人」が必要な部分は県外から移住しなくても地元の方の協力で成り立つビジネスモデルにすることで、宿をオープンしました。

もちろん、宿に従業員が(今のところ)常駐していないため、サービス部分では普通の宿に劣る部分があると思います。しかし、観光資源が豊富な地方で従業員の確保が難しいことを理由に宿が開業できないのはもったいないと思います

さらにコロナ禍の現状、「無人」であるが故の需要や、「無人」でも従業員が常駐するサービスよりも良いサービスを開発できると思います。(無人でも良いサービスを開発していく挑戦も1つの楽しみです✨)

画像5

(清掃や準備をまとめて下さる国本さん✨)

リスクを抑えながらとりあえず始める

無人でやると決めてから、僕らは「移住」や「近くの住民の正規雇用」など地方で事業する際の当たり前を当たり前と思わないことから始めました。
無人運営はとりあえず始めるための手段です。
ゆくゆくは無人運営だけに頼らず、地元の方を巻き込みながらお客様の体験を豊かにできるサービスを徐々に拡大したいと思います。

もちろん、従業員が移住することや現地の人を雇うことはお客様に満足してもらう上では重要です。ただ、満足させる完璧なサービスを作る(そのために、現地スタッフや移住による人の整備をする)まで宿を開業しないと、一生宿が開かない可能性もあります。地方にはまだまだ魅力的な場所があり、そこに行きたい人がいるのにも関わらず、そこに宿がないから旅行を諦める人がいるこの現状は、地域経済(=日本経済)にとって大きな打撃です。
まずはビジネスをリスクを抑えてスタートさせる。そしてお客様の声を聴きながらサービスを徐々に開発するアジャイルモデルでも宿は良いはずです!

画像7

地方に事業が生まれづらいのは「人不足」

大半の事業は有人が前提の事業スキームなため、人が不足する地方には事業が生まれづらいのは当然でしょう。

では「人不足だから、他の地域から人を移住させよう」という思考は、ゼロサムゲームだと考えます。
だから僕たちは、この「無人運営」のモデルを前提に人が不足していても、事業を生み出せるスキーム(IT×関係人口)を確立・洗練して、熊野古道だけでない地域にも応用し、日本経済を活性化させたいと思っています。

僕たちは無人運営という比較的に始めやすいモデルを紹介することで、地方に宿をオープンさせたいけど、移住して現地で正社員を雇うハードルが高いと思っている方に少しでも希望を与えられればと思います。

無人運営マニュアル

次回のnoteから無人運営を成功させる僕たちが実践してきた体験談(成功も失敗も)を余すところなく書き留めたいと思います。
①無人運営のためのIT導入~セキュリティー編~
②無人運営のためのIT導入~無人チェックイン編①~
③無人運営のためのIT導入~無人チェックイン編②~
④無人運営のためのIT導入~カスタマーサポート編~
⑤無人運営のための地元の巻き込み方~清掃・準備~
⑥無人運営のための地元の巻き込み方~配送・食材~
⑦無人運営のためのマーケティング・ブランディング

【HP・インスタグラム紹介】
宿のご予約は公式ホームページからお願いいたします。

宿や無人運営に関するご質問はインスタグラムからDMして下さい!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?