生を魅せ、懸命に煌く

ここ最近、一日の流れに随分と慣れてきた。
長い時間ではあるが、その中でも忙しなく時間が進んでいくのを感じていた。

生きることにしがみつき、必死で叫んでいたのはまだ昨日ことのようだ。
私が生きている鼓動、愛が生きている鼓動。
そういった鼓動を感じる瞬間や、欲するという衝動が私は物凄く好きであった。

今の私に必要なものはとにかく、生命を感じること。
死という運命に向かいながらも、必死に生きている様を魅せること。

周りと比べても、この広い宇宙と比べても私の存在はちっぽけかもしれないが、私が生きているという事実は言葉では表せないほど美しい。

痛みを感じることも多々あるが、それすら生きていることの証明であった。
むしろ私は何も感じないという事が何よりも怖かった。

これから先の輝かしい未来へ向けて、私はどんな生を魅せられるのか。
そんなことを思いながら、日々を過ごしていた。

ある日の朝、私の小さな心に一つのお告げが走ったように感じた。
どうやら私は三時間後、天に旅立つらしい。

長い人生だったのか短い人生だったのか、今の私には理解ができず、一瞬これまでにない戸惑いを見せた。

しかし、私には悠長に人生を振り返っている暇などない。
最後の最後まで生き抜くために、私は小さな体を大きく動かし、そしてあの時と同じように生きることにしがみつき、必死で叫んだ。

私は生きている。こうして涙を流し、大声を上げ、今を生きている。
皆が心配の声を上げるが、心配など正直要らない。

今この時、私が生きていたという事実を覚えていて欲しかった。
魂が朽ち果てようとも、私が残す小さな意志を死なせなければそれで本望であった。

残り5分ほどであろうか、私は十分今日を生きた。
そして、今度は死を受け入れようと静かに息を潜めた。

まだ知らないことの方が遥かに多いが、何も後悔は無い。
唯一心残りがあるとするならば、直接言葉を交わす事ができなかった事だろうか。
ただ、この世界を妥協することなく生きた私の雄大さ、美しさは少なくとも家族には伝わったであろう。

もうそろそろだ。

私という生が煌めいた2年間は幕を閉じた。


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