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学びの生活思創「知圧と創圧」その1

生活思創の目的は、正しさの追求ではありません。慌ただしい日々の生活に、「見通しの良さ」を感じるための試考を言葉と図で表現していくことです。なので、好奇心が赴くままに、いつもの・やっかいな生活に「面白さ」を掘り出そうとしております。

 生活思創のきっかけは子供の不登校でした。学校行かなくても、より良い学びってあるのかな?、あってほしいな、あるとしたら一体どんな姿をしているのかな?、なんて感じでスタートしたのでした。シーズン7はややこの生活思創の原点に戻ってみて、試考してみます。

中学になって、校内の少人数クラスには毎日じゃないけど通い始めた娘とのやりとりから


娘「何のために学校で勉強するのかわからない。学校の勉強は役に立つのかい?」

父「うむ、定番の質問だな」

娘「ただし、いい学校でていい会社でいい人生とかっていう答えは不可とします」

父「ええ了解です。学歴のための学びは虚しいと思います。とはいえ、答えに詰まる質問だから、ひねって返そう。じゃあ、『何のため』かが分かれば勉強するのかい?」

娘「パティシエになりたいからとか、小説家になるためとか、なら勉強してもいいけど。関係ない勉強は無駄だよ」

父「そうかもしれん。でも、今はパティシエとか小説家とか言ってるけど、まだ自分も知らない何かになるかもしれないじゃないですか? 本当は関係がある勉強を無視しちゃってるかもしれませんよ」

娘「なんか、子供の純真な訴えをはぐらかしてるズルい親の答えっぽい」

父「確かに、関係ない勉強は無駄に見えるさ。だけど、そもそも『何のため』の『何』が、学ぶ前には分からないんだな。つまり、要不要が決定できない勉強が先にあって、それが終わってからやっと目的だった『何か』がわかるんだな。」

娘「じゃあ、学校の勉強とかが役に立つかどうかはギャンブルじゃん。ズルいのは親だけじゃないんだな」

父「ギャンブルかもしれん。偏差値とか作って、その勉強の目的っぽい『何か』があるように見立ててるのが今までの教育なのかもな。まァ、振り返ってみると、トーチャンも引っ掛かった口だな」


親として、学校の勉強がこれでいいのかなっていう感覚はあります。でも、大人としては、勉強し続けることが大切だと言うことには異論がありません。 そこで!、今回は、後先が逆なのに学び続ける態度って、どんな言語化したら良いかを試考します。

◼️インプットとアウトプットに循環を見ていく


人が一生勉強し続けなきゃならないっていう意味は、「何か」人生の目的らしきモノが、学んだ後から何度も現れるかどうかに、その人の人生が大きく左右されるってことです。

この辺りはスティーブ・ジョブズのConnecting the dotsの話なんかに通じる視点とも言えます。

 学習は因果関係が分離していて、因だらけの状態だけで進まなければならないところに学びの混乱があります。余談ながら、因果関係が分離している中で、昨今の教育をうんぬんするのは、かなり難度が高いはず。古今東西からの教育論がいまだに続くのは無理のない話なのかも? 

 この反対の視点ですが、学びを遊びとして捉えるというのもあります。学びを目的から解放する点では、因果分離の混乱を避けることができますからね。納得感はあります。しかし、遊び続けるとなると同じような状況になってしまいます。ある一定の遊びの累積が欲しいなら遊圧?がないと、飽きっぽさに蹴飛ばされてしまうのだった。

 さて、話を戻します。

ここでの記号接地は個人の原体験です。小生がフリーランスのマーケティング・コンサルタントになって、かれこれ25年以上になります。このマーケティング・コンサルタントが勉強の目的の「何か」に当たるとしてしてみましょう。でも「何か」であるマーケティング・コンサルタントを目的にマーケティング実務を学んでいったわけではないのです。

・統計学:大学では計量経済学を専攻してたけど、サボり気味だった。でも、親しんだおかげで、マーケティングでの定量調査へのコンプレックスもなく、分析の精度と解釈の恣意性を分けて考えるような醒めた態度が持てたのだった。マクロモデルとかやってると、リサーチとかで数式が出てきても、「ふーん」って態度で眺めることができるのだ。知的な煽りには動じなくなるのです。胆力を鍛える学びか?

・記号論:これも計量経済学のゼミで痛感したのだったが、経済活動を数字に置き換えることの難しさだ。(あと、いい加減さねw)働いてから、ブランディングなんかの価値の言語化と数値化が底通していることが分かるのだった。ブランド策定業務って、言語化の連続だから、よーわからんと思っていた記号論も結構、仕事の勘所になったりする。ただし、学生時代に意味もわからずロラン・バルトとか読んだのは、格好つけたかっただけだよ。ナルな学びか?

・図解:マーケティングって、会社全ての部門の機能を引き出してなんぼの仕事です。なので、マーケティン業務に従事することは人々にわかりやすい見取り図と、奮い立たせる気分を提供できるかどうかが重要だってことを仕事の現場で学ぶわけです。それには言葉だけでは役不足で、直感的にわかってもらう、感情的に好意的な反応がある資料が超キモなのだ。図解の研鑽はマーケティングの仕事で生き延びるための学びでした。

これ以外に、趣味の美術館周りのアート鑑賞習慣が商品デザイン選定に役立つとか、営業部門時代のルートセールスの経験が、瞬時に相手と仲良くなるためのトークに移れるように鍛えてくれたとかがあるかな。

遠い思い出。

ただし、どれもそれなりに集中してインプットしたために、Connecting the dotsのドットにまでなったとは言えます。マーケティングのコンサルティング業務がアウトプットだとしたら、ドット達から得た多くの知識を凝縮した結果になります。

 でもです。

どのドット(果が見えない独立した因たちのことね)も「よーし、マーケティング・コンサルタントにはこれが役立ちそうだ」などとは予想したものは一つもないのです。つまり、インプットという手段の場は、アウトプットという目的の場がよく見えないのです。このインプットからの眺めを試考します。構図はこんな感じ。(→図表287)

図表287

インプットとアウトプットに循環があるとして、そのベースを作成してみました。「学習(インプット)→知識量の最大化(ドットごとの育成)→成果(アウトプット)→知識群の結晶化(学びの目的「何か」が形式化)」っていうサイクルを元にして、組み立ててみましょう。


◼️圧力のメタファーで試考する

先が見えないけどインプットができ、それが知識の集積になって、アウトプットに繋がり、特定の新しい知識群が結晶化(自分の中での体系化とも言える)し、また繰り返すって、循環自体に力がないと成立しません。単体で成立する学習意欲ってことになると、好奇心や向学心みたいな解像度の低い精神論で説明がついたことになっちゃうので、この辺りを中心に深掘りします。

 で、ここで生活思創の対称性をかましてみます。

 この知識の循環をパイプや電線のような閉じたシステムとしてみるのです。で、これって水圧や電圧のような見立てで再解釈したら、学習についての新しい視点が取得できるかも?という試考です。ここはラボなので、大胆なものほど試せる場なのだ!

 電気回路や水の流れるパイプは閉じたシステムですから、何らかのエネルギーが外部から補充されます。 ただし・・・ここが重要なんだけど、学習自体が達成する目的をモチベーション(エネルギー)にするというのは除外します。

 話は脱線しますけど、いい学校に行って、いい会社入って、とか直線的な時系列での学習する目的は、目的に見せかけた偽の何かってことです。だって、本来の学びでは目的は不明なのです。学んだ後から目的らしきものが浮かび上がってくるのが知識習得の本質だからです。じゃあ、この偽の何かですけど、これって娘さんの言うようにギャンブルの正当化みたいなものでしょう。極論すれば、「射倖心を煽る」博打の元締めからのメッセージでしかないってことになりますw。誰が元締めかは不問ww。

図表288


とはいえ、知識習得を促進させるインプットのためのエネルギーは必要ですし、学び続けていく多く人々が本能的に調達しているエネルギーなはずです。ええ、外圧(親とか社会制度など)や、報酬系(給与など)を除きます。すると、世間的には自発的な学びへの継続的な欲求ってことになります。継続的ってところが肝っす。これを知圧・創圧として電線やパイプにおける電気や水の圧力として語ってみます。 

 
※余談 生活思創の手筋について。

知識循環と電気の循環と水の循環に対称性があると仮定します。こうすると、電圧や水圧の説明にあって知圧にはないような言葉や考え方が出てきます。上手くすると、新たな視点が取得できるかもしれません。あくまでもメタファーです。メタファーって、メタな視点を強制しているので、信じるのは無理でも、気づきを得るのには有効です。

 すると、学びについての「見通しの良さ」がアップする可能性があります。もちろん、この手筋にはエビデンスはありません。実証サンプルは「私」だけ、「あなた」だけ、というN=1ですからね。 しかし、実利に繋げて語ることができたなら、自分の学び方への迷いが減って、覚悟が高まり、「清々しさ」を感じることができるわけです。


◼️まずは、電気回路の電圧、パイプの水圧から対称性を引き出す

圧力のメタファーを活用したいので、代表的な圧力として電圧と水圧で押し込んでみます。電圧と水圧の共通すると思われる部分は、どのような範囲まであるかを生成AIに問うてみました。これら共通性に知圧・創圧の対称性があるという試考をするための素材になります。

電圧と水圧の共通概念を箇条書きで整理します。

圧力の概念:
電圧:電気回路における電荷を動かすための力。
水圧:液体がその周囲に及ぼす力。

差による作用:
電圧:電位差によって電流が流れる。
水圧:圧力差によって水が流れる。

エネルギーの形態:
電圧:電気エネルギーの形態。
水圧:ポテンシャルエネルギーの形態。

流れを生じる要因:
電圧:高電位から低電位への電流。
水圧:高圧から低圧への水流。

単位:
電圧:ボルト (V)。
水圧:パスカル (Pa) またはバー (bar)。
回路またはシステム:
電圧:電気回路内の要素(抵抗、キャパシタなど)。
水圧:配管システム内の要素(バルブ、ポンプなど)。

使用する測定器具:
電圧:電圧計。
水圧:圧力計。

エネルギーの伝達方法:
電圧:導線を通じて。
水圧:パイプやホースを通じて。

エネルギーの変換:
電圧:電力供給源(例えば、バッテリーや発電所)から消費装置(例えば、電灯やモーター)へのエネルギーの移動を可能にする。
水圧:水源(例えば、貯水池やポンプ)から消費ポイント(例えば、蛇口やスプリンクラー)へのエネルギーの移動を可能にする。

抵抗と損失:
電圧:電流が流れる際に抵抗が発生し、電力損失(ジュール熱)が生じる。
水圧:水が流れる際に管内の摩擦などにより圧力損失が生じる。

計算式と法則:
電圧:オームの法則(V = IR)、電圧の計算に使用される。
水圧:ベルヌーイの定理、流体力学における圧力の計算に使用される。

安全と制御:
電圧:過電圧保護装置やヒューズで安全性を確保。
水圧:圧力調整バルブや安全弁で過圧を防止。

エネルギー保存の法則:
電圧:キルヒホッフの電圧法則に従い、閉回路内での電圧の総和はゼロ。
水圧:質量保存の法則およびエネルギー保存の法則に従い、流体システム内でエネルギーの総和は一定。


これらの共通点を理解することで、電圧と水圧がどのように類似しているかがより明確になります。どちらも、異なる分野でのエネルギーの伝達と制御に関わる重要な概念です。

生成AI

でてきたのは13項目です。これらを再度、グルーピング化してみます。AIはいつも親切なんだけど、出してくる風呂敷が大きすぎるのだ。それも、きっちり正方形で無地のやつ。

これを素材として、小生は大きく3つのサブテーマに畳んで、知圧・創圧を言語化してみます。うーむ、語る前から知圧らしきものを使ってる気がする・・・。あとあと触れることになると思いますが、生成AIも知圧補助や創圧補助を担っていますね。

図表289
図表290

・テーマ1:知圧・創圧の概念と構造→全体の見え方

・テーマ2:知圧・創圧でインプットとアウトプットへの貢献→全体の動きの様子

・テーマ3:知圧と創圧の関係性→2要素の相補性と、単体での独自性

こんなサブテーマに落としてみました。


◼️テーマ1:知圧・創圧の概念と構造→全体の見え方

まず先行するのは知識量の最大化です。でも、特定の領域の知識が最大化するのではなく、複数の領域の知識量が最大化していくので、量が増えるに従って散らかっていきます。知的ストレッチですね。そして、それが成果物を目指していくことになります。創造欲求ですね。

 知圧と創圧は、自分の中にある知識欲求と創造欲求を自主的に絞り出すために自分から自分に圧をかける行為、と定義します。

そして、知圧でインプットをより未知の極みまで持っていく、創圧を利用しながらアウトプットにユニークさが滲み出るまで手持ちの知識群を探求する、ってなサイクルに入りたいわけです。すると、知識量の最大化に使われる器は大きくなります。知識群の結晶化でできる成果物は複雑性を増すので、オリジナリティが高まっていきます。(図表291)

図表291


小生の場合だと、統計学が消費者調査に伸びて、定量調査と定性調査それぞれに学びが進んでいくんですけど、これって「業務だから」では、知識の集積度はあまり上がらないんですよ。(図表292)

図表292

「だって、給料に反映されないし」とか、目的が見えている分、それなりの知圧しかかからない。知識量の最大化でストレッチが起きないから、「じゃあ、範囲内の知識でまとめにかかりましょう」ってな成果物になります。アウトプットが見えれば見えるほど、インプットはギャンブルになるので、当然、リスクを少なくした学びになります。
 この態度は間違ってませんが、そつのないアウトプット経験の積み重ねは、知識習得の高みを徐々に下げてきます。表面的には効率の良い学びでしょう。そうやって無自覚にハードルを自ら下げてるわけです。そつのなさって知圧を掛けないという意味もあるのです。

ここまでが外観の仮説です。

ということで、自分で自分に知圧と創圧をかけていく。そして、先を見越さないインプットの継続と、どう扱っていいかわからない手持ちの知識からユニークさを絞り出すアウトプットに繋げるテーマ2に向かいます。詳細は次回悶絶しますw


娘「なんか理科っぽい話になってきてるね」

父「水圧とか電気回路とかは、明らかに理科だな。学習のような話とは遠いいところが、この話の展開のミソでもある」

娘「トーチャンの狙いは、AIのように、もっと機械的に学習ができるようにするってことかな?」

父「いや、たぶんその逆だろう。『これをどーしても学び続けたい』って自分に思わせるにはどうしたらいいかなっていう自己暗示系だとおもうよ」

娘「じゃあ、理科っていうより心理学だね」

父「ハードル上げないでください」

娘「オマエに知圧をかけたのじゃよ」


テーマ2と3を順次やってみようとしておりますが、子供達の夏休みが生活にモロ食い込んでおります。どうなることやら

Go with the flow.


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