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特定多数と不特定多数と

センジュ出版を立ち上げてこれまで、まずは3000人を目標として、特定多数の顔の見えるお付き合いを心掛けてきた。
20代からmixi、Twitter、Facebookと渡り歩き、ほぼ毎日投稿を続けている。
自分には、実名文化があり長文も書けるFacebookがいちばん肌に合ったようで、
2008年前後から今まで、もっとも長くメインのSNSとして使うプラットフォームだ。
このSNSでコミニューケーションする時間の中で、出産、独立、会社設立、自著の出版などを経験したこともあり、
Facebookでの発信の意味合いは、年々少しずつ変化してきた。
しかしわたしの場合、家族の写真も多々上げるため友人限定にすることも多く、
オンラインやオフラインで出会ったことのある方々とだけつながりながら目標とした3000人を超えてからは、アウトプットの方法を変えることをちらちら考えるようになっていた。

センジュ出版を立ち上げたのは2015年。
会社員の頃とは装いもまったく異なり、次第にベレー帽姿が自分のイメージとして定着してきた2019年に、
講演の仕事も増えてきた関係でプロフィール写真を撮ってもらった。
カメラマンは「万引き家族」のポスターも撮影している写真家、鈴木陽介さん。

「吉満さんは僕が独立して初めて仕事をくれた先輩なので、お金はいりません」
と言って、撮影費を頑なに請求しなかった彼。
こんな大御所になってしまった後輩にまたも借りを作ってしまって、
逆立ちしてもこの恩を返すことができない。
陽介さん、ありがとう。


このところ、気づいたことがある。
私は震災と出産を経て、自由になりたかった。
会社員から経営者になりたかったわけではなく、自由の身になりたかったのだ。
ベレー帽は、その象徴だった。

自由になりたくて毎日ベレー帽を被り続けたわたしは、株式会社を経営することで生まれるどうしようもない不自由さを抱えながらも、それでも本当に楽しかった。
なぜなら、顔の見える人達と、一人ひとり対話を重ねてきたから。
それまでは窺い知ることのなかった読者の顔が、色鮮やかに目に耳に飛び込み、
これが編集なんだ、これが本作りなんだと、手が届く距離の幸せに触れていった。
きっとわたしは、想像したより、自由だった。

来月末で会社が生まれて6年が経ち、ようやく経営者になろうと決めた。
不思議なものの言い方だが、自分としてはしっくりくる。
自由な編集者から、表現する経営者へ。

2020年1月に生まれて初めて著者になってから、少しずつこのことに気づき始めたのだと思う。
Facebookを中心に、顔の見える特定多数の方々と対話を重ねてきた自分から、
わたしを知らない、不特定多数の方々へも、センジュ出版を届けていく責任、決意。
これまでずっと編集者として著者に強いてきたその覚悟を、自分に向けるときがきた。
わたしにはもう、守るべきものがたくさんある。
そして、守ってくれる人も少しいる。

これからは経営という表現を、自分なりに編んでいこうと決めたことで、
日々のことを綴るメインの場所を、Facebookからこのnoteに変え、
顔の知らない、本名もわからない不特定な方にも向けて、
センジュ出版を必要とするどなたかがいることを想像しながら、発信することにした。
今日は自宅で、経営者としての自分の写真も(ひとまず仮で)セルフで撮影し、
ベレー帽の写真から差し替えた。

ベレー帽はなくなったが、代わりに植物が入り込んだ。


この出版社を必要とするあなたに、届きますように。


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