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時を閉じ込める

小野寺 マヤノ 作 305×432mm
“The Color That Locks Up the Time Within” by Mayano Onodera

 すでに終了した「茶色は秋の色」展に出展した作品です。少し複雑に見えますが、実際には3枚を重ねて切り、それらを1枚の絵の中に張り込んであるので、実際より込み入って見えるのです。むら染の赤めの和紙の下に濃い茶色の和紙を少しずらして置き、その背後に薄い茶色の紙を分解して配置しました。写真ではわかりにくいのですが、その上にさらに2体の動物の骨を重ねてあります。
 茶色と秋という言葉をテーマの中に入れた時、私が一番最初に思い浮かべたのは化石でした。そして今までに別々に見た化石の写真のイメージをまとめたのがこの作品です。魚や獣の骨、植物の葉の痕跡、巻き貝…その形は、木の遠くなるような時を経て、岩や地面の中に刻印されました。はるかなる時を閉じこめつつ…。静かな秋はそんな時に思いを馳せるのに最適な季節ではないでしょうか?

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