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【そうだったのか!!身近な医療制度の仕組みをわかりやすく解説】 | なぜ病院からはやく退院させられてしまうのか?

いつもありがとうございます!

洗顔好きの医業経営コンサルタント・洗顔王子です。

「身近な医療制度の仕組みをわかりやすく」というテーマで、シリーズ化を目指し、挑戦したいと思います。

今回取り上げるのは、「なぜ病院からはやく退院させられてしまうのか?」です。

結論からいいますと、それは

日本の医療制度がそういう仕組みだから

です。

では、詳しくみていきましょう。

背景にある国民医療費の問題

国民医療費と聞いて、パッと思いつくでしょうか?

国民医療費とは、国民の病気やケガの治療のため、医療機関に支払われた窓口負担分や健康保険からの給付などを合算したものになります。つまりは、われわれ国民が病院やクリニックなどにかかった際に要したお金になります。

その金額は、2019年度ではなんと43兆6000億円。前年度から約1兆円増えて、過去最高になる見込みです。1人当たりの医療費は34万5000円という計算になります。

「ちょっと待って!俺、そんなに使ってないよ!」と思う方もいるかと思います。そうですよね、ただ日本国民で平均するとそうなるわけです。

2025年問題とは

この国民医療費はどんどん増大していっているわけですが、国が1番危惧していることって、何だかご存知でしょうか?

それは2025年問題です。なぜ2025年が問題なのかというと、2025年は、最も人口が多い層である団塊の世代が75歳以上になる年になります。

75歳以上になると、一般的に病気になりやすくなり、医療費が一気に増加します。ちなみに、2019年度の数字でみると、75歳未満の22万6000円に対し、75歳以上は95万2000円になります。なんと4倍超です!

つまり2025年になると、医療費が最も多くかかる年齢層の人口が急激に増え、医療費がこれまで以上に増大してしまうということになるのです。

これに待ったをかけようと、国はいろいろな対策を打っているわけです。

その1つが、地域医療構想です。

地域医療構想とは、将来人口推計をもとに2025年に必要となる病床数を4つの医療機能ごとに推計した上で、地域の医療関係者の協議を通じて病床の機能分化と連携を進め、効率的な医療提供体制を実現する取組み。

ちょっとわかりづらいですよね。

簡単に言うと、医療費をおさえるために、入院の機能をしっかり分けて、より効率的な医療をみんなで提供しましょう!ということです。

ちなみに国民医療費のうち、大きな割合を占めているのは入院にかかる医療費になりますので、そこを効率化させようという狙いがあります。

具体的には、各地域の病院機能を高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4つの機能にわけることで、効率的に医療を提供し、全体の病床数を減らしていきましょうということです。

<参考>
高度急性期・・・急性期より、診療密度が特に高い医療を提供する機能
急性期・・・急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能
回復期・・・急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能
慢性期・・・長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能

これを促進するために、国は、患者の状態と病院(病棟)機能を合わせないと、病院が十分な報酬を得られない仕組みを導入したのです。

<参考>すごく簡単にいうと
回復期の患者が急性期の病院(病棟)に入院 → 報酬低い
回復期の患者が回復期の病院(病棟)に入院 → 報酬高い

これにより、われわれ患者の入院の仕方も変わりました。

これまでは、1度入院したら、その患者をずっと入院させていても、病院はそれなりの報酬をもらえていました。

しかし今は違います。

治療が必要な急性期の状態であればまずは急性期に入院。その後、治療が落ち着いてリハビリなどが必要であれば、回復期の機能をもった病院(病棟)に、患者が移動しなければ、病院は十分な報酬を得られません。

急性期の病院であれば、患者さん1人あたりの単価(病院の収入)も、入院した日から1週間ぐらいが最も高く、そこからどんどん逓減していくような仕組みになっているのです。

病院経営も以前より大分厳しくなっているので、経営という視点からも「2週間後には退院です」という話になるのです。

この流れは、ある意味、国が考えている医療制度の方向性に沿ったものであるといえるのです。

(その他にも、医療技術の発展により、そもそもの入院期間自体が短くなっているというのも1つです。)

われわれ患者にとってはメリットでもある

では、この流れはわれわれ患者にとってデメリットしかないかというと、一概にそうではないと僕は考えています。

患者側のメリットも、もちろんあるのです。

①患者の状態にあった医療ケアが受けられる

これは大切なことですよね。患者の状態にあった病院へ入院できますので、状態に合った最適な医療ケアが受けられるわけです。

②回復が早く、退院後QOLが向上する

寝たきりの期間は短ければ、短いほど回復は早いですよね。それに今はリハビリ機能が特に重視されています。手術後、すぐにリハビリを開始するのも当たり前になってきています。

回復が早いだけでなく、退院後の生活の質も向上します。正確なデータはわかりませんが、おそらく後遺症の方も数も減っているのではないでしょうか。

そういった点では、今の医療ケアにおけるリハビリは充実しているといえます。昔は、リハビリが必要だったにもかかわらず、十分に受けられなかった患者さんもいたのではないかと考えます。

③医療費が抑えられ、将来の負担軽減につながる

医療費を負担するのは、これからの若者や現役世代です。将来の負担が減るのは有難いことですよね。とはいえ、どこまで減るかは未知数といったところでしょうか。

このようにわれわれ患者側にとっても、良いことがたくさんあるのです。

とは言っても、今がこの制度の過渡期でもあり、退院しても入る先がない患者さんがいるのも事実です。このあたりは課題として認識しておく必要はあります。

まとめ

今回は、「なぜ病院からはやく退院させられてしまうのか?」というテーマで書かせていただきました。

まだまだ書き足りないですが、ボリューム面と分かりやすさを優先し、全体的にざっくりとした表現にしています。(詳しい方からみたら突っ込みどころ満載かもしれませんが、お許しくださいね。)

少しでも多くの方に、今の医療制度の仕組みに関心をもってもらえたらと思っています。日本の医療制度はまさに改革の時期にきています。

改革を進めていくためには、現在の医療制度に対するわれわれ国民の理解が必要だと考えています。このnoteがその一助になればとても嬉しく思っています。

また更新しますね^^

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