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コロナ禍の誕生日プレゼント

遠距離恋愛をしています。距離は18,375km。日本と、地球の裏側アルゼンチンとの距離です。

わたしが彼と出会ったのは、日本の緊急事態宣言が解除されてすぐのこと。恋人らしくなったのは、10月も半ばを過ぎてからのことでした。

わたしたちは直接会ったことがありません。毎日のLINEと週1,2回のビデオチャットだけの、画素数の限られた関係です。
だからこそ、彼に何かを贈りたい。画面越しでなく、直接触れられる何か。

結果からいうと、それはできませんでした。

現在時点でも、国際郵便やEMSなどアルゼンチンへの荷物や手紙を受け入れているところはありません。

以前なんとなく、彼に誕生日ほしいものについて尋ねたことがあります。

"Would you sing the Happy Birthday in Japanese for me that day.(ハッピーバースデーの歌を日本語で歌って)"

「ハッピーバースデーの歌は日本でも英語で歌ってる」って言ったら少しがっかりしてたけど、その言葉に着想を得てつくった誕生日プレゼントがこれです。

太陽と月を一緒に眺められない二人。
お互いを知らないまま生きていたけれど、あるとき男の人が反対側に気づく。

地球の反対側との距離が本当にゼロになったとき、わたしたちはどんな顔をして、どんなふうに喜びを分かち合うんだろう。
そんなふうに思いながらつくりました。

まる1日、紙を切り、のりで貼り。
気づけば外が真っ暗になっていて、こんなに時間を忘れて何かをしたのは思い出せないくらい久しぶりでした。
つくっている間は、わたしと彼にある長い長い距離なんて忘れて、ただすぐ隣に彼がいる、そんな気がずっとしていました。

恋愛経験が少ないうえに国際恋愛なんてしたことなくて、海外の文化に触れる機会もあまりなくて
文字だけのやりとりとわたしのシャイさに彼がとても不安がってすれ違うこともあって。

英語がまだ拙いわたしの話をずっと辛抱強く聞いてくれて、へこんだら全力で励ましてくれて。
ほかほかあったかい彼の心にわたしはいつも救われているのです。


わたしはただの無名の会社員で文才も皆無なんですが、偶然これを読んだどなたかが
会えない大切なひとに想いを伝えるきっかけになればいいと思っています。

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